「乗り鉄」「撮り鉄」など、鉄道ファンの楽しみ方はいろいろだが、「かわいい鉄道」という独自の視点を持っているのは、“女子鉄アナウンサー”として活躍する久野知美さんだ。
高校時代に鉄道愛に目覚め、今に至る久野さんは、10年前に鉄道をモチーフにしたネイルアートにも開眼。そこから、実際の鉄道の中にも「かわいい」ものがあることに着目した。以来、かわいい鉄道探しに津々浦々を駆け巡っている。
その集大成となるのが、2冊目の著書となる『女子鉄アナウンサー久野知美の かわいい鉄道』(発行:天夢人、発売:山と溪谷社)だ。久野さんが足を運んで見てきた「かわいい」鉄道を紹介する内容で、そうした鉄道は各地にあるのがわかる。
今回は、本書に収載されたものの中から、久野さんがすすめる「かわいい」鉄道を幾つか紹介したい。
「ながまれ海峡号」(函館-木古内)
2016年にデビューし、その年の「鉄旅オブザイヤー」のグランプリを受賞した観光列車。厳しい予算制限を知恵と工夫で克服したことから、愛着をこめて「日本一貧乏な観光列車」とも呼ばれる。
ボックス席とは別にロングシートもあり、お一人様でも気軽に楽しめるのも特色。年に10回程度の限定運行で、2019年は10月19日の運行を残すのみ。
久野さん「函館湾に沿って走る路線は、鉄道ファンに大人気。座席もテーブルもレトロ感あるのがキュート。夜は車窓から漁火がとても幻想的に浮かび上がります。途中の駅でいったん降りて、ホームで海鮮バーベキューを楽しむなんて斬新すぎです!」
「西武 旅するレストラン『52席の至福』」(主に池袋-西武秩父)
2016年にスタートし、土日を中心に年100日ほど運行する西武鉄道の観光電車。武蔵野を流れる荒川をイメージした水色をベースに、自然豊かな秩父の四季をダイナミックに表現した外装が特徴。
久野さん「こちらは、1988年にデビューしたライオンズカラーの4000系を改造して、大きく変化を遂げた車両です。デザインしたのは、世界的な建築家の隈研吾さん。外装は秩父の荒川をイメージしたスカイブルーをベースに沿線の四季を描き、内装には沿線ゆかりの柿渋和紙や西川材をふんだんに使って、上質な空間を演出。“旅するレストラン”の名のとおり、車内には厨房があり、四季折々のメニューがリーズナブルな価格で楽しめます。ちなみに、僭越ながら車内の自動アナウンスを担当させていただいています! ご乗車の際は、耳を傾けてやってください(笑)」
「パンダくろしお『Smileアドベンチャートレイン』」(京都・新大阪方面-新宮・白浜方面)
JR西日本の発足30周年、動物テーマパーク「アドベンチャーワールド」の開園40周年を記念したラッピング列車。車体前面がパンダの顔、車体にはパークのほかの動物たちがあしらわれてインパクト大。
久野さん「先頭部にはパンダフェイス、側面には園内の動物たちがデザインされていて大迫力です。車内にも、至るところに動物たちが満載です。海南駅から南へ下ったあたりからは、車窓より太平洋が望める海岸線となっているので、日々の喧騒を忘れて癒やされると思います」