株式や投資信託などの金融商品に投資して売却すると、そこで得た利益や受け取った配当には約20%の税金がかかる。
だが、「NISA」(ニーサ)と呼ばれる非課税口座を使えば、毎年一定金額内で買った金融商品から出た利益には税金がかからないので、投資する立場としてはお得といえよう。
しかし、一度NISA口座を金融機関に作ってしまうと、なかなか口座を変更できないといわれる。その実態はどうなのか? ご紹介したい。
NISA口座とは?
2014年1月にスタートした、日本に住む20歳以上の個人投資家向け税制優遇制度のNISAは、年間120万円の非課税投資枠が設定されている。投資対象は株式、投資信託などの配当や譲渡益などが非課税対象となる。
金融機関を変更した場合を除くと、NISAは1人につき1口座に限られており、複数の金融機関には申し込みできないので注意が必要だ。
【参考】金融庁|NISAとは?
NISA口座の変更
NISA口座を作ったものの、金融機関によっては購入できない商品があったり、手数料が高い場合がある。そんな時はNISA口座を変更したいが、実際に変更するにはどうすればいいのだろうか?
NISA口座は変更できない期間があるの?
NISA口座は、口座開設後4年間は変更できない期間があった。しかし、2015年1月1日から1年単位で金融機関を変更できるようになった。
金融機関の変更は、変更したい年の前年10月1日から、変更したい年の9月30日までに行う。10月1日以降は次年度の扱いとなるので、注意したい。
金融機関を変更してNISA口座を開設しても、各年では1つの口座でしか取引できないので注意が必要だ。また、金融機関を変更する年内ですでに金融商品を購入していた場合は、その年に金融機関は変更できない。
ほかにも、変更前の金融機関のNISA口座の株式や投資信託などは、変更した金融機関のNISA口座に移せないので、これも注意しよう。
実際にNISA口座の変更はどうするのか? SBI証券を例にご説明
NISA口座を変更する手順をSBI証券へ変更する場合を例にご紹介しいこう。
1.まずはSBI証券に、金融機関を変更するための書類請求申込をする。
2.申込後5日程度すると必要書類が届くので、以下の書類を用意してSBI証券へ返送する。
2-1.非課税口座開設届出書
SBI証券から送られた非課税口座開設届出書に必要事項を記載する。
2−2.本人確認書類およびマイナンバーを確認できる個人番号記載書類
現住所がわかる「本人確認書類」と、マイナンバーを確認できる「個人番号記載書類」を用意。
3-3.「勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」
利用していた金融機関に「金融商品取引業者等変更届出書」または「非課税口座廃止届出書」を出し、「勘定廃止通知書」か「非課税口座廃止通知書」を受け取る。通知書の発行には時間がかかるので、事前に利用中の金融機関へ届けておくと時間の節約になるだろう。
3.SBI証券で必要書類が審査される。
4.SBI証券から税務署へ確認。審査が受理されると口座の変更・開設が可能となる。
【参考】SBI証券|金融機関変更によるNISA口座(NISA/つみたてNISA)開設
SBI証券のNISA口座をほかの金融機関に変更するなら?
もちろん、SBI証券からほかの金融機関に口座を変更することは可能だ。その場合はカスタマーサービスセンターに問い合わせするとよい。
【参考】SBI証券|お問い合わせ
NISA口座を解約・廃止するには?
NISA口座を解約・廃止する場合は、利用していた金融機関に「金融商品取引業者等変更届出書」もしくは「非課税口座廃止届出書」を出し、「勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」を受け取り、NISA口座を閉じる。
つみたてNISAは金融機関を変更できるの?
2018年1月に始まった長期・積立・分散投資を支援する非課税制度が「つみたてNISA」だ。年間40万円までを上限とし、累積投資契約による買付けに限られ、非課税期間は20年間だ。また、購入可能な商品は、長期・積立・分散投資の目的に合う特定の投資信託に限られる。
そんな、つみたてNISAだが、金融機関を変更できる。方法はNISA口座の変更に準じる。
【参考】日本証券業協会|みんなにいいさ!NISAがいいさ!!
※データは2019年9月下旬時点での編集部調べ。
※情報は万全を期していますが、その内容の完全性・正確性を保証するものではありません。
※本記事は投資を推奨するものではありません。商品のご利用はあくまで自己責任にてお願いします。
文/中馬幹弘