写真提供:島田市
〈日本一長い木造歩道橋〉静岡県
急流で知られる大井川に架かるこの木造橋は、国内でも数少ない〝賃取橋〟(ちんとりばし)、つまり有料の橋として知られ、大人1回100円、子供10円、自転車100円で渡れる。長い木=長生き、全長897.4m(やくなし=厄無し)の語呂合わせで縁起がいいとされ、観光スポットとしても人気だが、その成り立ちは観光用ではない。
1869(明治2)年7月、最後の将軍徳川慶喜を護衛してきた幕臣たちが大井川右岸にある牧之原を開拓し、お茶を作り始めた。そこで、島田宿の開墾人総代達は、時の静岡県令(現在の知事)に橋をかける願いを出し、1879(明治12)年に蓬莱橋が完成。しかし木造橋のため、大井川の増水のたびに被害を受けてきたため、1965年(昭和40年)4月にコンクリートの橋脚に変え、今日の姿となったのだ。
1997年(平成9)年に「世界一長い木造歩道橋」としてギネスに認定されたのを機に、全国的に有名に。人気を受けて、2003(平成15)年からは高輝度LED照明機器が設置され、日没とともに緑色の光が橋の輪郭を浮かび上がらせ、幻想的な空間にするなど飽きさせない演出を試みている。
蓬莱橋のそばにあるギネス認定のモニュメント。
島田市観光協会HPより
住所:静岡県島田市南2-22-14
文/寺田剛治