〈日本一低い山〉宮城県
仙台湾に面した蒲生(がもう)干潟に位置し、明治時代に漁師が出漁の際に天候を〝日和る〟(予測する)ために造られた築山。かつては標高が6.05m、南北に40m、東西に20mの山体で、1991年に国土地理院関係者が「日本一低い山」として紹介。しかし、1996年に大阪の天保山が標高4.53mとして国土地理院が出版した地形図に記載されたため、日本一の座を明け渡すことになったという。
では、なぜ現在の日和山の標高が3mとなり、日本一に返り咲いたのか? その理由は3・11と関係する。東日本大震災により発生した津波が、日和山の山体を大きく削り取ったのだ。一時は〝消失〟とも報道されたが、2014年に再び国地理院の測量調査が入る。その結果、日和山の存在を認定し、標高は3mであると発表したのだ。
奇しくも東日本大震災により「日本一低い山」に返り咲く結果となったが、地元の山が消失していなかったのは、この地を憩いの場としていた地元住民たちにとってはうれしいニュースだった。今、その山頂には多くの人が東北復興を願い、石を積み重ねられている。
住所:宮城県仙台市宮城野区蒲生町87
文/寺田剛治