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縁起のよいお正月料理の中でも、多くの人がお雑煮を楽しみにしています。お雑煮は全国各地で具や作り方が異なるのをご存知ですか?好みのお雑煮を見つけて気になるお雑煮レシピを試してみましょう。ご当地ごとの雑煮の特徴と簡単レシピを紹介します。
お雑煮はどうやって作るの?
お雑煮はお正月料理の中で主食の役割を果たす料理です。「お正月料理のお楽しみといえばお雑煮」という人もいるでしょう。
しかし、お正月の三が日、お雑煮が続くと飽きてしまうこともあります。あまりお雑煮にそそられないときは、レシピを少し工夫してアレンジを楽しみませんか?
まずは、お雑煮の基本的な作り方をマスターしましょう。一般的なお雑煮の作り方を紹介します。
市販のだしでも簡単においしく作れる
一般的なお雑煮と聞いて思い浮かべる人が多いのは『醤油だしベース』の関東風お雑煮です。市販のだしつゆでもおいしく作れます。具には、鶏肉と三つ葉は欠かせません。
かまぼこや魚介類、人参・大根・カブなどの根菜類が入っていることも多いでしょう。まず、市販のだしつゆを適量入れて加熱します。
温まったら、塩や酒、醤油などで味を調整しましょう。お好みの野菜と鶏肉は細切りにして、それぞれ湯通しするのがポイントです。
アクや余分な脂を落とすことで、澄んだだしの色に仕上がります。魚介類を入れる場合も、下ごしらえと湯通しを済ませておきましょう。同時進行で餅を焼きます。
クッキングシートやアルミホイルを敷いてからお餅を乗せるとくっつきません。湯通しした具材と一緒に椀に盛りつけて、おつゆを注いだら完成です。
アレンジを楽しもう
いつものお雑煮にひと手間加えてアレンジするのもよいでしょう。ゆずの皮をひとかけらのせたり、つゆをあんかけにしたりすると簡単に風味が変わります。
大根おろしをのせると、みぞれ鍋のようにいつものと違った食感が楽しめるでしょう。なかには、昆布で出汁をとったお湯で餅をゆでてからお雑煮に入れる地方もあるようです。
焼き餅よりもやわらかい食感のお餅を楽しめます。
揚げ餅を入れてもよし
揚げたお餅を入れるだけでも、いつもと違ったお雑煮になりおすすめです。お雑煮に入れるお餅は『160℃くらいに熱した油』で、少し色がつくくらいまでゆっくりと揚げましょう。
箸でつついたりせず、静かに揚げるのがポイントです。お餅を揚げる際、熱しすぎるとお餅が膨らんではじけることがあるかもしれません。
少し表面の色が少し変わるくらいでも、香ばしい風味は楽しめます。こんがりさせすぎない程度で十分です。揚げ餅のお雑煮は、もうひと手間かけたあんかけのおつゆによく合います。
子どもでも食べやすい食感になるため、子どもがお雑煮を好まないという家庭ではぜひ試してみましょう。
東北のおいしいお雑煮人気レシピ
それそれのご当地お雑煮も、毎年のお雑煮のアレンジの参考になります。まずは、豪華なことで知られる東北のお雑煮を紹介します。
いくらで豪華な岩手のお雑煮
岩手県ではお正月におせちよりも、さまざまな味のお餅を食べるのが主流です。なかでも、お雑煮はまさにメイン料理といえます。岩手県のお雑煮のレシピは、醤油と白だしがベースです。
先に椎茸や鶏もも肉などの具材をよく煮るのが、岩手風に仕上げるポイントでしょう。『引き菜』と呼ばれる、大根と人参を炒って鰹節となじませた後に冷凍保存したものをお雑煮の具とするのも人気です。
白だしと醤油を加えてからひと煮立ちさせたおつゆを、ゆでた丸餅・三つ葉の上にそそぎます。
最後にいくらを飾りましょう。ゆでたアワビやすりおろしたクルミを加える地域もあります。お正月らしい華やかな見た目と風味がおめでたい雰囲気を一層引き立てるアクセントです。
具だくさんで鮭入りの新潟のお雑煮
雪深い新潟県ではけんちん汁風のお雑煮が知られていますが、県内でも鮭の産地の地域では鮭といくらが乗った親子お雑煮も人気があります。
材料は大根・人参・ゴボウなどの根菜類・こんにゃく・鶏もも肉と鮭・いくらなどです。お餅は切りもちを使います。
下ごしらえとして、イチョウ切りした大根・人参・ササがけにしたゴボウを水からゆでましょう。しんなりしたら水にさらしておくと変色を抑えられます。
