周囲の雑音や騒音を抑え、ヘッドホンから流れる音をクリアに楽しめるノイズキャンセリングのヘッドホン。少し前までは高価なモデルばかりだったが、ノイズキャンセリング機能が量産により低価格化が進み、今では国内外のメーカーから様々な価格のモデルが販売されている。そこで今回は、今が買い時ともいえるノイズキャンセリングヘッドホンの仕組みから、意外な使い道までをご紹介しよう。
まずは基本を押さえよう! ヘッドホンのノイズキャンセリング機能とは?
ノイズキャンセリングという文字から「ノイズを消してくれるんだろうな……」と、だいたいの効果はわかるが、仕組みを知らない人は多いはず。実は、先進のデジタル技術が可能にした優れたメカニズムなのだ。
ノイズキャンセリングの仕組みはこうなっている!
音は波のような形(波形)を描いていて、これを音波と呼ぶ。音波の特徴の1つに、ある音波のうねりに正反対の形の音波(これを逆位相という)をぶつけると、お互いが打ち消し合って波が消えるというおもしろい現象がある。プラス1にマイナス1を足すとゼロになる、そうイメージするとわかりやすいかもしれない。
ノイズキャンセリング機能付きヘッドホンにはマイクが内蔵されている。そのマイクで拾った外部音に対して逆位相の音をDSP(デジタルシグナルプロセッサ)で生成し、不要な音(ノイズ)を打ち消しているのだ。
ノイズキャンセリングって効果あるの?
ノイズキャンセリングの技術はそもそも、軍事技術が元になっている。それは、戦闘機などで飛ぶパイロットが無線で交信する際の雑音を減らすことが目的の技術で、米軍にはノイズキャンセリングの軍事規格があるほどだ。
ノイズキャンセリングヘッドホンは、民間では飛行機で使われ始めた
アメリカの航空機メーカーは民間機だけでなく軍用機も製造していることが多い。そのため、軍事技術として開発されたノイズキャンセリングの技術が民間機のパイロット用ヘッドセットに転用され、今では民生品に使われるようになった。
ノイズキャンセリングヘッドホンのおすすめは?
民生用として発売された当初は取り扱う会社も少なく高価なものが多かったが、今では数多くのメーカーが販売するようになった。
安いけどおすすめな価格帯のノイズキャンセリングヘッドホン
Bluetoothなどを使った無線のモデルにこだわらなければ、3000円代後半から、高いもので数万円のモデルまで、予算に合わせて選べる。性能はある程度価格に比例するので、自分が求める音質やノイズキャンセリングのレベル、その他の機能などを確認してバランスを考えて選ぼう。
Wi-Fiが使えなくても安心!有線でも無線でも使えるノイズキャンセリングヘッドホン
無線タイプはコードを気にしなくて済むので、扱いがラクだが、とはいえ飛行機の中などインターネット環境を利用できない場所も多い。そんな時でも有線タイプなら問題なく使える。ここではおすすめの有線/無線兼用タイプを紹介したい。
OneAudio A3-S
【参考】Amazon詳細
普段は無線でも使えて、付属3.5mmオーディオケーブルで有線としても使える優れもの。Amazon販売価格は5508円。このほかにも3000円台から有線/無線両用の商品があるので、気になる人はAmazonを調べてみよう。
無線の主流! Bluetoothノイズキャンセリングヘッドホン
送信側のデバイスと受信側のヘッドホンの距離が近いこともあって、現在、ノイズキャンセリングヘッドホンで使われる無線の規格は、Bluetoothが主流だ。そのため、Bluetooth対応のほとんどのスマホと接続できる。
ワイヤレスのノイズキャンセリングヘッドホンで最強モデルってあるの?
