[Building]木造高層化
高層ビル=カーテンウオールという常識にあらがうように、今、世界で木造高層化が人気だ
80年代、ドイツで木造建築がブームとなり、日本でも90年代に第1次ブームが起きた。
「CLTなどの新しいエンジニアードウッドや耐火集成木材の登場、若い建築家の台頭からここ数年、木造建築は世界的トレンドです」
そう教えてくれたのは、建築メディア研究所の大森晃彦さん。建築専門誌では数か月おきに木造特集が組まれるほど人気だという。国内の木を取り巻く環境は、森林の荒廃など決して十分ではないが、悲観するばかりでもない。住友林業は、創業350周年を迎える2041年に、350mの木造超高層建築を目指す研究技術開発構想を発表した。2020年、東京五輪とともに存在感を世界にアピールする国立競技場もまた、軒庇に47都道府県の木材を使用するなど木との縁も深い。木造建築、そして高層化はこれからますます進む。
高さ350m・地上70階木造ビルに挑戦
住友林業 W350計画始動
創業1691年の住友林業は、350周年を迎える2041年に木造超高層建築物を建てる技術を完成させる計画。象徴となるビルはオフィスや住居、ホテルが入る予定。街を森にかえる「環境木化都市」を目指す。
木と鉄=9:1の木鋼ハイブリッド構造を検討。建物はバルコニーに囲まれ、自然さながらに木漏れ日が注ぐ。目指すは、森のような建築物だという。早くも完成が待ち遠しい。
画像提供:住友林業・日建設計
2020年という時代を象徴する国立競技場。随所に配された「木」が、建築物の美しさを際立たせている。
JSC提供/2019年11月1日現在
取材・文/堀田成敏