お正月、節分と終われば、次は立春です。その名のとおり春の始まりとされる日ですが、具体的にはいつ頃なのでしょうか。また、同時期に祝われる旧正月とはどのような違いがあるのでしょうか。立春の疑問やおすすめの過ごし方など紹介します。
立春とは
『立春』とは、二十四節気の1番目に来る節気です。『正月節』ともよばれ1年の始まりともいえますが、これだけではピンとこない人も多いでしょう。
立春とは具体的にいつ頃なのか、旧正月や節分の関係と共にみてみましょう。
暦の上では春となる
二十四節気では、立春の日から5月初旬の立夏までを春とします。立春になると「暦の上では春」などと聞くのはこのためです。
それでは二十四節気とは何なのかというと、これは太陽の黄道上の動きを4等分し、それぞれをさらに6等分した暦です。月の満ち欠けで1年を決める太陽太陰暦(旧暦)では、季節のずれを調整する大切な指標でした。
ちなみに『春立』ではなく『立春』といわれるのは、二十四節気を編み出した古代中国に由来します。かつて中国では王が季節をも司っており、春は王の宣言によって始まるものでした。これに因み、王が『春を立てる』、すなわち立春とよばれるようになったといわれています。
立春はいつ頃?
立春は、毎年2月4日頃となるのが一般的です。固定日ではないため、ときには前後にずれることもあります。
そもそも立春のもととなる二十四節気は、太陽の黄道の大円を15度ずつ24分割してそれぞれの節目を定めています。立春は太陽黄径が315度となったときとされているため、年により日にちがずれてしまうのです。たとえば、2020年の立春は2月4日ですが、2021年は2月3日になっています。
旧正月と立春は近いが異なる
立春と同様に、旧正月も新しい年の始まりといわれます。それぞれ日にちも近いため混同されがちですが、立春と旧正月はまったくの別物です。
立春が太陽の黄道上の動きをもとにした暦であるのに対し、旧正月は月の満ち欠けに基づいた暦です。立春を「1月1日」とする習わしはありませんし、根本的な考え方が違うといってよいでしょう。
季節的に旧正月と立春は近くなりがちですが、実際に両者が重なることはなかなかありません。両者が重なる年は『朔旦立春(さくたんりっしゅん)』とよばれ、とても縁起がよいといわれているほどです。
春分の日はいつ?
日本国民の祝日である春分の日は、毎年3月20日頃です。前年の2月に国立天文台が『暦要項(れきようこう)』を官報に掲載すれば、日にちが正式に決まります。
なぜ国民の祝日が固定されていないのかというと、春分の日は天文学上の『春分日』を採用することが法律によって定められているためです。
太陽の黄道と地球の赤道を天上に伸ばした『天の赤道』は、2点で交わります。これがそれぞれ春分点、秋分点と定義され、太陽が両点を通過する瞬間が『春分』『秋分』とよばれます。春分の日とはこの春分を含む日と定義されるため、必ずしも毎年同じ日になるとは限りません。
節分は立春の前日を指すことが多い
日本では恵方巻きや豆まきでおなじみの節分は、立春の前日と決まっています。そもそも節分は『季節を分ける』という意味を持ち、季節の変わり目の前日にくるものです。ですから、立春に限らず、立夏、立秋、立冬の前日にもそれぞれ節分があります。
このうち立春は旧正月と近いうえ、春を迎える前の大切な日です。ほかの節分よりも重視されたため、現在では『節分=立春の前日』というイメージが強くなりました。
ちなみに節分に豆をまくのは、新年の邪気払いの儀式の一つです。季節の変わり目は悪いものが出やすいとされ、ほかの節分でもさまざまな邪気払いの儀式が行われます。
立春を過ぎてから送る 余寒御見舞い
『余寒御見舞い』は春の初めに送るあいさつ状です。まだまだ厳しい寒さが残る立春の頃、友人・知人と近況報告のやりとりなどしてみてはいかがでしょうか。
余寒御見舞いの出し方や書き方を紹介します。
いつからいつまで出せる?
余寒御見舞いは、立春を過ぎた頃から2月末頃まで出すことが可能です。季節のあいさつ状として使えるほか、年賀状や寒中見舞いを出し忘れた場合も、余寒御見舞いで返信します。
ちなみに、季節のあいさつ状は出せる期間が決まっているため、返信には注意が必要です。
まず、『あけましておめでとう』と年賀状で返せるのは、松の内までに限られます。これを過ぎると、節分までは寒中見舞いを出さねばなりません。さらにこの時期も過ぎると、いよいよ余寒御見舞いの出番です。
体調を気遣う一言を添えよう
余寒御見舞いは、春とは名ばかりの時期に送るものです。文面には送る相手の体調を気遣う言葉など入れるとよいでしょう。
また、年賀状や寒中見舞いへの返信なら、長らく返信しなかったことのおわびも必要です。書き方に明確な様式はないので、心に思うことを丁寧につづってみてはいかがでしょうか。
ただし、文頭には『余寒御見舞い申し上げます』など入れることをお忘れなく。
立春にしたいことは?
立春は、二十四節気では1年のスタートとなる大切な日です。春の訪れとともに、運気アップを図ってみましょう。
立春をきっかけに行うと縁起がよいことを紹介します。
財布を新調して金運アップ
春に財布を新調すると金運が上がるといわれます。これは、春に財布を買うと『張る=お金でパンパンになる』と考えられるためです。
春の始まりである立春は、財布の新調に最適な時期といえるでしょう。
また、縁起をさらに担ぐなら、財布を使い始めるのは『寅の日』がよいといわれます。金色の毛並みをしたトラは、金運をよぶ縁起のよい動物です。足も速いため、使ったお金がすぐ戻ってくるともいわれます。
金運をさらにアップしたい人は、ぜひ寅の日に財布を下ろしてみてくださいね。
神社にお参り
春の始まりとなる立春には、祭事を行う神社も少なくはありません。神社を訪れれば、華やかな春を身近に感じられます。
特に初詣に行けなかった人にとって立春は、最もよいお参りのタイミングです。神様に新年のごあいさつをしたりお守りを購入したりなどするとよいでしょう。また、神社によっては立春らしい『立春大吉』のお札など販売しているところもあります。自宅にこれを貼っておけば、よい邪気払いになりますよ。
さらに、神社によっては節分や立春限定の御朱印を授けてくれるところもあります。普段御朱印をもらったことがない人は、特別な立春の御朱印から始めてみるのもよいかもしれません。
立春に食べるものといえば?
お正月にはおせち料理、節分には恵方巻きを食べます。それでは、立春にはどんなものを食べるとよいのでしょうか。
立春に食べたい甘味や料理を紹介します。
立春大福でおめでたい気分でいっぱいに
気軽に縁起物を食べたい人におすすめなのが、大福です。丸い形は『物事を丸納める』と考えられるうえ、粘りのある食感は『粘り強さ』を表わすともいわれます。
立春の頃には『立春大福』の名がついた特別な大福が登場するので、お店を探してみるとよいでしょう。
ふきのとうなど旬の食材やお赤飯を
季節の旬を味わって、春の訪れを感じるのもよいですね。立春の頃は、ふきのとうや菜の花が旬です。これらは、冬の間に体に溜まった余分なものを排出しやすくしてくれるといわれます。天ぷらや炊き込みご飯など、気軽に調理してみましょう。
また、慶事にふさわしいお赤飯は、立春の日の食卓を華やかに彩ってくれます。赤い色は厄除けの意味もあるといわれているので、1年の無病息災を願って頂きましょう。
文/編集部