一説には、生涯で2万時間を費やすという家事。共働き世帯が増え、フルタイムで仕事をしながら家事をする妻の負担が問題になっているが、注目されているのが「家事シェア」だ。
これは、家事にはノータッチに近かった夫(や子ども)にも、応分の家事負担をしてもらおうという考えで、それを円滑に行うためのアプリなど、様々なツールが出ている。中でも、最も一般的なツールは、ホワイトボードだろう。例えば、ホワイトボードの縦に「AM 8」など1時間刻みで時刻を記しておき、横には「ママ:もえるごみを出す」、「パパ:風呂そうじ」などと、その時間にすべき家事を書いておく。こうすれば家族内で、家事シェアが遺漏なく徹底されることが期待できる。ただ、ホワイトボードをチェックする習慣がつかないと、根付かない恐れがあるし、使い勝手にもやや難がある。
ホワイトボード×置時計で家事シェアを円滑に
欧文印刷が8月に発売した「CotiCoti」は、ホワイトボード単体から一歩進んだ家事シェアツール。なにもハイテクを採用したガジェットでなく、置き時計にホワイトボードを一体化させたというだけのシンプルなものだ。
「CotiCoti」のホワイトボードのサイズは、高さ150mm×幅210mmと、二つ折りしたA4用紙とほぼ同じ。種類は、1日スケジュール、週間スケジュール、キッズクロックの3種類あり、デフォルトでは1日スケジュールとなっている。これをめくるか、裏返すことで他種のホワイトボードを使える。
1日スケジュールの使い方
1日スケジュールのボードは、時計の文字盤の周囲が12色で区切られており、それぞれ1時間のタイムゾーンを表している。下部には、7~22(時)の数字が横に並び、その下にも色分けがされている。
例えば、8時に「ゴミを出す」(夫の役割)、午前中に「宅配を受け取る」(妻の役割)、午後の早いうちに「夫に帰りの買い物リストをメール」(妻の役割)という家事がある場合、以下のように書き込む。
文字盤周囲のエリアと下部のエリアの使い分けについては、厳密に決まっていないが、「午前の間」のような緩い時間枠は文字盤周囲、すべき時間が決まっているピンポイント的なものなら下部エリアに書き込むのがよさそうだ。
週間スケジュールの使い方
週間スケジュールのボードは、文字盤の周囲はフリースペース、下部は日~土曜の欄となっている。文字盤の周囲には今日の家事を書き入れ、下部には毎週発生するルーチン家事を記しておくのもよいし、あるいは、これから1週間の家事は週間スケジュールに、今日の家事は1日スケジュールにと、複数のボードを使い分けるのでもよいだろう。
キッズクロックの使い方
キッズクロックでは、文字盤周囲に0~55の5の倍数の数字があるが、これは分の表示。時計の読み方がわからない未就学の子ども向けのボードで、「はみがき」、「おもちゃかたづけ」など、これから1時間のうちに子どもにやってほしいタスクを知らせるのに役立つ。
このように、「CotiCoti」は、家事シェアのスケジュールをより「見える化」させるとともに、「うっかり見忘れる」のを防止する仕掛けが備わった、なかなかアイデアのきいたプロダクトだ。リビングかダイニングの掛け時計を外すかわりに、これを目立つ場所に置いて、家事シェア促進に活かすとよいだろう。
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文/鈴木拓也(フリーライター兼ボードゲーム制作者)