貯金をしても金利が低くて残高がなかなか増えない……。そうおなげきの貴兄に投資信託をご紹介したい。
初心者にとって大切な基礎的知識と心構えをご覧いただければ幸いだ。
そもそも投資信託とは何?
投資信託はファンドとも呼ばれ、投資家から集めたお金をまとめて、運用の専門家が株式や債券などに投資して運用する金融商品だ。
集めたお金は運用方針に基づいて専門家が運用する。また、運用成果は投資額に応じて分配される。
運用成績は市場環境などにより変動するため、投資信託を購入したあと、運用がうまくいって利益を得ることがある一方、運用がうまくいかず投資した元本を下回り損することもある。
投資信託は元本保証されている商品ではないことを、初心者はまず覚えておいていただきたい。
銀行でも投資信託は買えるの?
投資信託と聞くと、必ず証券会社で買わなくてはならない……そう思っている人もいるはず。しかし、銀行でも投資信託は購入できる。
例えば、3大メガバンクである、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行はもちろん、ゆうちょ銀行や地方銀行である横浜銀行、ネット銀行のイオン銀行など多くの銀行で投資信託は購入できる。
【参考】投資信託 | 三菱UFJ銀行
投資信託でよく聞く「NISA」って何?
税制優遇を受けて投資できる少額投資非課税制度「NISA」は、2014年に「NISA」が開始された。その後、2016年に未成年者を対象とする「ジュニアNISA」が、2018年には長期投資を目的とする「つみたてNISA」が始まった。
NISAは日本に住む20歳以上の人が対象。非課税になる投資枠は毎年120万円まで、5年間最大で600万円まで。非課税になるのは投資した年から最長で5年までとなっており、投資可能な期間は2023年までとなる。
NISAで非課税になる金融商品は投資信託や証券取引所に上場している株式など。売却益や普通分配金(投資信託)、配当(株式会社が株主に利益還元すること)が非課税になる。
一方のつみたてNISAをご説明しよう。
つみたてNISAは日本に住む20歳以上の人が対象。非課税になる投資枠は毎年40万円まで、20年間で800万円が上限となる。非課税になるのは投資した年から最長で20年までとなっており、投資可能な期間は2037年までとなる。
つみたてNISAで非課税になる金融商品は長期の積立・分散投資に適した投資信託。売却益や普通分配金が非課税になる。
NISAとつみたてNISAで注意しなければならないのは、ひとりにつき1口座のみなこと。つまり、NISA口座かつみたてNISA口座かを選ばなければならないのだ。また、その年に使わなかった非課税投資枠は翌年以降に繰り越せず、また、NISAやつみたてNISA以外の口座との損益通算(利益や損を合算する)はできない。さらに、損失を翌年以降に繰り越すことができないことだ。
詳しくは最寄りの金融機関などに問い合わせするといいだろう。
iDeCoを使った投資信託の運用とは?
iDeCo(イデコ:individual-type Defined Contribution pension plan)とは個人型確定拠出年金制度のこと。個人で運用する年金を意味し、税制面での優遇措置が用意されている。毎月決まった金額(上限あり)を掛け金にして、継続的に金融商品へ投資する積立投資であり、その対象を投資信託にするケースがある。
ノーロード投資信託って何?
投資信託は基本的に販売手数料がかかる。購入価格の1%〜3%程度のものが多いが、この販売手数料のことを英語でロード(Load)と呼ぶ。つまり、ノーロード投資信託とは、販売手数料が無料の投資信託のことだ。
積立投資信託って何?
金融商品と聞くと、10万円、1000万円単位で購入する、そんな先入観はないだろうか。
昨今は金融商品もIT化が進み、投資手法も多様化している。積立投資信託は文字通り、積立目的の投資信託だ。特徴としては、少額での投資が可能なこと。例えば、100円、1000円といった単位でも購入できるので、少額でコツコツ投資することが可能。
また、購入時期を分散できるので、購入価格を平準化できる。ある投資信託の基準価格(評価額)が8000円、8100円、7900円、8200円といった具合に変動しても、都度その基準価格で購入すれば平均的な価格にならされるため、リスク分散が可能になるのだ。
定時定額で投資信託の購入するってどういうこと?
積立投資信託でも説明したが、投資信託はどうしても基準価格が変動する。そこで、少額購入・購入タイミングの分散を図り、指定口座から自動振替をするなど手間を省き、定時定額での投資を長期で実施することがある。
バランス型投資信託ってよく聞くけど、何のこと?
