〈日本一小さい湖〉山形県
テレビ番組『ポツンと一軒家』が人気だが、山形県南陽市に広がる一面の田畑の中にある〝ポツン〟も必見だ。まるで溜池や沼のようだが、実は湖。大きさは周囲3.5㎞、面積1.08㎢で、東京の新宿御苑と同程度の広さだ。歌人の斎藤茂吉も詠んだ湖としても有名で、
「沼の上にかぎろふ青き光よりわれの愁の来むと云ふかや」と詠んでいる。
やはり、あまりの小ささに湖と気がつかなかったというわけでははなく、昔は赤湯沼と呼ばれていたからだが、やはり沼のように見えたわけだ。ちなみに名の由来は、置賜一円が日照りで困っていた時、旅の僧侶が三日三晩雨乞いをした後、この湖から白龍が昇り出て、雨を降らしたという伝説から来ている。
そんな白竜湖だが、実は古代の時代に置賜盆地に広がっていた巨大湖〝大湖水〟の名残り。白竜湖には目立った河川がなかったために長い年月をかけて土砂の堆積が進み、現在の大きさになったとされている。
それゆえ湖は最も深いところで水深は1mほど。白竜湖の水が循環する周囲の水田からも泥が流入し続けており、さらに田んぼの肥料まかれたリンなどを養分として水草のヒシが育ち、腐ったり枯れたりして湖底に沈殿。このままの状態では毎年1cmペースで水深が浅くなり、今世紀中には消滅する可能性があるとか。この小さな湖を守るため南陽市では、ヒシを除いて水質の改善を図る「白竜湖再生プロジェクト」を実施するため、「ふるさと納税」の仕組みを活用した「ガバメントクラウドファンディング」をスタート。2茂吉も詠んだ心の原風景を守ろうと試みている。
文/寺田剛治