モナリザ ネギ
トリュフにフォアグラ、万札が飛ぶ高級食材は世にあれど、今冬にリリースされるブランド長ネギ『モナリザ』は、1本1万円という仰天プライス。作ったのは、脱サラから新規就農して8年という若手農家の清水寅さんだ。
「ネギは味より形で評価されてしまう野菜。だから究極まで味を追求し、微生物学者や肥料会社も巻き込んでイチから農の在り方を新構築しました」(清水さん)
理想の味を目指して作った最初のネギ『寅ちゃんねぎ』は糖度21.6度を記録。甘いだけではなく、身はきめ細かく、たくさん食べても飽きない不思議なおいしさで消費者を一気に魅了した。専用の畑からポテンシャルの高いネギだけを厳選して生まれた『真の葱』は、さらに甘く太さを増し、8~10本入りで1万円という価格でも完売。翌年もリピーターがつくという実績を作った。現在栽培中の1本1万円の『モナリザ』は、『真の葱』よりさらに厳選、350万本に10本しかとれぬプレミアものだ。ネギとは思えぬブランド名も「もはや、芸術品」という意が込められている。かつてない清水流の野菜作りに共感する農家も追従しており、セレブな野菜が食卓をにぎわす日もそう遠くないかもしれない。
高額ではあるがどんな味!?という好奇心、高級家電やクルマと違って「がんばれば買えそう」な価格が消費者の心をくすぐる。プチセレブな食材は今後も増えそうだ。
通常の太さの3倍近い『真の葱』。『モナリザ』はさらに太く、かつてない味となる予定。
ねぎびとカンパニー代表の清水寅さん。糖度の高い『キスより甘いほうれん草』も作っており、8倍の価格で取引されることもあるそう。
取材・文/嶺月香里