キッチンカーがいくつか出店しており、ここで見つけたのがノンアルコールのボタニカルドリンク「Shrb(シュラブ)」。
酒と焚き火、酒とキャンプとの相性はいいのだが、乗り物がからむといただけない。宿泊ありのキャンプイベントなので、日中はshrbのみ、日が落ちて宿泊する人のみになってからはクラフトジンやアルコールを含むカクテルを販売するという2ステージでアピールしていたのだ。
shrbはローマ時代に起源を持ち、禁酒法時代に人気を呼んだ炭酸飲料で、ハーブやスパイスをビネガーに漬け込んで作られている。一口飲んでみると、まるでスパークリングワインのよう。
shrbを輸入販売するアルト・アルコによると、アメリカで禁酒法がはじまった1920年から100年を迎えた今、世界各地でノンアルコール飲料が注目されているそう。
フレーバーは「オリジナル」(8種類のハーブ&スパイス)、「ライム&ジュニパー」(ジンでも使用されるジュニパーベリーを使用)、ほのかにローズを感じる「オレンジ&ジンジャー」、ナツメグやラベンダーも加えた「アップル&シナモン」の4種類。
ラベルにはロバが描かれている。ロバの蹴りのように痛い目にあう、パンチのあるアルコール飲料のことを“キックがある”と表現するが、shrbは豊かな香りで魅了する。当然だが飲んだ後に運転しても問題ない。
自然由来のほのかなうまみで料理との相性がいいことも特徴のひとつ。
アップル&シナモンは、あたためてバニラシロップやキャラメルシロップを加えると「アップルパイ」風味のホット・アップルタイザーになる。炭酸飲料だが、あたためてもおいしいのが不思議だ。
shrbとともに提案していたのが、本場イギリスに限らず、今や欧米諸国や日本でも造られるようになったジン。丁寧につくられたジンはその土地ならではの味わいを感じられる。飲む香水と評されるほど香り豊かなクラフトジンは、やはり世界中にファンを増やしているそう。
写真はニュージーランド生まれのクラフトジン「Dancing Sands」で、チョコレート、ワサビ、ルバーブなど個性的なものがそろっている。
同じくニュージーランド発のクラフトジン「Hidden World Gin」。ボトルはシンプルだが複数のジュニパーベリーを使った「モンスターJ」、3種類のホップを用いた「ジンIPA」、ギネスに認定された辛い唐辛子を使う「チリ」、ニュージーランドのハーブを加えた「ガーディアン」など風味はガラリと異なる。
ノンアルのshrbも、アルコールと組み合わせることで本格カクテルに変身する。Motor! Motor!!ではクラフトジンとのカクテルを提供していたが、甘すぎない味がここでも役立つというわけ。
オススメは、shrbオレンジ&ジンジャーと、 Dancing Sandsのチョコレートを組み合わせると、チョコレートがけオレンジピールのようになる。
冬キャンプではほどよいアルコールが血流をよくしてくれるが、飲み過ぎると体を冷やして体調を崩す原因になる。ボタニカルドリンクのshrbならホット・スパークリングワイン風にしたり、酔いたい夜はジンの量を調整してカクテルにすれば、寒い夜も楽しく過ごせる。
昼も夜も、夏も冬も楽しめるマジカルなドリンクは、キャンプの新定番になるかもしれない。
取材・文/大森弘恵