■連載/阿部純子のトレンド探検隊
ロボットカフェでありながら「自然」を意識した内装で心地よい空間に
12月5日に開業した「東急プラザ渋谷」5階に、Pepperをはじめとしたロボットたちが働くカフェ「Pepper PARLOR」がオープンした。「Pepper PARLOR」はソフトバンクロボティクスが運営する初の飲食店で、Pepper、NAO、Whizの3タイプのロボットたちが接客やパフォーマンス、清掃とさまざまなシーンで活躍する。
「Pepperは2014年生まれで5歳になった。街中で見かけることも増えてきたが、喜んで使っていただいている方、そろそろ新しいことをやれば?と思っている方など反応もさまざま。次なる挑戦ということでカフェをスタートした。しかし、大きな声では言えないが、主役はロボットではなくお客様。ロボットがいなくても素敵だと思っていただける店を目指した。心地よい空間でくつろいでいると、周りではロボットが働いている、そんな場所になればいい」(ソフトバンクロボティクス 取締役 蓮実一隆氏)
「Pepper PARLOR」には国内外で活躍するスペシャリストが参画。東急プラザ渋谷、グランツリー武蔵小杉、パレスホテル東京などのブランディングに携わってきた柴田陽子氏がブランディングプロデュースを担当、ニューヨークのJean-Georges本店で日本人初のスー・シェフ(副料理長)に抜擢され、現在はTHE BURN総料理長を務める米澤文雄氏がメニュー監修を担った。
「孫さんとPepperの記者会見の様子が強烈に印象に残っていて、孫さんが話していた『人にとっての一番の脅威は孤独。ロボットには孤独を癒せる可能性があると信じたい』という言葉は今でもよく覚えている。私自身、アトムやドラえもん見て育った世代なので、ロボットへの想いもあり、2年前にソフトバンクロボティクスを訪ねたことからこの企画が始まった。時間が経ちこの館が育つのに合わせて、ロボットにもできることが増えていき、人との関わりがもっと豊かになることも見据えて、シミュレーションしながらものづくりを進めた」(柴田氏)
「“世界を旅するグルメ&スイーツワッフル”がコンセプト。主役はワッフルで、そこに世界各地のフレーバー、食材などを合わせてお皿に表現した。メニュー開発ではピザやパンケーキも考えたが、ワッフルにはさまざまな可能性があると思い決めた。外国から来た方が自国の食材を見て喜んでもらえたり、日本の方がその国の良さを知る機会になれば」(米澤シェフ)
内装デザインは森田恭通氏、ウォールデザインは久住有生氏が担当。420㎡、全162席の広々としたスペースで、ロボットカフェだがグリーンを多く配した、「自然」を感じられる内装に仕上げている。
店舗のグリーンをプロデュースした尾藤祐子さんは、「普段、苔はわき役だが、主役にしたときのデザインは面白く大きな可能性がある。森に来たような感覚になる中で、白いPepperが目立つようにできたらいいと、緑を強調して白と緑のコントラストをはっきりとさせた」と話す。
メニューは米澤シェフが監修したスイーツ系、おかず系のワッフル「世界を旅するグルメ&スイーツワッフル」各種、ビーガンメニュー、コーヒークリエイターの中川亮太氏がシーズンごとに作り上げる「THE Premium Coffee」を提供する。
また、ブランドやアーティストとコラボレーションしたオリジナルグッズも販売。「世界を旅するPepper」をコンセプトにした松本セイジ氏のオリジナルイラスト入りのTシャツやマグカップ、ビームス創造研究所がディレクションしたオリジナルグッズ、「ミュゼ・ドゥ・ショコラ テオブロマ」とのコラボチョコレートなど、グッズや食品とラインナップも豊富に取り揃えている。