〈日本一大きい土偶〉青森県
最近の特撮ヒーローものやアニメは、かなり趣向を凝らして、思いも寄らぬ組み合わせでロボットを合体させているが、この木造駅にかなうものはないだろう? そう、この写真は駅の写真。ただの巨大な土偶ではないのだ。秋田県の東能代駅〜青森駅を結ぶ五能線にある駅のひとつだが、風光明媚な車窓が人気と言われているのにも関わらず、かなり思い切ったデザインを駅舎に採用していることに驚く。
なぜ土偶なのかというと、この木造駅のそばに縄文時代を代表する「遮光器土器」が発掘された亀ヶ岡遺跡があるから。それにしても、ユニークな駅舎すぎるが、このアイデアが採用された背景を知れば納得。1988(昭和63)年に国の政策として行われた「ふるさと創生事業」の交付金1億円を活用して作られたのだ。完成は1992(平成4)年。しかも費用は1億では足りず、2億円超になったとか。
地元住民にも愛され「シャコちゃん」と呼ばれるようになった、この駅舎と合体した遮光器土偶はその見た目にそぐわぬ演出を盛り込んでいる。目は列車の発着に合わせて赤く光るギミックを搭載。地元では「いらっしゃいビーム」と呼ばれているそうだ。しかし、近年では子供たちから「怖い」との声が上がってしまい点灯を控えているそうだが、何なかんだ地元で愛されている日本一の土偶なのだ。
文/寺田剛治