えっ、先月の電気代高過ぎじゃない!?……そんなふうに、冬になると電気代の高さに驚くことがよくある。
この電気代高騰の一端を担っているのが、冷房運転よりも電気代がかかるといわれる暖房運転だが、使用方法をちょっと工夫するだけで省エネにもつながり、効率よくお部屋を暖めることができるのをご存じだろうか?
暖房運転、風向は水平に対して60°以上「下向き」がおすすめ!
エアコンを暖房運転で使用する際、部屋全体を暖めようと、風向を上向きにされる人がいるが、実は逆効果。
空気の特性として、冷たい空気は下に溜まり、暖かい空気は上がっていく性質があり、エアコンから吹き出す温風も同様だ。
吹き出し角度が下向きでないと、温風が部屋の高い位置に上がってしまい、低い位置まで届かずなかなか部屋が暖まらない。よって、空気の特性をふまえ「下向き」に吹き出すように風向設定しよう。
吹出し角度は水平に対して60°以上、下向きの風向設定がおすすめ。また、より部屋を効率よく暖めるには、風向に加え、風速も重要だ。風速が弱いと吹き出された温風が床面まで届かず、途中で舞い上がってしまう。
温風は床面に届いて床を伝って部屋全体に広がる性質がある。なので、暖房運転では風速は「強め」がおすすめだ(図1)。
※暖房運転時の上下風向、風速は自動モードがある機種では「自動」に設定するのがおすすめ。
(エアフィルターが汚れていると溜まったホコリに邪魔をされて風速が強くならない。暖房シーズン前にお手入れをしよう。)
左右の風向設定で省エネ効果アップ!
冷房運転に比べ、より電気代がかかる暖房運転だが(理由は次ページ※)、できるだけ効率よく使うことで省エネにつながる。
ポイントは、最初から部屋全体を暖めるのではなく、部屋の中でも、ソファーやダイニングなど、人がよく居るエリアに向けて左右フラップを調整して、人の足元周辺を素早く暖めること(図2)。人は足元が暖かいと、設定温度が少し低めでも寒さを感じることなく、快適に過ごすことができる。
一般的に、設定温度が 1℃違うとエアコンの省エネ性は約10%向上する。暖房運転では風向を調節して効率を上げるのが省エネのポイントだ。
※<冷房運転に比べ暖房運転の電気代がかかる理由>
エアコンは冷房時、室内の空気から熱を奪って、室外機に運んで外に放出することで部屋を冷やしている。逆に暖房では外の空気から熱を奪って、室内に運ぶことで暖めている。この仕組は、まるで熱を運ぶポンプのようなので、「ヒートポンプ」と呼ばれている。
また、冷房と暖房で電気代が違うのは、室温と外気温の温度差が冷房と暖房で違うからだ。
この温度差が大きいほどエネルギーが必要になる。例えば夏の外気温が35℃の場合、冷房推奨設定温度28℃との差は7度だが、冬の場合は外気温が 7℃の場合、暖房推奨設定温度20℃との差は13度にもなる。
その結果、冬場のほうがより多くのエネルギーを消費し、冷房運転よりも電気代がかかってしまう (図3) 。
(図3)
寒い冬、効率よくお部屋を暖める3つのポイント
この冬、効率よくエアコン暖房を使用するカギである風向きに関して、押さえておきたいポイントを紹介していく。
■ポイント1:風向きを下向きにし、床(足元)にエアコンの風が届く風量設定にする
暖められた空気は部屋の上に昇るため、エアコンの上下の風向きを調整するフラップを動かして、温風が床面に届くよう水平に対して60°以上、下向きの風向設定にして、床に届くよう風速を強めに設定しよう。
※暖房運転時の上下風向、風速は自動モードがある機種では自動に設定するのがおすすめ。(エアフィルターが汚れていると溜まったホコリに邪魔をされて風速が強くならないので、暖房シーズン前にお手入れを済ましておくのがベター)
■ポイント2:エアコンの左右フラップを調整し、「部屋の中で多くの時間を過ごす場所」に風を向ける
エアコンの左右の風向きを調整するフラップを動かして、「部屋の中で多く過ごす場所」に風向きを向け、人の足元周辺を暖めよう。
※エアコンの上下の風向き調整はリモコンでできるが、左右の風向き調整がない機種の場合は、手動で風向きの調整を行う。
■ポイント3:エアコンの風を直接肌に当てない
エアコンの風を直接肌に当てると乾燥しやすくなる。風向きを自分がいる位置からエアコン一台分くらい空けた場所に設定するのがおすすめ。
さらに暖房効率が上がる!メーカー社員が実践するおすすめ情報
■実践1:ドアやカーテンを閉めて、室内に冷気が侵入しないようにしよう。
ドアやカーテンを閉めることで、玄関や窓辺など、外から冷気の侵入を遮断することができる。冷気の侵入を防ぎ、部屋を保温することで、しっかりと効率良く快適空間を実現する。
■実践2:フィルターのお手入れはこまめに
フィルターにホコリが溜まると目詰まりして空気が通りにくくなる。そうすると、床面に温風を届かせるために必要な風速が出せなくなってしまう。
しかも暖房・冷房の効率も悪くなるので、放っておくと年間で10~20%の省エネ性の悪化につながる。そのため、フィルターのお手入れはこまめに実施しよう。
■実践3:シーリングファンやサーキュレーターのあるお宅では、是非冬も活用しよう
シーリングファンやサーキュレーターは室内の空気を循環させる。室内上部に溜まる温かい空気を循環させ室内の温度を一定にすることで快適な室内空間を実現する。
【シーリンファン使用例】
暖められた空気の上昇を抑え、暖房効率を上げる。
【サーキュレーター使用例】
下から上に向かうように向け、室内上部に溜まる温かい空気を循環させることで暖房効率を上げる。
※エアコンの温風とサーキュレーターの風が干渉しないように設置する。
出典元:三菱電機
構成/こじへい