「ミールプレップ」という言葉を耳にすることが多くなった。いわゆる「作り置き」のことだが、主に筋トレを行いながら体づくりに励む人に栄養面などが配慮された便利な食事スタイルの一つとなっている。今回は、管理栄養士でパーソナルトレーナーの方にミールプレップの基本を聞いて紹介する。また、料理のプロのメニューも合わせて、ビジネスパーソンにおすすめの簡単ミールプレップレシピも2つ紹介する。
ミールプレップとは?
そもそもミールプレップとはどんなものなのか?
ミールプレップデリバリーで知られる「びるめし」を手掛ける株式会社びるめし代表取締役の管理栄養士 パーソナルトレーナーである今井準さんは、次のように解説する。
「『Prep(プレップ)』とは、Prepare(Preparation)からきており、『準備』を意味します。つまり、直訳すればミールプレップ=『準備食』ということになりますが、これは筋トレ業界、身体づくりを行う方々の間では特別な意味を持ち、北米ではもはや公用語となっているようです。
いかに時間効率を高め、高い成果を上げられるかがビジネスマンとしての共通して必要な能力。トレーナー業界でも『5分でメシ食えないやつは生き残れない』なんて言い伝えがあるとかないとか。小一時間の食事時間すらも取れないのは問題かと思いますが、かといって食材の調達や調理に、ビジネスマンの貴重なリソースを大きく注入することはできません。しかしながら、身体づくりにおいて、運動と栄養は車軸の両輪、むしろ『運動3:食事7』といっても良いほど食事は重要な要素となります。食事は最低でも毎日3度は行うもので、ここをおろそかにするかどうかで、まるで別人のカラダができあがります。『時間は無い、でもちゃんとした食事をしないといけない』。そこで生まれたのが、『ミールプレップ』という発想です。
海外を行き来する経営者仲間の方々は皆、アメリカ人の仕事の効率の良さを指摘します。身体づくりにおいても、これは共通しているのでしょう。忙しくてもキッチリ筋トレの成果を上げるための食事術『ミールプレップ』。『身体づくりに必要な、栄養価がコントロールされた準備食』という意味になります」
ミールプレップ作りの基本的な心得
ミールプレップは、「身体づくりに必要な栄養価がコントロールされていること」「準備食として時間をかけずに調理し保存できること」が条件となる。基本的なミールプレップを作るときの心得を今井さんに聞いた。
「仕事同様、ミールプレップも『美味しさ』というパフォーマンスをいかに落とさず、自動化と調理付帯作業の軽減を行えるかが最も大きなポイントとなります。糖質制限か脂質制限か、『PFC(P=たんぱく質/F=脂肪/C=炭水化物)』を特定の比率に調整するか、そして栄養戦略によっても選択する食材は変化します。そんな中でも、今回は『鶏肉を使用し、脂質を低くコントロールしたミールプレップの作り方』について簡単に紹介したいと思います」
ミールプレップ作成作業を大別すると、以下のようになるという。
1.食材仕入れ
2.下処理
3.加熱作業
4.盛り付け
5.冷凍
6.後片付け
●食材の仕入れの効率化のポイント
「通勤路やアクセスの良い場所にスーパーがあれば、そこで購入するのも良いですが、インターネットでの購入はやはり効率良いですね。ポイントは次の3つ」
(1)真空2㎏パックを仕入れる
「まず鮮度の問題です。スーパーで小分けにパックされた鶏肉は、基本的にすぐ食べる場合に便利に使用できるよう考えられています。仕入れの段階では、スーパーであっても鶏肉は2㎏で真空パックされていることがほとんどです。封を切ることで、一定時間酸素にさらされますし、パック自体も真空と比べると酸化しやすい環境におかれてしまうため、ミールプレップでは真空パックのままの仕入れが理想です。またミールプレップの場合、一度に何食も作り置きをしますから、2㎏程度の量はちょうどよいところもあります」
(2)鶏肉は国産の銘柄鶏を選ぶ
「鶏が生育される際の運動量と飼料の問題です。唐揚げなどにするのであれば、ケージ中心で育てられた鶏肉も身が柔らかくて良いかもしれませんが、筋肉作りには、平飼いされ、たくさん動いて身が締まった鶏肉が良いでしょう。また興味のある方は、ご自身が食べる鶏肉がどのような飼料で育ったかを調べてみてください。筆者のオススメは『信玄鶏』。この鳥は一切の化学薬品を使わない飼料で生育されており、身の色から他の鶏とは一線を画します。それでいて、価格も高くありません。さらに、冷凍⇒解凍を行うミールプレップの特性上、これらの鶏は臭みがかなり出づらくなり重宝します」
(3)野菜は冷凍カット野菜が便利
「こだわって生野菜から調理するのも良いですが、ここは効率重視でそのまま使える冷凍野菜をチョイスします。商品を見て、加熱済みか、ブランチングのみ(軽く湯通ししただけ)の商品かを確認しておきましょう」
●ミールプレップにおすすめのアイテム
「ミールプレップ生活を送る上で、できれば持っておきたい生産性大幅向上ツールとして電子レンジ用 圧力鍋とできれば1升炊きの炊飯器を持っておくのをおすすめします。
これらのアイテムがあれば、材料を入れてスイッチを押すだけで調理は完了します。あとは適当な容器に盛り付けて冷凍、ですね。鶏肉をカットする時間すらも削減したい方は、身がほぐれるまで煮込むことができる炊飯器がオススメです」