鏡餅はお正月の風物詩の一つとして有名です。しかし、鏡餅をおろして食べる『鏡開き』が何日に行うものであるかを知らないという人も案外多いのではないでしょうか?鏡開きがいつ行われるのか、歴史や成り立ちを踏まえながら解説します。
鏡餅をおろす鏡開き、いつ行うの?
鏡開きとは、年末やお正月に飾っていた鏡餅を食べる伝統文化のことです。元日を迎えると同時に鏡開きをする家庭もあれば、特に日にちを定めない家庭もあります。
鏡開きは、いつごろするものなのでしょうか?
一般的には1月11日
鏡開きは『松の内』が終わった後に行われる行事です。松の内とは『年神様が現世に滞在する期間』のことで、しめ縄や玉飾りなどを家の外に飾る時期を指します。
江戸時代、松の内の終わりは、1月15日とされていました。鏡開きは、正月飾りの片づけが落ち着いた『1月20日』ごろに行われていた行事です。
しかし、慶安4年の4月20日に将軍・徳川家光が亡くなると、江戸では月命日である20日を避ける動きが出ます。
約6年後の明暦3年1月18~28日には『明暦の大火』が起こり『よく燃える正月飾りは早めに片付けるのが無難』という意味合いで、関東では松の内自体が7日まで前倒しされました。
現在は「鏡開きは絶対にこの日!」と細かく決められているわけではありませんが『1月11~15日』に行うのが一般的となっています。
地域によって行う日が違う
鏡開きは地域によって行う日が異なります。たとえば、関東や北海道、九州の場合は『1月11日』に行われますが、関西の場合は少し遅めの『15~20日』に鏡開きを行うことが多いようです。
京都では「三が日が過ぎたらお正月はおわり」と考えられているため『1月4日』に行われることもあります。
神棚からおろした鏡餅は、お雑煮やその土地の伝統料理に入れて食べるのがポピュラーです。地域それぞれ松の内の期間や食べ方が違うため、近所の人に聞いたりインターネットで調べたりしてから鏡開きをしましょう。
鏡開きの意味や由来についても学ぼう
お正月に調理用の餅しか食べない人は「なぜ飾ってある鏡餅をわざわざ食べるの?」と疑問に思うこともあるでしょう。しかし、鏡開きには深い意味が込められています。
ここでは、鏡開きの意味や由来について解説しましょう。
なぜ食べる?鏡開きの意味
鏡餅は、その丸い形から『夫婦や家族の円満』や、家族の健康や活躍を祈る意味があります。
そもそも餅は、平安時代の『歯固めの儀式』の風習のころから、神様にお供えする際の神聖な食べ物とされていました。神様が一時的に現世の依り代にすることで、御魂が宿るといわれています。
神様の魂は人間の活力になるもので「食べることで神様から力を分け与えていただく」という認識でした。
鏡開きの際に、家長が餅を割って『御年魂』として分けたのが『御年玉(おとしだま)』のルーツです。
神様が滞在している松の内の期間に鏡餅を食べるのはご法度ですが、終わった後は鏡餅をお雑煮に入れて食べるという風習が現在でも続いています。
由来はどこからきているの?
鏡餅をお供えするという風習は、室町時代から始まったといわれています。
当時の武家は、お正月に鎧やかぶとなどの近くに『具足餅(ぐそくもち)』をお供えして、お正月の終わりに割って食べる文化がありました。
当時は「神様から力を借りて戦に勝とう」という意味合いで、餅が食べられていたようです。
江戸時代以降は武家だけでなく一般庶民の間でも行われるようになります。やがて現代のような『神棚に飾ってから食べる』というスタイルが定着しました。
鏡開きの正しいやり方
鏡開きの『開く』という言葉は『割る』という意味が込められていますが、実際にはどのように開いて調理するのでしょうか?ここでは、鏡餅を開く際の基本的なマナーや注意点をまとめます。
刃物を使うのはNG
硬くなった鏡餅を包丁やナイフで切って分ける家庭も多いでしょう。しかし、刃物を使って鏡餅を切るのはあまりよくないとされています。
鏡開きは元来、武士のいる家系から伝わった風習です。刃物で切るという仕草は『切腹』を連想させるため、縁起が悪いと伝えられてきました。
切り分けたいときは、料理用のめん棒や手で割るのが無難でしょう。
近年は、見た目が鏡餅のパッケージでも中身が小さな個包装になっている商品もあります。切るのが面倒な場合は、あらかじめそちらを選んでおきましょう。
お餅が硬くて割れないときは?
お餅が硬くて割れないときは、一度お餅に火を通してやわらかくしましょう。
鏡餅を『4~6時間』ほど水に浸してから耐熱皿にのせてラップをかけます。電子レンジで『30秒~1分』程度加熱すればOKです。
箸などを指してみてお餅がやわらかくなったことが確認できたら、電子レンジから取り出して分けます。そのまま手でちぎるとやけどする可能性があるため、箸やフォークで切り離すのがおすすめです。
炊き立ての炊飯器の中にシートを引き、その上に鏡餅を入れて蒸らすという方法もあります。電子レンジよりも時間はかかりますが、熱さが抑えられるためやけどが心配な人には最適です。
鏡餅を使ったおすすめのレシピ
鏡餅を加熱すると、まるでつきたてのようなやわらかい食感になります。ここでは、鏡餅のおいしさを倍増させるレシピを解説しましょう。
鏡餅の調理法に悩んだときには、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか?変わり種で、話題性も抜群です。
カリッと揚げたサクサクおかき
おかきは、お餅をスナック感覚で味わえるユニークな料理です。鏡餅と醤油・砂糖・油だけで、簡単に作れます。
鏡餅を2cmほどのサイズに砕きます。お餅が浸るくらいまでの量の油を入れて中火で熱します。油に熱が通ったら、餅を入れてきつね色になるまで2~3分揚げましょう。
高温になるとお餅が爆発することもあるため、ふたを手に持ったり距離を取ったりして顔周りをガードするのがポイントです。
お餅がおかき状に揚がったら、キッチンペーパーの上にのせて余分な油を吸い取ります。最後に砂糖と醤油を混ぜ合わせた甘ダレをかけて完成です。サクサクとした食感がクセになります。
親戚や友人を家に招いた際のおやつとして出してもよいでしょう。
ボリューム満点の洋風お好み焼き
もっちりとした食感とお好み焼きのふわふわした食感が見事にマッチした、腹持ち抜群の一品です。山芋は調理前にすっておき、冷蔵庫で休ませておきます。
ボウルに薄力粉・水・山芋を入れて混ぜ合わせて、細かくカットしたキャベツと小ねぎを入れましょう。サラダ油を引いたフライパンを加熱し、生地の1/4を流し込みます。
その上に細かく砕いたお餅とベーコンをのせて片面をじっくりと焼きましょう。
両面が焼きあがったら、お好み焼きソース・マヨネーズなどの好みの調味料や鰹節・青のりなどのトッピングをかけて完成です。
ケチャップやチーズを使えば、ピザ風にもなります。好みに合わせたレシピを見つけましょう。
文/編集部