投資信託は運用者が投資家から資金を預かり運用方針に基づいて投資・運用することだが、国内株式中心のもの、外国株式中心のもの、国内債券中心のもの、外国債券中心のものなど、それぞれの商品で運用方針には個性がある。
そんな中、バランス型投資信託は、単一資産に投資するのではなく、バランス良く多くの投資対象に投資する商品となっている。
バンクローンの投資信託って何?
バンクローンとは文字通り、銀行などが行う企業への融資(ローン)のことを指す。そのローンが転売されて投資家が取引できる仕組みをバンクローン市場と呼ぶ。そこは金融機関や機関投資家(投資信託の運用・年金など、大手投資家)ら専門家が売買する市場のため、個人投資家が直接参加できない。そこで投資信託の形式を取り、個人が参加できるようにしたものがバンクローンの投資信託だ。
REIT(リート)を主に使う投資信託って何?
REIT(リート)とは、不動産投資信託(Real Estate Investment Trust)の略称。不動産を中心に運用する金融商品で、その多くは金融商品取引所に上場していて、株式同様に取引所でいつでも売買できる。
REITは不動産投資の専門家がオフィスやマンションなどの不動産を、投資家から集めた資金で購入し、その不動産を賃貸、賃料収入や売却益から経費を差し引いた収益を投資家に分配している。
そのREITを中心に運用する投資信託があり、広く一般化している。
インターネットで投資信託を売買できる?
インターネットによる売買は、技術進歩に伴い多岐にわたる。手数料が安くなったり、売買が迅速化するなどメリットも多い。
また、ロボアドバイザーと呼ばれる、コンピューターによる自動売買を活用した投資信託なども登場している。
初心者が気をつけたい投資信託のデメリットとは?
投資信託は元本保証されていない。これは初心者が決して忘れてはいけない投資信託のデメリットだ。
そして、投資信託は運用の管理費(信託報酬・監査報酬など)がかかることも覚えておきたい。
さらに、投資信託を売買する場合に、株式のようにタイムリーな価格を反映できない。基準価格は「ブラインド方式」とされ、適用される基準価格がわかならい状況で売買注文が受理される。例えば、株式が大幅に下がったタイミングで株式型の投資信託を売買しても、市場環境が完全に反映されているとは限らない。
また、信託財産保留額(解約手数料)がかかる商品もあるので、この点も注意が必要だ。
そして、売買や利益に課税されることが多いので、ある程度の税務知識が必要となる。
以上のようなデメリットを考えると、投資信託を始めるには少額でリスクをなるべく減らして投資に慣れること、さらには金融機関などに相談しやすい環境を作ることが大事だろう。
ほかにも、初心者が気をつけたいデメリットの主だったものを以下で紹介していく。
NISAを使って投資信託で運用する時、特に注意したいデメリット
NISAのデメリットは、口座開設がやや複雑なこと。口座が1つしか持てないので、金融機関は重複していないか税務署を通して確認するため、口座開設まで1〜2週間程度の時間がかかってしまう。そのため、金融機関を途中で変える場合なども手続きが複雑になってしまう。
また、投資限度額が120万円となっていることも注意が必要。投資信託を一度売り、タイミングをずらして再購入といった場合に非課税枠を使い切ってしまっていることもあり得る。
さらに、NISA口座の金融商品は通常口座の取引との損益通算ができないことも忘れてはならない。
iDeCoを使った投資信託で特に注意したいデメリット
iDeCoは通常の年金と同じく受け取れるタイミングが決まっており、60歳以降となっている。また、iDeCoは各種金融機関で口座開設が必要で、原則、口座管理手数料が毎月かかる。
ノーロードの投資信託で特に注意したいデメリット
投資信託には販売手数料だけではなく、信託報酬や、売却時の信託財産留保額などの費用がかかる商品が多い。
ノーロード(手数料なし)とはいえ、例えば信託報酬が年間1.5%だとすると、10年間で15%の費用が必要となる。さらに信託報酬が1.0%かかるなら、10年間トータルで16%引かれることになる。
ノーロードといっても、必ずしも費用が安いとは言い切れないので、注意が必要だ。
積立投資信託で特に注意したいデメリット
少額で投資するため、利益を短期であげることが難しい。ただし、長期で投資して複利効果(再投資で利益自体がまた利益を生む効果)が期待できるのは見逃せない。
また、基準価格が高い時でも購入してしまうリスクもある。購入価格の分散化は可能だが、高値で買い続けてしまうリスクをはらんでいることも、初心者は特に注意したい。
バランス型投資信託で特に注意したいデメリット
株式や債券、国内や国外とバランス良く投資するバランス型投資信託だが、デメリットも存在する。まずは手数料が割高な商品が比較的多いこと。運用を分散するということは当然、手間もかかる。そのためどうしても運用コストが割高になりがちだ。
