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どっちが好みの音?ドアーズ「ハートに火をつけて」のステレオ盤とモノラル盤のレコードを聴き比べてみた

2019.11.28

 僕は中2でロックに目覚めた。1970年、大阪万博の年だ。聴くのはもっぱらモノラル放送のAMラジオから。ステレオ放送のFM局も存在していたが、聴きたい番組がいくつもあるFM東京の電波は、北関東の栃木県宇都宮市までは届かなかった。

 レコードも買い始めた。まずはシングル盤。中3になってステレオ(セパレートステレオというカテゴリーで、一体型のプレーヤー・アンプ・チューナー部と、スピーカー2本という構成の家具調システム)を買ってもらうとシングル盤は卒業、買うのはLP=アルバム専門になる。初めて買ったのはCCRの『ペンデュラム』で、「雨を見たかい」は思い出深い。

 この頃の新譜は(たぶん)すべてステレオ録音、録音技術的にも再生機器的にもステレオが当たり前の時代になっていた。時は巡りレコードはCDになり、音楽配信が台頭し、ハイレゾ音質の登場……と変化(アナログ党の僕には進化に非ず)してきたが、音楽再生は原則ステレオであることに変わりはない(5.1等サラウンドは例外だ)。

 さてクラシックロックのアナログ盤にはまりだしアナログ党となった数年前に、60年代後半のアルバムには、ステレオ盤とモノラル盤が併存する作品があることを知った。ビートルズはその代表だ。初めてステレオ録音で制作されたアルバムは『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』(1967年6月)で、それ以前の作品はモノラルで録音された。ステレオ盤はモノラル録音を電気的に2チャンネルに振り分けて制作したようだ。

ドアーズ/『ハートに火をつけて』。右下にSTEREO表記。

ドアーズ/『ハートに火をつけて』。右下にMONO表記。

 僕が好きなバンドで、もっともデビューが古いのはドアーズ。第1作『ハートに火をつけて』は、1967年にリリースされた。アナログ党ビギナーの僕は何も考えず、当時のUSステレオ盤を買った。だが程なくしてモノラル盤もあり、値段がずっと高いことを知る。80年代『FMレコパル』編集部在籍時からのロックとオーディオの師匠、音楽プロデューサーの岩田由記夫さんにモノラル盤について尋ねると、モノラル盤をモノラル針で聴くとダイナミックで迫力があると賞賛する。そこで『ハートに火をつけて』のUSモノラル盤も手に入れた。その後さるきっかけ(後述)で、ステレオ盤は持っていた第2作『まぼろしの世界』、第3作『太陽を待ちながら』のモノラル盤も購入、だが僕の針はステレオ針だ。

愛機のステレオ針。

 モノラル盤はモノラル針で再生してこそ、その真価を発揮する。だから筋金入りの愛好家には、1台のプレーヤーにアームを2本取り付け、1本はステレオ針、1本はモノラル針と使い分ける人もいる。そうしたいのはやまやまだが、僕の愛機は構造上ダブルアームにはできない。針を取り替えて聴くという手もあるが、ものぐさで不器用かつ老眼の僕には敷居が高すぎる。現在急増中のアナログ党にも、針を替えてまで聴こうという人は少ないだろう。

 そこで思い立った。我がステレオ針で、ステレオ盤とアナログ盤を聴き比べるのだ。今までモノはモノ針で聴くものと、ドアーズのモノラル盤は未聴だった。だがステレオ針で比較試聴して、モノラル盤のほうがよければ、今後はモノラル盤を聴けばいい。

ステレオ盤のラベル。 

モノラル盤のラベル。

 まずはデビュー作『ハートに火をつけて』(1967年1月)のA1「ブレーク・オン・スルー」から。ステレオ盤では、ボーカルは常に中央に定位し、楽器はドラムが常に左から、オルガンが常に右から聞こえてくる。楽器の左右振り分け明快で小気味いい。この“ステレオもどき感”、僕は悪くないと思う。では初聴きのモノラル盤を。音圧がずっと高い。迫力がありシャープ。音はモノラル=“塊”ながら、とてもナチュラルだ。これを聴くと、ステレオの音はわざとらしい。モノラル針なら、とてつもない音を奏でそう。5段階で評価すると、5対3でモノラル盤の圧勝だ。

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