国際線機内食/エコノミークラス編
エコノミークラスの機内食はイマイチというのはもはや過去の話だ。調理方法や保存技術の進化により、そのクオリティーは急速に向上。さらに、有名料理店とのコラボメニューや特別オーダー機内食の登場など、各エアラインとも趣向を凝らしたメニューを開発している。目で楽しんで、舌で味わい旅の思い出に。
本誌エアライン ランキング算出方法
4賢者の持ち点はそれぞれ25点とし、最高得点は100点とする。なお、各氏とも最低5社は点数化するものとする(一部は4社)。
【国際線機内食は以下のエアラインが対象】
JAL、ANA、シンガポール航空、キャセイパシフィック航空、ユナイテッド航空、デルタ航空、ルフトハンザドイツ航空、エールフランス航空、ブリティッシュ・エアウェイズ、エミレーツ航空、カタール航空、ニュージーランド航空
[航空事情に詳しい賢者4人]
航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師 鳥海高太朗さん
航空写真家 Charlie FURUSHOさん
航空ジャーナリスト・『機内食ドットコム主宰』 Rikiyaさん
トラベルジャーナリスト 橋賀秀紀さん
1位 JAL
独創的なメニューで機内食ファンを魅了
若き料理人による料理コンペティション「RED U-35」入賞者によるメニュー、また、吉野家などおなじみの有名店とのコラボメニューなど、長距離路線では従来とは一線を画すユニークな機内食を提供。また、ハワイ線や一部の中国線向けをはじめ、短中距離路線にもシェフ監修メニューや空弁スタイルの機内食を採用するなど、味へのこだわりに加えて、飽きさせない工夫も徹底している。
RED U-35の主菜は2種類から選べる。10月現在は写真の「牛バラ肉とトマトのピリ辛煮込み」またはフレンチ。
ハワイ線だけのオリジナルメニュー、若鶏のディアブル風。ビジネスクラスを担当する生江史伸シェフが監修した。
吉野家など有名店とのコラボ、「AIRシリーズ」は長距離線の2食目に提供。
〈橋賀’s EYE〉デザートのクオリティーも高く、ワインも料理に合ういいものを選んでいます。
〈鳥海’s EYE〉若手シェフが手がけるメニューは食べる価値アリです。吉野家の完成度も高いですね。
2位 ANA
今日は特別メニュー……そんなオーダーにも対応
ご当地カレーなど、日本の地域食材を使ったメニューにこだわるANA。ビジネスクラス以上で提供されてきた自社製パンを羽田・成田発便のエコノミーにも用意するなど、クオリティー向上にも力を入れている。今年4月からは食材や味つけ、見た目にもこだわった有料機内食も事前予約でオーダーできるようになった。
(上)アペタイザーとメイン、ピエール・エルメ監修のデザートからなる有料機内食は2500円。(右)標準の機内食は男性でも十分なボリューム。
〈Rikiya’s EYE〉ANAはトータルでのバランスが優れていて、どれを選んでもハズレはありません。パンのおいしさもあなどれません。
3位 シンガポール航空
美食の国らしくハイクオリティー
エコノミーでは和食とインターナショナルセレクションから選択可能。ボリューム、味つけともに世界的な評価も高い。プレミアムエコノミーでは3種類から選べ、さらにメインコースが選べる本格的なダイニングサービス〝ブック・ザ・クック〟も事前予約可能だ。
日本発着便では和食と2種類の洋食が用意される。10月より新メニュー。
〈Charlie’s EYE〉味つけがいいのはもちろんですが、食材にもしっかりコストをかけていて、いいものを使っています。
● One more thing…プレミアム・エコノミーは機内食もリッチ
プレエコの機内食はエコノミーと共通というのが一般的だが、ニュージーランド航空では専用メニューから選ぶことが可能となっている。また、ワインのグレードアップや食器類が陶器製になるなど、優雅な食事が楽しめる。
取材・文/村田尚之