服を洗ったあと、気になるシワをアイロンでキレイにしたくなるはず。その時「この服はアイロンを掛けてもよいのか?」「アイロンを掛ける時の温度は?」などと悩むことはないだろうか。服に付いている洗濯表示を確認すればいいのだが、その表示の意味を知らない人もいるだろう。最近では洗濯表示も新しくなったため、わからなくなっている人もいるかもしれない。そこでこの記事では、洗濯表示の意味を紹介していく。
新洗濯表示は旧洗濯表示と比較すると何が違うの?
まず「洗濯表示」が平成28年12月から変わったことを知っておこう。新洗濯表示になった理由は国際基準に合わせるためのようだ。今までは日本独自の表示だったが、これでは海外で購入した服の表示を見ても理解できないし、海外の人が日本で購入した服の洗濯表示を見ても困ってしまう。こういった混乱を避けるためにも統一化された可能性が高い。これを踏まえて、まず洗濯表示の違いを説明し、続いてアイロンの洗濯表示について解説していこう。
洗濯表示に使われている記号のデザインが変わった
新旧洗濯表示の違いだが、根本的に使用している記号のデザインが変わっている。例えば自然乾燥処理の場合、旧デザインは服のデザインが印字されていた。しかし新デザインの場合はただの正方形となっている。そして、その正方形の中に「|」「||」「-」「=」などを入れて、干し方を表現している。
【参考】家庭用品品質表示法に基づく繊維製品品質表示既定の表示について(消費者庁)
使われている記号の種類も大幅に増えている
デザインが変わっただけでなく、新しいデザインも多く追加されている。今まではタンブル乾燥処理に関する表記はなかったが、新デザインの場合はタンブル乾燥の可否を表記や、乾燥する場合の温度も示すようになっている。
タンブル乾燥とは?
洗濯物を槽内で回転させながら温風を当てる乾燥方法。主にコインランドリーなどで用いられる。比較的早く乾く乾燥方法だが、衣類同士が擦れたり、壁に叩きつけられるので傷みやすい衣類(タンブル乾燥禁止の洗濯表示がある場合)は避けたほうがよい。
デザインに表記されている数字は取り扱い方の上限を示す
洗濯記号の中に「40」のような数字が表記されている場合がある。これは、洗濯する時の水の温度が40℃を限度に洗ってもよいことを指す。もし「30」であれば30℃を上限とするため、40℃で洗ってしまうと服が傷むなどの可能性があるので注意しよう。
参考情報は簡単な付記用語で付記されることがある
洗い物の中には、洗濯表記だけでは利用者に対して情報を伝えきれないケースがある。その場合は、簡単な付記用語で付記することが多い。代表的なものを紹介すると「押し洗いをしてください」「ボタンを取り外して洗ってください」などだ。ほかにも様々な付記用語があるので、お気に入りのお洋服を洗う時は、注意してみよう。
新洗濯記号でアイロンの表示はどう変わったのか?
アイロンの新洗濯表記ももちろん変わっている。
「高」「中」「低」と温度を表示するマークは点の数が意味をなす
新旧表示の大きな変化は、アイロンマーク内にあった「高・中・低」の漢字が「点」に変わったことだ。「高 = “・・・”」「中 = “・・”」「低 = “・”」と点の数で、温度の限度を表現している。「・・・」は200℃を限度、「・・」は150℃を限度、そして「・」は110℃が限度だ。
アイロン表示でスチームなしでできる記号はこれだ!
先ほど「・」は110℃を限度としているマークと紹介したが、実は「スチームなしでアイロン掛けができる」という意味も含まれている。
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当て布を使用する記号は廃止され……代わりに付記用語で説明
旧洗濯表記では当て布をしてアイロン掛けをする表記があったが、新洗濯表記では廃止されている。その代わり付記用語で「アイロンは必ずあて布をしてかけてください」と、印字されるようになった。
洗濯表示で記されている「F」「P」はドライクリーニングの種類を指す
洗濯表示の中には「F」や「P」といったアルファベット1文字が “◯” の中に記されている場合がある。これらはクリーニング店のなど、専門業者が理解するための表示なので、この洗濯表示があったらなるべく自宅で洗濯せずに、クリーニング店へ持っていこう。
洗濯表示の「ドライ セキユ系」は「F」で表記される
旧洗濯表示は “◯” の中に “~” が記され、加えて文字で「ドライ セキユ系」と表記される。新表示では「F」と表示するようになった。これは「石油系溶剤(蒸留温度150℃~210℃、引火点38℃~)でのドライクリーニング処理ができる」という意味になる。専門用語が飛び交っているため分かりにくいかもしれないが、つまり「ドライクリーニングが石油系の溶剤でできる」ということだ。基本的にはクリーニング店のようなプロが使う溶剤になるため、私たちは「ドライクリーニングの種類が違うのだな」と理解しておけば問題ない。
洗濯表示の「ドライ」は「P」で表記される
旧洗濯表示では、”◯” の中に “~” が記され、加えて文字で「ドライ」と表記される。これが新表示では「P」とだけ表示するようになった。意味は「パークロロエチレン及び石油系溶剤でのドライクリーニング処理ができる」だ。こちらも基本的にはクリーニング店などが利用する溶剤なため、「ドライクリーニングの種類が違う」と理解しておこう。
パークロロエチレンとは何?
テトラクロロエチレンとも呼ばれる。主に化学繊維の洗浄に用いられるほか、金属の洗浄にも使われる化合物のこと。
洗濯表示で「F」や「P」のついた服は手洗いできるのか?
「F」「P」のデザインが表記されていた場合、基本的にはクリーニング店でドライクリーニングをしてもらうのがベストだ。しかし、場合によっては自分自身で手洗いしたいケースもあるだろう。その場合「そもそも手洗いをしてもよいのか?」という疑問が出てくる。結論からいえば「とあるデザインが表記されていればOK」だ。そのデザインとは、手を水の中に入れているもので、40℃を上限温度として手洗いができることを意味する。
洗濯表示の中にある「40」などの数字はどう変わったのか?
先ほど説明をしたとおり、洗濯表示の中にある数字は上限温度を指している。したがって「40」と記載されていた場合は、40℃を上限としているわけだ。詳細は前出の「デザインに表記されている数字は取り扱い方の上限を示す」を参照してほしい。
新洗濯表示になってわかりやすくなったものと、わかりにくくなったものがある。これは利用者側が理解を進める以外に打つ手はないが、一歩国際化が進んだことに変わりはない。海外製のアイテムを簡単に購入できるようになった昨今、積極的に洗濯表示をチェックして洗濯上手になっていこう。
※データは2019年8月下旬時点での編集部調べ。
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文/ねこリセット