ボルドーといえばワインが有名すぎるけれど、フランス人の住みたい街ランキングでトップ3に入る人気の街。ガイドブック『ロンリープラネット』で「行くべき世界の都市」トップに選ばれたこともある。いったい何がそんなに魅力なのか。街を歩いてみると、サスティナブルな街並みが見えてきた。
無架線トラムと自転車フレンドリーな街だった
ボルドー人気は2007年、ユネスコの世界文化遺産に登録されたのを機にブレイクした。歴史の古い街である。12世紀にイギリス領になって一大ワイン産地としての礎を築き、その後フランス南西部の玄関口、貿易港として繁盛してきた。
古い建造物を活かしながらモダンな街に脱皮しはじめたのは20年ほど前から。当時の市長アラン・ジュペ氏主導で始まった都市計画が、世界文化遺産として実を結ぶ。歴史的建造物として登録された建築物は350件もある。
2017年には高速鉄道TGVでパリと2時間でつながったことで、ボルドー人気はさらに高まった。それまでは特急で3時間。飛行機なら1時間だが、空港からのアクセスなどを考えるとやはり3時間は見ておかなくてはならなかった。平日はパリで働き、週末は郊外で過ごす、そんな二拠点生活が珍しくないフランスで、ビジネスパーソンたちの注目も高まった。
中世の建築物が連なる街で、まず目に入ったのがトラム(路面電車)だ。やけにスッキリしたフォルムをしている。架線がないのだ。地面のレールから通電する仕組みになっていて、街の景観をくずさない。
市の中心部と郊外を結ぶトラムは現在4路線。料金は1.7ユーロで1時間は乗り放題という仕組み。1ユーロ=120円で換算すると約200円。観光客にもうれしい料金設定だ。
歩行者、自転車のほか、トラムとバスの公共交通しか通らないピエール橋。
そして車が少ない。日中、業務車両は街の中心部に入れない規制があるそうだ。人々の足はもっぱらトラム。そして自転車だ。
市のシェアサイクルVCub(ヴェキュ)が充実している。登録時に200ユーロのデポジットが必要だが、1日の利用料は1.7ユーロ。1回あたりの利用時間が30分以内は無料。ステーションは街のあちこちにあり、24時間利用できる。支払いはクレジットカードでOK。また、スマホでステーションの位置と、今そこに何台の自転車があるかがわかる。ステーションは郊外にも設置されているので、街中からレンタルしてシャトー巡りもできる。サイクリングロードもシャトーに向けて6路線、完備されている。なんだかすごく進んでいる感じ。
キックボードに乗る人も目についた。日本のように若者だけでなく、おばさんもおじさんもフツーに乗りこなしていたのが印象的だった。
ボルドー市街に住んで20年来の日本人の通訳Nさんによると「最近、うちの前の道路が改修されて車線が減って自転車レーンが敷設された」とのこと。自転車フレンドリー化が進んでいる。
街の中心ガロンヌ川岸のサイクリングロードはキックボードも多かった。