また、投資内容がわかりにくいこともデメリットのひとつ。それに伴い、資産配分を自分好みにカスタムするのが難しく、また、自分の知らない中でリスクの高い商品に投資して運用されている危険性もある。
バランス型と聞くと安心・安全というイメージが先行するが、もちろん、リスクを低くするのが目的の投資信託も多いが、商品によってはハイリスク・ハイリターンのタイプもあるので注意したい。
バンクローンの投資信託で特に注意したいデメリット
こちらは銀行ローンを売買するバンクローン市場の特異性に注意したい。利回りなど運用成績が高い投資信託の場合、融資先の企業の信用度が低いローンが多く組み込まれている可能性もある。また、為替のリスクも留意すべきで、高度な金融知識を必要とする可能性があり、初心者向けとはいいにくい。
REIT(リート)の投資信託で特に注意したいデメリット
不動産市場が投資対象となるので、ある程度の不動産知識がないとリスクが高くなる。また、国外のREITに投資する投資信託の場合は為替リスクもあり、この点も注意が必要。利回りだけで選ぶとリスクも高い商品なので、初心者は注意したい。
インターネットで売買する投資信託で特に注意したいデメリット
売買手続きがしやすいということは、売買での操作ミスなどのリスクも高くなる。人を介さず取引するため、操作ミスに気づかないで、後日驚くといったことも考えられる。手数料が低いということは自己責任も高くなることの裏返しだ。
セキュリティ面も注意したい。お金という大切な財産情報と様々な個人情報が詰まった口座情報が漏洩したり、悪用されるリスクも考慮したい。
また、ロボアドバイザーの投資信託も出ているが、自動売買だから安心というわけではない。また、設定次第で損益も大きく変わるので、任せて安心とはいかないことも覚えておきたいリスクだ。
気になる投資信託のランキング
ここまで、初心者向けに投資信託の仕組みをご紹介してきた。
では、人気の投資信託にはどういったものがあるか? 三菱UFJ銀行が公開している、2019年8月28日時点での投資信託ランキングを見てみよう。あくまでランキングの紹介であり、実際の投資に当たっては自己責任で判断していただきたい。
また、初心者が投資信託を行う場合は、なるべく少額かつ長期での投資を重視し、過去実績や利回りだけではなく、自分の金融知識や経験も踏まえてローリスクになるよう心がけたい。
さらに、取引口座を開設する金融機関も手数料の高低だけではなく、安全性・実績などに十分配慮して選びたい。
販売額ランキング(過去6か月)
1位 eMAXIS 日経225インデックス
2位 ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型
3位 三菱UFJ インデックス225オープン
4位 サイバーセキュリティ株式オープン(為替ヘッジあり)/(為替ヘッジなし)
5位 ニッセイ J-REITファンド(毎月決算型)
販売件数ランキング(過去6か月)
1位 eMAXIS 日経225インデックス
2位 ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)
3位 eMAXIS NYダウインデックス
4位 三菱UFJ インデックス225オープン
5位 eMAXIS 国内リートインデックス
騰落率ランキング(過去3年)
1位 東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープン
2位 netWINゴールドマン・サックス・インターネット戦略ファンド Aコース(為替ヘッジあり)/Bコース(為替ヘッジなし)
3位 明治安田米国中小型成長株式ファンド
4位 アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信 Aコース(為替ヘッジあり)/Bコース(為替ヘッジなし)/Cコース毎月決算型(為替ヘッジあり)予想分配金提示型/Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型
5位 三菱UFJ NASDAQオープンBコース
純資産総額ランキング
1位 ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)
2位 フィデリティ・USリート・ファンド A(為替ヘッジあり)/B(為替ヘッジなし)
3位 フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド/フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド(資産成長型)
4位 新光 US-REIT オープン(愛称『ゼウス』)
5位 ひふみプラス