オレオレ詐欺は、第三者からすれば、なんでそんな手に引っかかるのかと不思議に思う手口だ。なぜ、いとも簡単にだまされてしまうのか、その心理を、元刑事で、現・一般社団法人日本刑事技術協会の代表理事を務め、経営者の「人の悩み」解決コンサルタントの森透匡さんに聞いた。
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オレオレ詐欺でだまされる大きな原因は「ピンチの電話」にあり
森さんは県警本部課長補佐時代、振り込め詐欺対策本部の取りまとめを担当する責任者として予防と検挙の企画補佐をしていたという。そんな森さんにオレオレ詐欺についての話を聞いた。
「オレオレ詐欺は2003年頃から発生が多くなり、マスコミの報道などを通じて悪人に模倣されるようになって各地に爆発的に広がり、現在も未だ発生している詐欺犯罪です。
この事件の特徴は『オレだよ、オレ』と息子や孫になりすました犯人から電話があり、自宅にいた親などをだますことで知られています。なぜこんな手口でだまされるのでしょうか?
これは息子や孫が『ピンチの電話』をかけてくることに大きな原因があります。息子や孫は『痴漢で捕まったから金がいる』『会社の金を使い込んで警察沙汰になりそうだ』『旦那さんのいる奥さんに手を出して慰謝料を請求されている』などの理由を伝えて、金銭を貸してくれと言ってくるのです」
親心に付け込んだ犯罪
「ピンチの電話が来ると、『普段、連絡もしてこない息子が電話してくるということはよっぽどのことなんだろう』と、親としてそのピンチを救ってあげたいと思うのは当然です。つまり親心に付け込んだ犯罪なわけです。子どもを思うあまり、ウソの事実に引き込まれて払ってしまうわけです。
だまされないためには日頃から息子とよくコミュニケーションをとることが重要といえるでしょう」
次回は、森さんにオレオレ詐欺の見抜き方についてアドバイスしてもらう。
【取材協力】
森 透匡(もり ゆきまさ)さん
一般社団法人日本刑事技術協会 代表理事
(経営者の「人の悩み」解決コンサルタント)
警察の元警部。詐欺、横領、贈収賄事件等を扱う知能・経済犯担当の刑事を約20年経験。 東日本大震災を契機に独立し、刑事が職務上体得したスキル、知識を用いてビジネスの発展と社会生活の向上に寄与することを目的とし、一般社団法人日本刑事技術協会を設立、現在は代表理事として「ウソや人間心理の見抜き方」を主なテーマに大手企業、経営者団体など毎年全国180か所以上で講演・企業研修を行い、これまで6万人以上が聴講、「究極の心理学だ!」「おもしろい!」と人気を博している。
TBS「ビビット」、日本テレビ「月曜から夜ふかし」、読売新聞、日経新聞などメディアへの出演、掲載も多数。著書に「元刑事が教えるウソと心理の見抜き方(明日香出版社)」がある。
http://j-keiji.org/
取材・文/石原亜香利