こんにゃくは薄めの短冊切りにして、熱湯をかけてあくをぬきましょう。鮭と鶏肉は食べやすい大きさに切って塩を振った後、熱湯をかけて霜降りにします。
鍋で醤油・だし・水を入れて沸騰させたら、鮭と鶏肉を入れて弱火で2~3分煮ましょう。下処理の終わったほかの具材を入れひと煮立ちさせます。
切りもちがこんがり焼けたら、お椀に入れいくらをのせ、おつゆと具材を注ぎましょう。長ねぎやかまぼこを入れるのもおすすめです。
糸こんにゃくでヘルシーな山形のお雑煮
山形のお雑煮は、みりんを加えた少し甘めの味付けで知られています。具材で特徴的なのは糸こんにゃくです。鶏肉・ゴボウ・マイタケなどを深い味わいの出せる具材を合わせます。
鶏肉のアクをよく取り除くと、すっきりした舌触りになるでしょう。鶏肉をササがけしたゴボウやあく抜きをした糸こんにゃくとともに、甘めのすまし汁の中に入れます。
キノコも加えて、ひと煮立ちさせましょう。最後に、焼き餅を加えて三つ葉を飾ります。年末年始に無理をした胃腸にやさしいお雑煮です。
関西のおいしいお雑煮人気レシピ
関西地方のお雑煮は主に丸餅を使います。丸餅に『角がなく円満』という縁起を担いでいるからです。
おつゆも『白だしベース』の地方が多く、関東地方のお雑煮との大きな違いとして知られています。関西のお雑煮の中でも特徴的な京都と三重のお雑煮レシピを見ていきましょう。
白みそで作る京都のお雑煮
京都のお雑煮には、大根や人参のほかに『八つ頭(やつがしら)』という里芋を使います。具材を下ゆでして、やわらかくなったら取り出しておきましょう。
だしをとったお湯に白みそを溶かして、ひと煮立ちさせゆでた丸餅と具材の上に注ぎ入れます。最後に鰹節をかけて風味をプラスさせるのが、京風に仕上げるコツです。
やわらかいゆで餅が白みそによく絡む、風味豊かな味わいのお雑煮に仕上がります。
花びら餅を使った三重のお雑煮
三重県は、関西と関東の中間地点に位置します。お雑煮のベースも関東以東のすまし汁の地域と、関西以西のみそ仕立ての地域に分かれることで有名です。
ただ、三重県特有のぜんざいのような『小豆汁』がベースのお雑煮を食べる地域もあります。お餅は平べったいお雑煮専用の『花びら餅』を使うのが主流です。
花びら餅は焼きあがりが早いため、焦げないように注意しましょう。具材に豆腐が入っているのも三重のお雑煮の特徴の一つです。
お好みのおつゆと具材に豆腐と花びら餅を加えて、さまざまな三重のお雑煮を楽しみましょう。
九州のおいしいお雑煮人気レシピ
九州地方にも特色あるお雑煮が存在します。縁起を担いだ具がたくさん入っており、目と舌の両方を楽しませてくれるでしょう。
魅力的な九州のお雑煮の中でも、人気のある鹿児島と福岡のお雑煮を見ていきます。
海老の風味豊かな鹿児島のお雑煮
鹿児島のお雑煮は別名『さつま雑煮』と呼ばれています。だしには昆布だけでなく、贅沢に特産物の殻付干し焼きエビと干し椎茸を使い、ひと晩かけてだしをとるのが正しい作り方です。
海老には『腰が曲がるまで長生きできるように』という意味が込められています。ほかにもかまぼこ、春菊などが使われた風味豊かなお雑煮です。お餅は焼き餅よりゆで餅が好まれています。
『まめまめしく働けますように』という願いをこめて、豆もやしを仕上げに飾る地域もあるようです。だし汁に醤油を加えてひと煮立ちさせた後、下ゆでした具材をゆで餅の上に注ぎます。
甘口の鹿児島醤油によく絡む香ばしいだしが食欲をそそるでしょう。1杯でお腹も舌も満たされます。
干し椎茸やあごだしがうまい福岡のお雑煮
福岡は、隣接している県によってお雑煮に四つの地域性がある珍しい県です。
出汁にするめを使った『八乙女雑煮』や茶わん蒸しのように卵汁ベースの『筑前朝倉蒸し雑煮』、春菊が入った『筑後雑煮』などがあります。なかでも、博多の『あごだし雑煮』が有名です。
焼きあごを筆頭に、干し椎茸・昆布・鰹節などをたっぷり使った、風味豊かなだしのすまし汁がベースになります。
博多のお雑煮は、縁起のよい『出世魚ブリ』を具材に入れるのがポイントです。ブリと相性のよい小松菜やホウレン草などの青菜も必ず入っています。
お餅はだしとよく絡む『ゆで餅』がメジャーです。ブリや戻した干し椎茸、青菜などと煮立たせたすまし汁をゆで餅の上に注ぎます。ブリの臭み消しにゆずを飾ったら完成です。
文/編集部