仮想通貨に関連し、最近では『トークン』という言葉がよく見られるようになりましたが、どのようなものであるかをしっかりと理解している人はまだ少ないのが現状です。トークンの基礎知識やメリットなどを、投資初心者にも分かりやすく解説します。
トークンとは?
トークンとは、企業や個人により、ブロックチェーン上で発行される独自コインのことをいいます。意味が分かりにくいトークンについて、イメージしやすいように解説します。
トークンという言葉の意味
トークン(Token)という言葉には、しるし・象徴・証拠などという意味の他に、商品引換券という意味があります。
この中で、仮想通貨におけるトークンの意味に似た言葉は、商品引換券といえるでしょう。つまり、「何か別の価値あるものと交換可能なもの」と言い換えられます。
例えば、通販サイトやコンビニで貯まるポイントや、スーパーなどのスタンプカード、ギフトカードや図書カードなどは、トークンの一種と考えられます。
実際のお金に代用するものとして利用し、各企業などから提供される商品やサービスを購入できるものは全て、トークンのくくりに含まれるといえるのです。
仮想通貨におけるトークン
お金のように使えるものがトークンであるとするなら、仮想通貨も広義ではトークンの一種に含まれると考えられるでしょう。
ただし、ほとんどの場合、仮想通貨の世界においては、ブロックチェーン技術が用いられた通貨のことをトークンと呼んでいます。
また、仮想通貨の世界では、企業や団体などが独自の仮想通貨やトークンを発行し資金調達を行うことを指す『ICO』という言葉があります。
仮想通貨の世界でのトークンは、このICOに使用される意味合いが強いものという認識をもたれていることがほとんどです。
トークンと仮想通貨の違い
ブロックチェーンとは、仮想通貨などの取引履歴を暗号技術により1本の鎖のようにつなげ、正確な取引履歴を維持しようとする技術です。
トークンも仮想通貨も、ブロックチェーン技術を基に作られる電子通貨である点は同じといえますが、基になるブロックチェーンが独自のものか既存のものかという点で区別されます。
独自のブロックチェーンを持つ仮想通貨
仮想通貨は、独自のブロックチェーン上で作られる通貨です。
全世界で1500種類以上もあるといわれている仮想通貨は、それぞれが独自に持つブロックチェーン技術の信頼性において価値を高め、差別化されているともいえます。
ビットコインなど個別の仮想通貨は、それぞれ全てオリジナルのブロックチェーン上で発行・流通されています。
既存のブロックチェーンで作られるトークン
トークンは、個別の仮想通貨で既に使われているブロックチェーン技術により作られる通貨です。既存の仕組みをコピーして作られるものともいえます。
例えば、『ザイフトークン』は、仮想通貨『ネム』の独自ブロックチェーンを用いて作られたトークンです。
また、『フィスココイン』というトークンは、仮想通貨『ビットコイン』のブロックチェーンを利用して発行されています。
トークンは、それぞれの仮想通貨において、ブロックチェーン技術などが使われている基盤を指す『プラットフォーム』を用いて作られます。
トークンには種類がある
トークンは、発行している企業やサービスごとにさまざまな特徴を持つものが存在し、いくつかの種類に分けられます。
カレンシータイプ
『カレンシータイプ』は『仮想通貨型』とも呼ばれ、ビットコインなど代表的な仮想通貨と同様に、多様な使われ方を意識して発行されるものをいいます。
例えば、ビットコインは、中央管理者が存在する日本円などの法定通貨と異なり、発行数の上限などがあらかじめシステムによって統制されています。
そのため、送金スピードや匿名性の確保などに優れているという特徴をもち、決済や送金における利便性の高さを追求したものがほとんどです。
ユーティリティタイプ
『ユーティリティタイプ』は、事業者側が提供する商品やサービスを利用するための対価として発行されるタイプです。
プリペイドカードやサービス利用券のように使えるため、『プリペイド型』とも呼ばれます。
例えば、コミュニティプラットフォームサービスを展開するICOプロジェクトであれば、ユーザー同士の評価に使用したり、ブログや音楽といったコンテンツを提供したりする事で、トークンにより報酬を受け取るといったサービスもあります。
商品やサービスが存在して初めて、価値が認められるタイプであるため、適正価格の判断が難しいことが特徴です。
そのため、ユーティリティタイプに関しては、しばしばその価値に対し議論が起こっています。
アセットタイプ
『アセットタイプ』のトークンは、実際する資産に連動した通貨のことを指し、ペグ通貨とも呼ばれます。
金・ダイヤモンド・株式・法定通貨・石油・不動産などの所有権を表すトークンです。
最近では、ベネズエラ政府が原油の価値を裏付ける目的で、『Petro』というアセットトークンを発行しています。世界で初めて、国家主体のICOが実施されたことで話題となりました。
また、米ドルに連動したトークンである『Tether』も、広い意味ではアセットタイプの一つです。Tetherは多くの取引所に上場し、主に基軸通貨として扱われています。
セキュリティトークン
アセットトークンの一種として扱われる『セキュリティトークン』とは、ブロックチェーン技術を用いて有価証券をデジタル化したような通貨です。
今後のブームになるといわれているトークンで、2018年頃から日本でも注目を集め始めています。
有価証券である以上、セキュリティトークンを扱うためには、証券関連の規制に従わなければならないという点が特徴です。
アメリカでは証券法や証券取引法、日本では金融商品取引法といった法律に則って、発行や取引を行う必要があります。
また、有価証券のデジタル形態であることから、従来より流動性や分散性を高められるという考え方が、今後の主流になっていくとみられています。