ノイズキャンセリングヘッドホンを選ぶのにもポイントがある。まず「ノイズキャンセリング性能」を筆頭に「音質」「バッテリーの持ち」、コンパクトに持ち運べるかといった「使い勝手の良さ」の4つだ。これを高次元で兼ね備えたノイズキャンセリングヘッドホンは最強のモデルと言えるだろう。
性能は間違いなくトップクラス! ソニーのノイズキャンセリングヘッドホン
ソニーはBluetoothタイプのヘッドホンやイヤホンを数多く販売している。中でも「WH-1000XM」のノイズキャンセリングヘッドホンは、ハイレゾ対応のフラッグシップモデルでとても評価が高い。
【参考】ソニーのノイズキャンセリングヘッドホン「WH 1000XM3」は何がどう変わったか?
老舗BOSEもBluetoothのノイズキャンセリングヘッドホンに注力
ノイズキャンセリング技術の黎明期から力を入れているBOSE。同社のQUIETCOMFORTシリーズは、ノイズキャンセリングヘッドホンでは草分け的な存在だ。
ヘッドホンはBluetooth対応モデルとなっているので、有線タイプがほしい人はカナル型イヤホンにしよう。
iPhoneにもあるって知ってる?ノイズキャンセリング機能
実はiPhoneにもノイズキャンセリング機能が搭載されている。「設定」→「一般」→「アクセシビリティ」で、「電話ノイズキャンセリング」をオンにすれば、通話中に周囲の音を軽減してくれる。音楽を聴く以外にもノイズキャンセリング機能は有効なので試してみてほしい。
ノイズキャンセリング技術はヘッドホン以外にも使い道がある?
iPhoneには通話のためのノイズキャンセリング機能が搭載されているが、ほかにもノイズキャンセリング機能を用いた便利ツールがあるのでご紹介しよう。
ストレス軽減! ノイズキャンセリングアプリ
iOSには「静かな空間」という無料アプリがある。このアプリは本物のノイズキャンセリング技術を使うのではなく、不快な音に好みの音(川の音や秋雨の音)を重ねることで、耳からのストレスを軽減してくれるアプリだ。
これをノイズキャンセリングと言って良いかは判断に迷うところだが、同様のアプリは数種類リリースされており手軽に使えるので、ちょっと不快な音を緩和したい…というときは利用してみよう。
【参考】静かな空間
ノイズキャンセリング耳栓なんて製品も!
旧来からある耳栓は物理的に音を遮断していたが、これだと必要な音まですべて遮断してしまう可能性がある。ノイズキャンセリング技術を使えば、いらないノイズだけ効果的に除去できる。事務用品大手のキングジムからは「デジタル耳栓」という名前でノイズキャンセリング耳栓が販売されている。
ノイズキャンセリングイヤホンなら耳栓代わりになる?
元々は必要な音を際立たせるための、余計な音を除去する技術だった。そのため音を除去する技術だけを取ってみれば、耳栓代わりにもなる。周囲の聞きたくない不快な音や騒音をシャットアウトしたい! という時は、この機能搭載のヘッドホンを使えば周囲の音は遮断できる。ヘッドホンは大きすぎる……という人はノイズキャンセリングイヤホンを耳栓代わりとして役立ててみよう。
いびきの対策にも効果的! ノイズキャンセリング耳栓
例えばパートナーに言いにくい、いびきの対策にもノイズキャンセリングの耳栓は使える。いびきの防止策でストレスを感じることもなく、寝不足で身体を壊すこともなく、いびきをかく方、聞かされる方、どちらにとっても得な選択だ。
最先端のサウンド処理技術が生んだ、ノイズキャンセリング。今では建築現場や道路工事の騒音を消すための研究が行われているほど、暮らしに密着した技術となっている。電車や飛行機、人混みの中など騒がしい環境下で快適に音楽を聞きたい時、勉強に集中したい時などは、ノイズキャンセリングヘッドホンを有意義に活用しよう。
※データは2019年9月中旬時点での編集部調べ。
※情報は万全を期していますが、その内容の完全性・正確性を保証するものではありません。
※製品のご利用、操作はあくまで自己責任にてお願いします。
文/ねこリセット