〈日本一大きい鳥居〉和歌山
田畑の真ん中に、そびえ立つ巨大な鳥居。これは世界遺産・熊野古道(正式には「紀伊山地の霊場と参詣道」)にある霊場のひとつで、全国の熊野神社の総本山に当たる「熊野本宮大社」の鳥居。しかし、なぜか本宮から500m、歩いて10分もかかる大斎原(おおゆのはら)に建っている。
実は、そもそもこの地に本宮があったのだが、熊野川と音無川の中州だったこともあり、1889(明治22)年に起きた大洪水により社殿の多くが流出してしまったのだ。失われた「中四社」「下四社」をまつる石造りの小祠が建てられたが、運よく流出を逃れた「上四社」を高台となっている現在の場所に遷座することになったという。
時を経て2000年。その社寺跡に建立されたのが、この超巨大な鉄筋コンクリート製の大鳥居だ。神と自然と人が共にあるように、大斎原が熊野の神徳の発信基地となることを祈願している。
住所:和歌山県田辺市本宮町本宮1
文/寺田剛治