105cmシュミット望遠鏡用の新観測システム「トモエゴゼン」
東京大学木曽観測所は、1974年の開設以来、口径105cmのシュミット望遠鏡を主力観測装置とし、国内外の天文学者が研究活動に活用してきた。
新観測システム『トモエゴゼン』は、短時間に変わりゆく宇宙の姿を探求することを目的とし、天文用広視野動画カメラと人工知能ソフトウエア群から構成されている。
「トモエゴゼン」が搭載された 105cmシュミット望遠鏡
キヤノンは2014年より、超高感度CMOSセンサーを東京大学に提供し、開発に協力。「トモエゴゼン」は2019年4月に完成し、半年の試験期間を経て、10月より本格稼働を開始した。
「トモエゴゼン」で撮影されたデータ(東京大学木曽観測所提供)
はくちょう座 散開星団 M39
こぎつね座 M27(惑星状星雲)
「トモエゴゼン」の広視野動画カメラで使用されているのは、キヤノンの35mmフルサイズ超高感度CMOSセンサーだ。
一辺19µm(マイクロメートル)の大きな画素により超高感度を実現しながら、画素が大型化すると増える傾向のあるノイズを低減している。
このCMOSセンサーを84台並べることにより、合計すると約1億9,000万画素で、20平方度の超広視野を動画で観測することが可能だ。
宇宙のさまざまな現象を超高感度・超広視野の動画で撮影できる「トモエゴゼン」の本格稼働により、超新星爆発の瞬間や地球に衝突する恐れのある小惑星など、科学的に重要な天体現象の観測が可能となり、宇宙と生命の起源の解明に貢献することが期待されている。
キヤノンはこれからも、イメージングのリーディングカンパニーとして培ってきた技術力を生かして、科学技術の発展に寄与していくという。
構成/ino