レモンのかぶりものをした梅沢富美男のCMも話題の『こだわり酒場のレモンサワー』。「お店の味のレモンサワー」をコンセプトに、レモンサワー市場を席巻!そのヒットの理由と誕生のきっかけを開発担当者に聞いた。
KEY PERSON’s INTERVIEW
サントリー『こだわり酒場のレモンサワー』
141円・350ml/191円・500ml
「開けたらすぐに、店の味!」をテーマに今年3月にリリース。1缶で満足できるよう、アルコール度数はほどよく飲みごたえのある7度に設定。するする飲めて食事にも合う黄金比率を実現した。
サントリースピリッツ
RTD・LS事業部 事業開発部
永尾真紀さん
九州出身で焼酎に囲まれて過ごす。2014年入社、国産リキュールの商品開発などを経て、現在は事業開発部でレモンサワーを担当。
「200軒ものお店を巡ってたどり着いた黄金比率の味わいです」
酒類全般が前年割れする中、突出した伸長率を見せているレモンサワー市場。その好調な市場で、存在感を示しているのが『こだわり酒場のレモンサワー』だ。開発したのは「私、お酒が大好きなんです」と笑顔で話す永尾真紀さん。
「大衆酒場をちらっと覗いて残念そうに帰る人を見かけて。毎日飲みに行けない人に、家飲みでも店と同じ味と気持ちを体験してほしい、という思いから〝こだわり酒場〟のコンセプトが生まれました」
まず、飲食店でのレモンサワー人気に注目し、既存の製品にはない〝本当においしいレモンサワー〟を探し求める旅に出た。何と巡った酒場は200軒以上。そこで気づいたのが「生レモン搾りが一番という声が多いが、そうではない」こと。果汁よりも香り成分が含まれる皮に着目し、レモンをまるごと酒につける製法にたどり着く。最初にリリースしたのは炭酸で割って飲む『レモンサワーの素』で昨年2月に販売し、大ヒット。手軽に飲みたいという缶チューハイ派に向け、今年3月にRTD缶も販売するとまたたくまにシェアを拡大。9月までに599万ケースを突破した。
「レモン感を濃くしたいが甘さは抑えるなど、味づくりに苦心した」という永尾さん。酒飲みの心をがっちりつかみ、その快進撃は今後も続きそうだ。
〈ヒットのひみつ1〉「果実まるごと仕込」でレモン感を凝縮
サントリーの独自技術を駆使し、厳選した果実をまるごと酒につける浸漬酒が味のベース。皮の香り、ワタの渋味が深みのある味わいを実現。
〈ヒットのひみつ2〉
「レモンサワーの素」、「RTD缶」、「業務用製品」のトリオ戦略
自分好みの濃さに作れるレモンサワーの素、自宅で手軽に飲めるRTD缶、専用タンブラーが好評の飲食店専用コンクと、三位一体の取り組みでファンを爆発的に広めた。
発売当初は年間210万ケースを計画していたが、6月と9月、2度にわたって上方修正。1種のフレーバーだけで、800万ケースを計画。
取材・文/嶺月香里 撮影/タナカヨシトモ