日本には国民皆保険制度があり、国民全員が公的医療保険で保障され、医療機関を自由に選び、高度な医療を安い費用で受けることができます。国民健康保険はその公的医療保険のひとつで、会社の健康保険(健康保険組合、共済組合など)加入者や生活保護受給者以外は、ここに加入するわけです。
つまり、定年や転職準備などで会社を退職した人は、保険の切り替えが必要なのですが、その際によく聞くのは、「こんなに保険料って高いの?」との声です。
国民健康保険料が高い理由
健保組合など会社の公的医療保険は、保険料を加入者(従業員)と会社が折半しているのに対し、国民健康保険は加入者自身が全額負担です。これだけで大きな差が出ます。
さらに、国民健康保険の加入者には年金生活者や無職の人が含まれ、平均年齢も高いためどうしても出て行く医療費が高くなります。ハッキリ言えば、支出ばかり増えて収入の少ない状態。
なので、どうしてもひとり当たりの保険料(負担額)は高くなるのです。
国民健康保険料はどうやって決まる
保険料の決め方の元になるのは、前年度(1月~12月)の所得で、
・加入者全員の医療費給付費分(基礎賦課分)
病院で受診した医療費の保険給付分や出産育児一時金などに充てます。
・後期高齢者支援金等分
文字通り、後期高齢者制度を支えるためのもの。
・介護納付金分(40~65歳に該当する人数分)
介護保険制度を支えるためのも。
という、3項目について、次の4つについて計算します。
・所得割
世帯の所得に応じて計算
・均等割
世帯の加入者数に応じて計算
・平等割
1世帯あたりに応じて計算
・資産割
固定資産税額に応じて計算
これらの合計が1世帯あたりの保険料となります。ただし、それぞれに割率や額、賦課方式は市区町村ごとに異なります。
*(参考) 賦課方式の違い
4方式 所得割額、資産割額、均等割額、平均割額を賦課
3方式 所得割額、均等割り額、平均割額を賦課
2方式 所得割額、均等割り額を賦課
結果、最終的な保険料がどのくらいの差になるのかは、厚生労働省が平成31年2月に取りまとめた「【市町村別】平成30年度保険料(税)率等(医療+後期+介護の一般被保険者分)あたりが参考になるでしょう。
国民健康保険は毎月いくらくらい?
国民健康保険保険料の計算はとてもややこしいうえ、保険者(市区町村)により使われる計算式が変わり、同じ所得でも格差が生じます。
国民健康保険料の月額平均は?
市区町村が運営主体だった国民健康保険は2018年、主体を都道府県に移すことで、広域化によるメリットを打ち出し財政を立て直そうとしています。ある程度の年数が建てば、都道府県内での差は縮まると思われます。
参考資料として、平成30年11月に国保中央会が発表した「国保のすがた」では、保険料(税)調定額の平均は、平成28年分で年間9万4140円と紹介されています。
ちなみに、2019年の国民健康保険料には上下に限度額(約5万円~96万円)が設けられているため、莫大な所得のある人には安価に感じる。ほとんど所得のない人は、それなりの額が請求されるという面もあります。ただし、毎年その額は変動していくことも予想されています。
国民健康保険料に減免ってあるの?
所得が一定基準以下の世帯、災害などの特別な事情によるものなど、状況に応じた減免制度が用意されています。
とくに65歳未満の、転職に伴う一時的な国民健康保険加入となるケースでは、前の会社の退職理由が会社都合だった場合、前年度所得を100分の30として計算する減免制度もあります。
いずれの場合も、まずは住民票のある市区町村窓口で相談を申し込むのがおすすめです。自分であれこれ計算するより確実で早いです。
【参考】東京都中央区の場合
国民健康保険の計算機ってある?
いったい自分はいくらの保険料になるのか。必要なデータを入れるだけで計算をしてくれるサイトは、市区町村を中心に複数あります。
まずは自分の住んでいる市区町村のサイトにそれがあるか調べてみましょう。
ちなみに、自動計算してもらえる市区町村は次のようなシミュレーション(自動計算)サイトを持っています。