ほとんどの衣類は家で洗える
仕事で毎日着るスーツとスラックスにワイシャツ、そして休日の街着などにかかるクリーニング代は、年間でみると結構ばかにならない金額になる。
しかし、このクリーニング代を一気に減らす方法がある。
それは、家庭用洗濯機で洗うことだ。
横浜のクリーニング店「リブレ ヨコハマ」を営む茂木康之さんは、スーツやコートも含め「ほとんどの衣類は家で洗うことができます」「これで、クリーニング代を年間10万円も節約した人がいます」と言う。
「リブレ ヨコハマ」は、劇団四季やシルク・ドゥ・ソレイユなど、国内外の劇団や有名アーティストの衣装のクリーニングも手掛ける有名店。そこの店主が語る言葉に嘘偽りはない。
より正確に言えば、皮革、毛皮、レーヨン、キュプラ、半合成繊維、光沢やシワ加工のあるものはNG。クリーニング店の出番となる。それ以外は、カシミヤやシルクのような高級素材を含め、家庭用洗濯機で洗える。
ただし、洗濯機の使い方にもコツがある。それを知らないと、黄ばみが取れなかったり、服が痛んで寿命が短かくなったりなどトラブルが起き、「やっぱりクリーニング店に頼んだほうがいいのでは」となってしまう。
そうならないためのテクニックを網羅したのが、茂木さんら「洗濯ブラザーズ」の共著 『日本一の洗濯屋が教える 間違いだらけの洗濯術』(アスコム)だ。
本書で洗濯ブラザーズが明かすマル秘テクの数々は、洗濯機の使い方にとどまらない。脱いだ服の保管方法から乾燥のコツまで、オールラウンドに解説されている。今回は、その一端を紹介したい。
プレウォッシュを習慣に
襟や袖の黄ばみのない理想的な洗い上がり。これを実現するため、「プレウォッシュ」がすすめられている。
これは、洗濯機に投入する前の「前処理」のこと。クリーニングのプロは絶対行うが、家庭ではほとんどしないので、初耳の人が多いだろう。
やり方はとても簡単。まず、プレウォッシュ液を作る。洗濯用洗剤(弱アルカリ性の液体タイプ)と、空のスプレー容器を用意し、容器に洗剤を入れる。そして、洗剤と同量の水道水も入れ、軽く振って混ぜる。一度に作る分量は、1週間で使い切れるくらいにとどめる。
これを、洗濯機投入を控えた衣類にスプレーする。「全体にまんべんなく1回、汚れの気になるところに3回スプレー! 15分おいてから、洗濯機で洗おう!」と茂木さん。
プレウォッシュを行うことで、繊維の奥に残っている皮脂汚れが浮き出し、洗濯機で洗った際に汚れが一掃される。なお、ガンコな黄ばみは、市販の洗濯用ブラシ(なければ歯ブラシでもOK)でトントンと叩いて汚れを浮かしてから15分置くと効果的だそう。