いよいよ本格化する(?)「昆虫食」のトレンド
無印良品が徳島大学と協業し、コオロギを原料にしたせんべいを開発するなど、どちらかといえば日陰の存在であった「昆虫食」が注目を浴びつつある。
世の中には、和洋中いくらでも美味しいものがあるのに「なぜ昆虫を食べるのか」といぶかしむ人も多いかもしれない。一つには、少子高齢化する日本をよそに、世界全体の人口は増え続け、2030年は90億人の大台に突入すると予測されていることが背景にある。それだけの数の人を養うには、技術革新による既存食料の増産だけでなく、食用昆虫にも目を向ける必要がある…という国際的課題がそこにある。
さらに、昆虫は、環境にあまり負荷をかけず大量に養殖することが可能だ。例えば、牛肉を1kg生産するには、8kgもの飼料を牛に与える必要がある。対して、昆虫だとそれが2kgで済む。温室効果ガスの発生量も、牛や豚に比べて桁違いに少ない。さらに、栄養面で見ても、たんぱく質やミネラルの含有量は、家畜や魚に勝っている。 ついでにいえば、低糖質でグルテンフリーで、健康ブームの時流に乗る要素も十分ある。
今回紹介する「いもむしゴロゴロカレー」も、昆虫食が持つあらゆるメリットを兼ね備えた一品だ。アフリカの伝統食をヒントに開発し、産学連携によりカレーと融合させてレトルト化。来年の6月発売を予定しているという。気になるのは、これに使われている昆虫は「いもむし」ということだけだ。
アフリカの伝統食材の食用いもむしを使用
「いもむしゴロゴロカレー」のメインの素材となっているいもむしは、シアワームという。
シアとは、アフリカで生育しているシアの木のことで、実から採取される植物性油脂は保湿剤のシアバターの原料としてよく知られている。シアワームは、そのシアの木の葉を食べて育つ蛾の幼虫である。
このシアワームを乾燥し、フェアトレードにより日本に輸入。このままの状態では「かつお節に近い」においがするという。シアワームは、アフリカではトマトと玉ねぎを使った料理によく使われるご当地食材で、特にトマトとよく合う。トマトベースのカレーの素材にするという着想は、ここから生まれた。また、カレーは日本の国民食として親しまれ、「カレーに入れると見た目の心理的抵抗が一気に下がる」というのもある。
乾燥状態のシアワーム