会社員・公務員の方でふるさと納税をされている方の多くは、ワンストップ特例制度利用しているでしょう。ワンストップ特例制度のメリット・デメリットを理解して、e-TAXでの申告も検討してみましょう。
ふるさと納税の税金が還付・減税される仕組み
①所得税からの控除
所得税の控除金額=(ふるさと納税額-2,000円)×所得税率※
控除の上限は総所得金額等の40%
※令和19年まで、所得税率に復興特別所得税の2.1%も加えた税率になります。
(参考)国税庁 所得税の税率
② 住民税からの控除(基本分)=(ふるさと納税額-2,000円)×10%
総所得金額の30%が上限
③住民税からの控除(特例分)=(ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%(基本分)-所得税率)
④住民税からの控除(特例分)=(住民税所得割額)×20%
③で計算した特例分が住民税所得割額の2割を超える場合は④の計算式となります。この場合、①②④の控除合計が全額控除しきれず、実質負担が2,000円を超えます。
計算は分かりづらいため、ふるさと納税サイトの控除上限額シミュレーションを用いて、寄付額を決めるのがおすすめです。なお、医療費控除や住宅ローン控除を行う方は、必ずシミュレーションにいくらか入力してシミュレーションしましょう。
<ふるさと納税控除上限額シミュレーション>
ふるさと納税をした年の所得税の控除分は翌年の確定申告後、振込等で還付され、住民税の控除分は翌年減税され6月以降の毎月の給与の住民税天引き分に翌々年の5月まで反映されます。
ワンストップ特例制度とは?
ワンストップ特例制度とは、寄付するときに【「ワンストップ特例制度」を利用する】のチェック欄にチェックしてくと、寄付後に送付される寄付証明書とともに「寄付金税額控除に係る申告特例申請書」が同封されているので、必要事項を記入し、本人確認の書類、個人番号確認の書類を添付して、寄付した自治体に返送すると確定申告が不要になります。
<ワンストップ特例制度の特徴>
・寄付自治体が5つ以内でであること
・寄付ごとに書類の返送が必要
・同じ自治体に複数回寄付した場合にも書類は必要
・確定申告が不要になる
・確定申告する場合は使えない(例:医療費控除を受ける、住宅ローン減税1年目等)
・全額住民税から控除
e-TAXとは?
通用、確定申告は税務署に書類を持参して申告しますが、e-TAXなら家でいつでも簡単に申告できるのでおすすめです。
<e-TAXの特徴>
・ICカードリーダライターか対応機種のスマを用意し、マイナンバーカードが必要
(税務署で本人確認をして発行されるID・パスワード方式の場合不要だが、暫定措置のため利用できなくなる可能性あり)
・所得税の還付が受けられる
・住宅ローン減税と併用する場合住宅ローン減税が受けらない可能性がある
会社員であれば、ワンストップ特例制度で確定申告不要になりますが、何件も寄付した場合その都度書類を書かなければならず、それぞれに切手と封筒が必要でとても面倒です。
そこで準備さえすれば、10分程度のパソコン作業で簡単なe-TAXの方が便利です。
また、ワンストップ特例制度が住民税からの控除であるため翌年に減税されるのですが、e-TAXであれば国税庁の確定申告作成コーナーが開設される1月頃から申告可能で、申告後2,3週間で所得税分が銀行に振込されます。住民税分は翌年から減税されますが、所得税分がすぐに振り込まれるのが、メリットとなります。
ただし、注意したいのが、住宅ローン減税と併用する場合です。
ふるさと納税は、住宅ローン控除より先に所得税から控除されます。次に、残った所得税から住宅ローン減税分が控除され、引ききれなかった住宅ローン減税分を住民税から控除します。ふるさと納税には住民税から差し引ける金額に上限がありませんが、住宅ローン減税には住民税から控除できる金額に上限があります。
<住宅ローン減税 住宅税からの控除上限額>(平成26年4月以降~令和3年12月)
前年度課税所得の7%、年13.65万円
したがって、ふるさと納税の控除後所得税が減り、住宅ローン控除額が所得税から引ききれず、その引ききれない分が住宅ローン減税の住民税の控除上限額を超える場合には、ワンストップ特例制度で、ふるさと納税は住民税からのみ控除した方が良いでしょう。
e-TAX の申告方法
1.国税局のホームページでe-TAX最新版ソフトをダウンロード
ふるさと納税した翌年1月くらいからダウンロードでき、確定申告期間の2月15日〜3月15日を待たずに申告できます。
2.ICカードリーダライタをパソコンに繋げて、マイナンバーカードを挿入
3.ソフトの手順に沿って申告
会社から発行された源泉徴収票をもとに、入力していきます。
4.還付
税務署が確認したら、所得税還付分はすぐに振り込まれます。残りの還付分は翌年の住民税が減額されるという形で還付されますので、翌年に海外勤務等がある場合は住民税の還付分が戻ってこないのでご注意ください。
e-TAXも選択肢に
ふるさと納税を複数の自治体に寄付した時、都度申請書を提出するのはかなり煩雑な作業です。一見難しそうに見えるe-TAXですが、ソフトの手順に沿って入力作業を行えば簡単に終わります。また、一緒に医療費控除や副業の申告もできるので、e-TAXを選択肢の一つに入れてみましょう。
文/大堀貴子
フリーライターとしてマネージャンルの記事を得意とする。おおほりFP事務所代表、CFP認定者、第Ⅰ種証券外務員。