電子マネーの利用シーンは着実に広がっている
電子マネーの使い勝手は、日々良くなっています。例えばPayPayは、現金でチャージするなどした残高を、銀行口座へ払い出しできるようになりました(本人確認が必要)。また、LINE Payは以前から出金可能でしたが、こちらもアプリでの本人確認の手続きがすんでいれば、セブン銀行のATMなどで現金を受け取れるのです。
基本的に電子マネーは「チャージした分は消費に使うもの」というイメージがあるはず。しかし、銀行口座などを通じて出金できることで、活用できるシーンが広がったといえるでしょう。そのシチュエーションのひとつとして挙げられるのが「割り勘」です。
面倒な集金には電子マネーの個人間送金が便利
イベントの幹事は日程調整から会場の確保まで、いろいろと労力がかかります。特に、幹事がまとめて支払った後の「集金」はひと苦労でしょう。例えば、1人当たり2000円の場合、全員が1000円札2枚を手渡してくれればいいのですが、お釣りが必要な5000円札や1万円札で支払う人が必ず出てくるからです。
そんな時、LINE PayやPayPayが役に立ちます。幹事が同アプリを登録していれば、アカウントを開示することで「個人間送金」を利用して、端数も簡単に割り勘できるからです(同アプリには、割り勘の計算機能もついてます)。
理屈としては、幹事の銀行口座にモバイルバンキングで振り込んでも同じことなのですが、他行振込手数料が無料の銀行口座でなければ別途手数料が必要だったり、入金の確認が翌営業日以降になったりします。その点、電子マネーの個人間送金は、支払う人の送金手数料がかからず、幹事が入金をすぐに確かめられ、しかも払い出し機能を使えば、現金化するのにも手間取りません。割り勘にはピッタリといえるでしょう。
かつては個人間送金だけを目的とするアプリがいくつか存在し、しばしばCMも見かけました。しかし現在では淘汰が進み、サービスを継続しているアプリは少なくなっています。ちなみにICカード系の電子マネーは基本的に個人間送金をしていません。そんな今、割り勘に便利な個人間送金を使うなら、LINE PayやPayPayをはじめとするQRコード決済の電子マネーがおすすめです。
キャッシュレスの割り勘を事前に知らせるのも手
そもそも飲み会の日程調整や連絡などを、LINEで行なうことは多いでしょう。支払いを「LINE Payで割り勘する」のは、スムーズな流れのはずです。LINE PayはメッセージアプリのLINEとつながっているので、LINEのフレンドリストやグループ機能を使えば、会費請求の連絡も簡単です。
今後、幹事になった人はLINEで日程調整のやりとりをする際に「LINE Payでの割り勘もOK」の旨を通知してはいかがでしょうか。10月から「キャッシュ・消費者還元事業」が始まったこともあり、電子決済の利用者は着実に増えています。快く対応してくれる人も意外に多いでしょう。
ちなみに、PayPayも登録済みのIDを利用して、割り勘を依頼するメッセージを相手に送れます。つながっていない人でもQRコードを使えば、その場でリンクできることを覚えておきましょう。
集金分を現金化する際は手数料などに注意
驚くほど集金が簡単なキャッシュレスの割り勘ですが、出金時にいくつかの注意点があります。例えばLINE Payの場合、現金として下ろす際は1000円単位に限られ、税込み220円の手数料がかかります。一方、PayPayから銀行に出金する際は100円単位で出金できますが、手数料100円が必要です(ジャパンネット銀行の場合、無料)。ともに所定の本人確認手続きも必要になります。
数万円以上になった集金なら、現金に換えて、ほかの支出に使う選択肢もあります。しかし、LINE PayやPayPayの場合は無理に出金せず、そのまま電子マネーとして使い切るのもアリでしょう。
必要に応じて出金したり、そのままキャッシュレス決済に利用したりできる個人間送金機能。キャッシュレスな割り勘で、忘年会はスマートに幹事をこなしてみてはいかがでしょうか。
LINE Payのメニューにある〝割り勘〟をタップすれば、右写真のようなQRコードを発行される仕組み。LINEで共有しておけば、飲み会の集金の手間を確実に減らせる。
■ 山崎俊輔/お金にまつわるコラムを15本抱える人気ファイナンシャルプランナー。近著に『大人になったら知っておきたいマネーハック大全』(フォレスト出版)がある。