ビジネスクラスの「個室化」、ますます個性を発揮する機内食、そしてWi-Fiやスマホ連動を含めたエンタメの進化。激変する航空業界の中、どのエアラインが真の王者なのか。航空事情に詳しい賢者4人が語り尽くした。
「完全に扉が閉まるのがビジネスクラスの流れです」
航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師
鳥海高太朗さん
専門家・利用者の両方の視点で航空業界を研究し、テレビ・ラジオなど各種メディアで情報発信している。DIMEでは「Business Travel Hacks」を連載中。著書に『天草エアラインの奇跡。』(集英社)など。
「デルタの個室ビジネスが実はかなり広くて快適」
航空写真家
Charlie FURUSHOさん
航空会社や空港の公式カメラマンを務める旅客機専門写真家。100か国以上で取材撮影経験あり。著書、写真集は約30冊。世界で最も多くの航空会社に乗ったギネス記録を持つ。
「エミレーツの朝シャン、これは最高に贅沢ですよ」
航空ジャーナリスト・『機内食ドットコム主宰』
Rikiyaさん
世界最大級の機内食クチコミサイトを運営する傍ら、最新航空情報を取材。テレビ・ラジオなどのメディアにも多数出演。『みんなの機内食』(翔泳社)など著書も多数。
「最新映画は機内で観る。これが私の常識です」
トラベルジャーナリスト
橋賀秀紀さん
サラリーマンでありつつ、航空旅行関係の情報を雑誌やオンラインメディアを通じて発信。渡航国数122か国・渡航回数200回以上。ファーストクラスとLCCを公平に愛する。
エアラインの本気度はクラス別シートで見抜け
今、最強のエアラインはどこなのか? 普段から仕事やプライベートで飛行機に乗りまくる4人の賢者に航空会社に対する遠慮も忖度もない文字どおり「ガチ評価」をしてもらい、ホンネで語ってもらった。
座談会の冒頭で話題に上がったのは最新鋭機体のビジネスクラス。4人とも注目すべきと意見が一致したのは、ANAが満を持して投入した新型ビジネスクラス「THE Room」と4人向かい合わせで座れる個室が話題となったカタール航空「Qsuite」だ。
「ANAがカタール航空をかなり意識しているように、完全に扉が閉まるのがビジネスクラスの流れですね。機内ではとにかく寝て疲れをとりたいという私のような考えの人間には想像以上の快適さでした」と航空・旅行アナリストの鳥海さん。
鳥海さんによると「航空会社によってはスペースがタイトなものも少なくないのですが、その点2019年8月、ロンドン線に投入されたANAの『THE Room』はまさに天国でした」という。今狙うべきは、ビジネスクラスであることは間違いない。世界を飛び回る航空写真家Charlieさんもビジネスクラスに求めるものは空間だと話す。
「私はデルタ航空のビジネスが好きですね。それと成田~ロサンゼルス間のシンガポール航空。シートが絶対的に広い。それでいて往復約28万円ですからね、コストパフォーマンスが抜群です」
とはいえ、ビジネスクラスともなるとチケット価格もそれ相応。決して安くはない。そこで次候補に拳がるのがプレミアムエコノミークラス(以下、プレエコ)だが、数多くの機体を見てきているCharlieさんによれば「機内撮影の時に航空会社による差があまりない」という。ではプレエコの選択は賢明ではないのか? トラベルジャーナリストの橋賀さんは語る。
「プレエコそのものの魅力というよりも、マイレージの積算率が高いのでマイルを貯めたい人が利用している側面もあるんです」
予算や目的、そして機体に応じて搭乗するクラスを自由に選択する、これが賢者たちの流儀らしい。
ビジネス、プレエコとくれば次はエコノミークラス。
「エコノミーのシートも侮れませんよ。特にJALは足元が広くシート幅にゆとりがあります。こうした細かなポイントが、フライト時間が長くなるほどありがたいのです」(鳥海さん)
各クラスの最新シートを眺めれば、エアラインの本気度が見えてくるというわけだ。