パナソニックは、2019年11月30日に竣工した国立競技場に、迫力ある競技観戦を実現するための大型映像・音響設備をはじめ、フィールドを照らすだけでなくファンサービス用の演出にも活用できる競技用照明器具、そして観戦エリアに国内のスタジアムでは最多となる約600枚のデジタルサイネージシステムなど、スタジアム運営に必要な各種設備を納入した。
国立競技場は、東京1964大会のオリンピックスタジアムであった旧国立競技場(2015年解体)の跡地に建設され、東京2020大会では、開・閉会式のほか、陸上競技などが行なわれる予定。
「杜のスタジアム」をコンセプトに緑や木といった自然を基調にデザインされ、最先端の技術を備えつつも、自然に開かれた日本らしいスタジアムとなっている。
今回、パナソニックが納入したのは、スタジアムでの競技観戦を盛り上げるために欠かせないAV機器や競技用照明器具、観客動員上必要となる各種スタジアム運営設備。
大型映像装置は、スタジアムのメインビジョンとして約9 m×約32 mのサイズとなるスクリーンを観客席の北側と南側に1面ずつ納入。音響設備は、スピーカーから離れたフィールドでも音圧を確保するため、均一で明瞭な音を伝えることができるラインアレイスピーカーを全38基納入した。
競技用照明器具は、競技を明るく照らすだけでなく、瞬時にオン・オフできる特長を生かしファンサービス用の演出にも活用することができる。
また競技場のテレビ撮影における色再現性にも配慮された光源を採用。観戦エリアには、観客に向けた情報提供を遠隔から制御できる約600枚のデジタルサイネージシステムを納入した。
コンコースのエリアごとに表示内容を切り替えることができるため、観客への情報伝達を効率的に行うことができる。
この他にも、運営諸室に自然冷媒を使用した大型空調システム(ナチュラルチラー)や、ガスヒートポンプエアコン(GHP)など、環境にも配慮した空調設備を納入している。
各設備の詳細は以下のとおり。
【大型映像装置】
・南側:縦 約9 m×横 約32 m
・北側:縦 約9 m×横 約36 m(塔時計、45分計、ランニングタイマー部分の4 mを含む)
・解像度:フルハイビジョン画質
【音響設備】
・ラインアレイスピーカー(競技用音響):8連式×24基、4連式×14基、全38基
「RAMSA音響システム ラインアレイスピーカー WS-LA4WP」は、スタジアム・劇場・イベントホールに求められる音響特性を追求するためのユニットの選定、ウェイブガイドホーン設計を行ない、理想的線音源を実現。
その特長としては 、(1)広い空間で近距離から遠距離までクリアな拡声を実現、(2)高分解能のシミュレーションソフトとの連携で理想的な音場づくりが可能、(3)施工性と安全性を両立した金具構造 – など、大空間に求められる音響特性を追求したスピーカーシステム。
【スタンド内照明器具】
・競技用照明器具 約1,300台
・観客用照明器具 約200台ほか
照明設備LED投光器「スタジアムビーム」は、4K・8K放送に配慮し、色再現性と画像の高速表示に適した最先端技術の照明器具。
4K・8K放送は、ハイビジョン放送より鮮やかな色まで再現できる。この色再現に最適な光、平均演色評価数Ra 90かつ赤色の特殊演色評価数R9 80を実現した。また不快なチラツキを抑制する点灯技術を搭載することで、スーパースロー撮影等の画像の高速表示でもチラツキを抑える。
この2つの技術で4K・8K放送の高品質な映像表現をサポート。照明環境では、スタジアムに求められる照明設計基準を満たした上で、光源を見上げたときのまぶしさを軽減。
パナソニック独自の配光設計技術により、光源からの光を最適に絞り、まぶしさの原因となる光の重なりを減らすことで、グレア(まぶしさ)を低減する。競技者の視界をより鮮明に、観戦者からも競技を見やすく場内を照らす。
【デジタルサイネージ】
・デジタルサイネージ:約600枚
パナソニックのデジタルサイネージソリューション「AcroSign(アクロサイン)」を活用し、インバウンド対応の観光情報やLアラート(公共情報コモンズ)など、業界毎の基幹システムと連携した多種多様なコンテンツをニーズに合わせた最適なシステムへ配信。
さらに、パナソニックの豊富なデバイスとの連携による多彩な表現力で、新たなサイネージの価値を提供。大型スタジアムソリューションとして、パナソニックグループの総合力を生かし、映像・音響などの技術、構築・運用実績を駆使して、マルチスクリーンによる感動体験の空間演出、フレキシブルな施設の統合運用も可能としている。
【大型空調システム設備】
・自然冷媒を使用した吸収式冷凍機(NC:ナチュラルチラー)400RT 2台
・ガスヒートポンプエアコン(GHP)エクセルプラスシリーズ 1台
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構成/DIME編集部