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腸内に生息する真菌がすい臓がん発生に関与している可能性、米ニューヨーク大学研究

2019.10.19

真菌がすい臓がんの発生に関与か

腸内に生息する真菌が膵臓に移動し、正常な細胞のがん化を促すとする研究結果を、米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン・ヘルスのGeorge Miller氏らが「Nature」10月2日号に発表した。

膵臓がんの正確な原因は分かっていないが、米国がん協会(ACS)は長年にわたって、ウイルスや細菌、寄生虫が関与している可能性があるとの認識を示してきた。

しかし、真菌の関与が示されたのは今回が初めてだという。Miller氏らの研究により、進行した状態で見つかることが多く、致死率が高い膵臓がんの予防法や治療法が向上する可能性もある。

Miller氏らは今回、2年以内に死亡する確率が高い膵管腺がんに着目して研究を行った。膵管腺がんは、消化を助ける膵液が消化管に流れる際の通り道である膵管に発生する。

同氏らによると、この膵管を介した移動が腸内と膵臓内の真菌叢の異常な変化をもたらし、膵臓の細胞をがん化させる可能性があるという。

研究では、正常な細胞ががん化する際に真菌叢の組成も変化するのか否かを確認するために、膵臓がんマウスおよび非膵臓がんマウスから30週間にわたって糞便を採取し、遺伝子解析と統計学的手法を用いて真菌の種類と数を調べた。

また、蛍光タンパク質で標識した真菌をマウスの腸に注入し、真菌が腸から膵臓へ移動する様子も観察した。

その結果、膵臓がんマウスでは非膵臓がんマウスに比べ、真菌がおよそ3,000倍に増えていたほか、真菌叢の組成も大きく異なっており、特にMalassezia属が著しく多いことが分かった。この結果は、膵臓がん患者の膵臓の組織においても同様であった。

Miller氏らが、膵臓がんのマウスに抗真菌薬を投与して、真菌叢の変化ががんの増殖に及ぼす影響を調べたところ、30週間で腫瘍量は20~40%減少した。

さらに、薬剤によってマウスの膵臓の真菌をほぼ全て除去した上で、特定の真菌種のみ増殖させたところ、Malassezia属の真菌が存在すると、膵臓がんの増殖が20%早まることが明らかになった。

こうした研究結果についてMiller氏は、「われわれはこれまでの研究で、腸内の細菌が膵臓に移動することを明らかにしていた。

今回の研究では、真菌も同様に移動し、それに伴い生じた特定の真菌叢の変化が腫瘍の発生やその増殖を促すことが初めて確認された」と説明している。

Miller氏とともに今回の研究を実施したNYUのDeepak Saxena氏は、「Malassezia属の真菌は皮膚や頭皮から検出されることが多く、ふけや一部の湿疹の原因となることは以前から知られていた。

最近の研究では、皮膚がんや大腸がんにもこの真菌が関与していることも示されている」と説明。その上で「今回の研究によって、膵臓がんでもMalassezia属の真菌が増殖していることを示す新たなエビデンスが得られた」と話している。

なお、研究グループは、真菌ががんの増殖を促すメカニズムについて「真菌が免疫系に影響を与えることで異常な組織の増殖を招いているのではないか」との見方を示している。

共同研究者であるNYUのSmruti Pushalkar氏は「われわれの最終的な目標は、がんに最も強く関連する真菌の種類を特定し、標的を絞った抗真菌薬による治療で副作用を回避しながら腫瘍の増殖を抑えることである」と話しており、今後の研究に意欲を示している。(HealthDay News 2019年10月4日)

Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.nature.com/articles/s41586-019-1608-2

Press Release
https://nyulangone.org/news/fungal-invasion-pancreas-creates-cancer-risk

構成/DIME編集部

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