■連載/石野純也のガチレビュー
ミドルレンジのスマートフォンながら、おサイフケータイや防水・防塵にいち早く対応したシャープのAQUOS senseシリーズ。バランスのよさが評価され、SIMフリー市場はもちろんのこと、大手キャリアの販路でも、好調な売れ行きを維持している。そのAQUOS senseシリーズの最新モデルが、「AQUOS sense3」だ。
同モデルは、ドコモやauが取り扱うほか、派生モデルは楽天モバイルにも展開。MVNO各社も販売するなど、広く流通している。中身をAndroid Oneに準拠したモデルは、「Android One S7」として、ワイモバイルから発売される。バランスのよさはそのままに、先代の「AQUOS sense2」から、スペックに磨きがかかっているのが特徴。厳しく見るとやや不足しがちだったパフォーマンスも、Snapdragon 630を採用することで、大きく改善されている。
性能を強化しながらも、価格は先代と同レベル。大手キャリア、SIMフリーともに、3万円台前半から3万円台半ばで販売されており、コストパフォーマンスの高さは健在だ。では、AQSUO sense3は、どの程度“使える”端末なのか。ここでは、ドコモ版の実機を使って、そのコストパフォーマンスをチェックした。
パフォーマンスが向上し、不満点をきっちり解消
まずは、もっとも気になるパフォーマンスから見ていきたい。AQUOS sense2の時は、「遅い」とイライラするほどではなかったものの、ハイエンドモデルに慣れてしまっていると、キーボードの立ち上げや、画面の切り替わりのわずかなタイムラグが少々気になっていた。アプリの立ち上がりも、少々時間がかかっていた印象だ。時間にすると、コンマ数秒の差かもしれないが、人間の感覚は思った以上に鋭い。必要十分とはいえ、Snapdragon 400シリーズの限界だったのかもしれない。
もちろん、当初からグラフィックスに凝ったゲームが動くといったことは期待していないが、実はこうした画面の切り替えにも、パフォーマンスが要求される。では、Snapdragon 630を搭載したAQUOS sense3はどうか。試しに文字を入力してみたが、キーボードの立ち上がりはスピーディ。画面の切り替わりも速い。アプリの起動は、ハイエンドモデル並みとはいかず、やや間がある印象だが、チップセットをより上位のものに変更した成果が出ていると言える。快適さは、AQUOS snese2より大きく上った格好だ。
キーボードの立ち上がりや、アプリの切り替えもスムーズになった
ベンチマークアプリのスコアも、それを証明する。Antutu Benchmarkでは、先代のAQUOS sense2が7万点程度だったのに対し、AQUOS sense3は12万を超えた。売れ筋のミドルレンジモデルでは、ファーウェイのP30 liteがこのスコアに近い。スコアとしては、数年前のハイエンドモデルに匹敵するレベルで、こうした端末から、SIMフリースマホに買い替える際の候補になりうる。最新のハイエンドモデルには及ばないが、ブラウジングやSNSなどのアプリは快適に動く。
ディスプレイも、クオリティが高くキレイだ。手に持って見ただけではドットが判別できず、色合いもいい。有機ELディスプレイを搭載したハイエンドモデルと比べると、コントラストなどはどうしても見劣りするが、発色などの自然さでは軍配が上がる。解像度がフルHD+と高く、シャープ独自の「リッチカラーテクノロジー」が採用されているお陰だろう。この価格帯ながら、「バーチャルHDR」に対応しているのも、評価できるポイントだ。
フルHD+と解像度が高い。そのため、ある程度画面に寄っても、肉眼ではドットを判別できない
しかもこのディスプレイは、省電力性能に定評のあるIGZOを採用している。そのため、AQUOS sense3は、ずっと画面を見ていても、なかなかバッテリーが減らない。スクロールなどの動きがない時の電力消費を抑えるIGZOディスプレイの特性が、いかんなく発揮されていると言えるだろう。4000mAhとハイエンドモデル並みの大容量バッテリーを搭載していることも相まって、1日中、安心して使うことができた。パフォーマンスはもちろん、それを支えるスタミナも十分な端末と言える。