■連載/阿部純子のトレンド探検隊
吸着フィルターは使わない光触媒のみの除菌・脱臭機
2018年に創業した光触媒を中核にした事業を展開する「カルテック」から、新製品の壁掛けタイプの光触媒除菌・脱臭機「ターンドケイ」(オープン価格・想定価格6万円前後)を10月より発売する。
光触媒技術とは光を当てることで触媒作用(化学反応の速度を変えること)を発揮する材料で、中でも酸化チタンが非常に優れた材料とされる。触媒の表面に有機物(ウイルス、悪臭成分、細菌等)が吸着すると、光エネルギーによって触媒作用により水と炭酸ガスに分解される。光触媒はオゾンの1.5倍、塩素の2.2倍とはるかに強い酸化力を持ち、有機物を完璧に分解できるエネルギーを発生させるのが大きな特徴だ。これにより除菌や脱臭、保鮮、防汚といった、空質浄化や水質浄化の効果を発揮する。
光触媒は藤嶋昭氏(東京理科大学 栄誉教授)が1967年に発見し、すでに50年以上経つ技術だが、近年まで光触媒技術を搭載した除菌・脱臭機は実現されていなかった。
「2010年頃から触媒の酸化チタンを結晶化する技術が日本で開発されて、そこから一気に結晶化技術が発達したこと、加えて紫外線だけの反応から可視光線LEDにまで反応する技術を実現したことにより光触媒製品への道が拓けた。
しかしその後も、市場には大手を含めて光触媒の製品がほとんど出ていないのは、光触媒をうまく製品に載せる技術が遅れていたため。それを解決したのが弊社の世界NO.1技術と自負する光触媒技術と、光の量、風量、センサーをコントロールし光触媒を最大限に引き出す設計、弊社の特許技術『サイドフロー構造』といった要素技術開発だ。光触媒技術と製品の要素技術、デザイン性の3つのバランスによって、光触媒のみを使った薄型の製品を実現できた」(カルテック代表取締役社長 染井潤一氏)
従来の除菌・脱臭には活性炭やイオン方式があるが、カルテック光触媒は、有機物質のすべてが分解可能なので除菌・脱臭効果が高いということ。また、吸着した物質が再放出する場合がある活性炭や、オゾンを発生するイオン方式と異なり、有毒物質の発生が一切ないことも大きな特徴だ。
他社の光触媒脱臭機は光触媒と吸着フィルターを併用しているが、カルテック製品は光触媒のみで脱臭をする。吸着フィルターなしの光触媒テクノロジーの空間清浄デバイスは業界初。
タバコのニオイのもとになるアセトアルデヒトの除去性能テストでは約15分で90%以上、約30%で99%のニオイを除去。浮遊ウイルスの除去性能テストでは、約30分で90%、60分で99%除去するという結果が出た。