一般的なエアコンは室内機と室外機がセットになったセパレートタイプだ。このタイプのエアコンには、室内機と室外機をつなぐ配管が必要となる。この記事では、配管の再利用や配管を隠す方法など、エアコンの配管にまつわる疑問点の解消法を紹介していく。
【参考】調子が悪いと思ったらすぐチェック!エアコンのメンテナンスと最新機種の選び方
本体の買い替え時や引越し時……エアコンの配管は再利用できる?
エアコンを買い替えた際に、従来の配管をそのまま利用できれば、エアコン設置が簡単になる。特に壁の中に配管する隠蔽配管の場合、配管を新しく設置するのは困難だ。
基本的に配管の再利用はできるものの、買い替えた本体と、もともとある配管のサイズが適合するかなどの条件がある。また、管内を洗浄する作業等が必要なこともあるので、再利用の際は専門の業者に相談しよう。
【参考】既設配管や既設の隠蔽配管の再利用はできますか?(日立公式HP よくあるご質問)
「通常配管と隠蔽配管」エアコン配管の2つの種類
エアコンの配管の一般的な方法は、壁の内側から外側まで穴を開けて、配管を外に出す方法だ。この方法を通常配管あるいは露出配管という。これに対して、室内機の近くに開けた内側の穴から配管を壁の中に通し、外側の穴は室外機に近くに開け、そこから配管を出す方法もある。この方法を隠蔽配管という。隠蔽配管については、後ほどで詳しく解説する。
本体買い替え時はエアコンの配管の穴の大きさにも注意
エアコンの配管に必要な壁の穴のサイズは、製品によって異なる場合がある。例えば、ダイキンのエアコンRXシリーズの場合、6畳用~18畳用までは直径65mm以上、それ以上のクラスでは直径70mm以上が推奨されている。
エアコンの配管は多少なら延長も可能?
エアコンの配管はジョイント用の部品を使ったり、溶接することで延長もできる。業者の判断にもよるが、長さが少し足りないぐらいなら再利用できる場合が多い。
劣化したエアコンの配管テープは巻き直しできる?
隠蔽配管や化粧カバーを使わない通常配管の場合、配管の表面はテープを巻いて仕上げられる。このテープは、直接雨風にさらされるので劣化が早い傾向にある。劣化したテープを巻き直す作業は、初めてでも比較的やりやすい配管のメンテナンスだが、不安な場合は専門業者への相談をおすすめする。
無理をすると折れることも! エアコン配管の曲げ方
引越しの際などで配管を再利用する際には、エアコンの配管を曲げることもある。エアコンの配管には主に2種類の太さがあり、細い配管は手でも曲げやすい。一方で太い配管は手では曲げにくく、無理に曲げると折れてしまうこともある。手で曲げられない場合は、ベンダーという専用の器具を使う。ただし、劣化した配管は折れやすいので、無理に再利用するのではなく、新しいものとの交換をおすすめする。
エアコンの配管を隠す隠蔽配管は配管の再利用が難しい?
配管が露出しないので、見た目がすっきりする隠蔽配管。外に面していない部屋や、ベランダがなく室外機が外に置けない部屋にもエアコンが設置できるのも大きなメリットだ。しかし、再利用するとなると少し大変な面もある。再利用できないわけではないが、壁の中にある配管は交換が難しいからだ。配管が劣化しているなどの理由で再利用できない場合には、新に壁に穴を開けて通常配管でやり直すこともある。隠蔽配管にする際には、このようなデメリットも考慮しておこう。それでも再利用を望む場合は、作業を請け負っている業者もあるので相談してみよう。
エアコンの配管の長さを伸ばすときの注意点
通常配管の室外機は、一般的には部屋の外の近い位置に設置する。一方、隠蔽配管の場合、配管を長くして室外機を遠くに設置できる。室外機の位置が自由になるのは隠蔽配管のメリットだ。なお、隠蔽配管で配管を長くしたときの注意点は以下のとおりだ。
・設置工事の費用が高くなる
・冷暖房の効率が落ちるのを補うために、エアコンへガスの追加をすることがある
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2分3分ってなに? エアコン配管のサイズを知ろう
エアコンの配管は、液管と呼ばれる細い管とガス管と呼ばれる太い管がセットになっている。2分3分はこの配管サイズの呼び方だ。主に家庭用で使われるものは「2分3分(にぶさんぶ)」と「2分4分(にぶよんぶ)」の2種類となる。
2分というのは直径6.35mm、3分は直径9.52mm、4分は直径12.7mmのことを指す。配管のサイズが違うと、配管の再利用ができなくなるので、エアコンを買い替える際には重要なチェックポイントだ。
隠蔽配管はエアコンの配管から水漏れや結露が起きても補修しにくい
配管の経年劣化により、水漏れや結露が生じることがある。補修のためには、水漏れや結露の箇所を特定しなければならないが、隠蔽配管の場合はそれが難しくなる。配管が露出しているほうがトラブルへの対処はしやすいといえる。
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エアコン配管カバーを取り付けると美観も良くなり対候性も上がる
隠蔽配管にあるようなデメリットがなく、かつエアコンの配管の見栄えを良くしたい……そんな時は配管にカバーを被せる方法がある。
壁の色に合わせてオシャレに! 色も選べるエアコン配管カバー
配管カバーは化粧カバーと呼ぶことも多い。色も壁の色に合わせて選べるので、美観は配管をテープ巻きしただけの場合と比べると格段に良くなる。また、配管が直接雨風にさらされないので、耐久性を高められるのも長所だ。
室内にも取り付けられるエアコン配管カバー
カバーは室内の配管にも付けられる。室内の場合、対候性は問題にならないので、主に美観を良くすることが目的となる。
微妙なカーブの部分にはジャバラ式のエアコン配管カバーも
直線に配管できる場合は問題ないが、間に障害物がある場合などには、配管をカーブさせなければならない。直角に曲げる場合は、間に専用の部品を挟めばカバーを曲げられるが、微妙なカーブをつける場合は、ジャバラ式のカバーが便利だ。
ただし、ジャバラ式は折れ曲がるように作られている分、強度・耐久性が低く、他の部分よりも痛みやすいので、定期的な点検が必要だ。
エアコン配管カバーはDIYでも取り付け可能?
エアコンの配管カバーは、エアコンの設置工事をしてもらうときに取り付けるのが一般的だが、後から自分で取り付けることもできる。注意点としては、上の写真の商品のようにパーツが分割できるタイプのものを購入すること。配管を挟み込むようにして取り付けられ、後付けもやりやすい。
エアコンの配管は、普段はあまり意識しないかもしれないが、エアコンの重要なパーツの1つだ。長年使っていると、配管やカバーが劣化していることもあるので、この機会に自宅の配管をチェックしてみてはいかがだろうか。
※データは2019年12月下旬時点での編集部調べ。
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文/ねこリセット