ダストを販売する「ムーンジュース」とは?
ダストだけでなくコールドプレスジュースやスナックなどヘルシーフードを販売している「Moon Juice(ムーンジュース)」。
創設者のアマンダ・ベーコンは、幼い頃から慢性呼吸器疾患に苦しんでおり、母親に連れて行かれたアーユルヴェーダで、医者から乳製品・砂糖・グルテンをカットするようアドバイスを受け、症状が治ったことをきっかけに、アーユルヴェーダに興味を持つようになったと言う。
20代の時にロサンゼルスの高級レストランで勤務していた経験もあり、ムーンジュースで販売されている商品は、発酵させたキャベツと大根に、サンフラワー、フラックス、チアシード、タンポポの葉、コリアンダーらを加えた「Rawクラッカー」など斬新で美しい商品で溢れている。
コールドプレスジュースから始まったムーンジュースだったが、輸送が簡単で、賞味期限が長いパウダーサプリである「ダスト」を開発。アメリカのサプリ人気が高まっていたことも後押しし、今ではウェルネスブランドとしての地位を確立した。
なぜアメリカではサプリが人気なのか?
Nutrition Business Journalがまとめた『2016 NBJ Global Supplement Report』によると、2014年の世界のサプリメント市場は、1,080億米ドル(約11兆円)。国別に見ると34%をアメリカが占めており、その市場は367億ドル(約4兆円)とされている。
このように「サプリ大国」とも呼ばれているアメリカでは、ダストをはじめ、様々なサプリが販売されている。ドラッグストアに行けば棚の端から端まで全てサプリで埋め尽くされている。
日本でも近年積極的にサプリを摂取する人が増えてきたが、アメリカほどではない。なぜアメリカではこんなにもサプリが人気なのだろうか?
その理由として、病気予防に対する意識の差が挙げられる。公的な健康保険に加入することが義務付けられている日本では、医療費が安いため「病気になった時に病院に行けば良い」という考えが浸透しており、予防意識が低い。
一方、民間の健康保険が主流のアメリカでは、加入している保険によって医療費が高額になるため「病気にならないように日頃から自己管理を徹底しよう」という考えを人々が持っており、予防意識が高い。
その結果、アメリカではサプリメントの利用が盛んになったと言えるだろう。
多くのサプリが発売されているアメリカで、競合と差別化するためには、科学的に裏付けられた効果を証明できること、ブランドコンセプトの確立、小売りパートナーとの関係性構築などが必要になってくるだろう。
文/小松佐保(Foody Style代表)
一橋大学経済学部卒業。
日本&シンガポールのブランドコンサルに勤務した後、独立しアメリカ・ボストンへ。
会社員時代に生活習慣の乱れが原因で体調を崩したこと、ボストニアンの心身共にヘルシーなライフスタイルに感化されたことで、「食×健康」領域に関心を抱くように。
現在はボストンと東京を行き来しながら、食×健康領域に関わる企業のマーケティングコンサルや海外展開サポート、コラムの執筆等を行っている。