「1日おき断食」ダイエットは減量に有効?
1日断食したら翌日は好きなものを食べるという「1日おき断食」ダイエット法は、減量に効果的かもしれない。
健康だがわずかに過体重の成人が、1日おきの断食をたった1カ月続けただけで約3kgの減量に成功したという研究結果を、グラーツ大学(オーストリア)分子生物学教授のFrank Madeo氏らが「Cell Metabolism」9月3日号に発表した。
このダイエット法は断続的断食法(intermittent-fasting)の一種で「1日おき断食法(alternate day fasting;ADF)」と呼ばれ、好きなものを食べる日と断食する日を交互に繰り返すもの。
Madeo氏らは今回、健康で肥満はないが、わずかに過体重の基準を超える60人の成人を対象に研究を行った。
研究では、参加者の半数を、2日間のうち最初の12時間は好きなものを食べ、その後36時間は断食することを繰り返すADFを1カ月間継続する群に、残る半数を普段通りの食生活を送る群にランダムに割り付けて観察した。
その結果、普段通りの食生活を送った群では約220gの体重増加が認められたのに対し、ADFに取り組んだ群では体重は平均4.5%減少した。
さらに、ADF群では、コレステロール値が低下するなど心血管リスク因子の改善も認められたという。
今回の研究では、参加者がADF中の食べても良い日に摂取した食事の量は、普段よりも30%以上多かった。
それでも減量に成功したのは、「普段と比べて食べる量が増えても、断食の日を挟むことで全体的なカロリー摂取量は減ったことによる」とMadeo氏は説明する。
また、Madeo氏は「ADFはカロリー計算も不要で生活の中に取り入れやすく、遵守率も極めて高かった」としている。
なお、今回の研究では、ADFと他の断続的断食法や低カロリー食との比較は行っていない。しかし、同氏は「研究では、ADFによる免疫系への影響は認められなかったが、カロリー摂取量を抑えるだけのダイエット法は免疫機能を低下させる可能性がある」と指摘。
また、「歴史的には、人間が体重維持のためにカロリーを制限するほど食べ物が豊かになったのは最近のことで、それ以前は飢餓の時代だった。したがって、生理的には飢餓状態は新しい経験ではない」と話している。
近年、関心が高まりつつある断続的断食法には、ADF以外にもさまざまな種類がある。例えば、1週間のうち決まった日数だけ食事を取り、残りの日は断食したり、食べる量を制限したりする方法もある。また、1日のうちで食べて良い時間帯を決め、それ以外は断食する、という方法もある。
一方、今回の結果を受け、専門家からは「長期的な影響が明らかになっていないため、現時点ではADFは勧められない」との声が上がっている。
米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン・ヘルスの管理栄養士であるSamantha Heller氏は、「運動したり肉体労働をしたりする人は、必要な栄養素を適宜摂取する必要があるため、1日おき断食を続けるのは難しいのではないか」と指摘する。
また、同氏は、誰もが普段から睡眠中は自然に断食しており、「その時間を延ばす断食法であればシンプルで取り入れやすい」とし、「夕食後に何かを食べながらテレビやパソコンの画面を見るのをやめれば、それだけで断食時間を延ばすことができる」と助言している。(HealthDay News 2019年8月28日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.cell.com/cell-metabolism/fulltext/S1550-4131(19)30429-2
構成/DIME編集部