世界中にはさまざまな通貨があります。その交換レートを決めるのが「外国為替市場」の役割です。外国為替市場は世界経済の中心的な役割を果たしていると言ってもいいでしょう。外貨取引について詳しく知るために、外貨為替市場の基礎知識を解説します。
外国為替市場とは?
日常生活に馴染み深い円やドル、ユーロなど、世界にはさまざまな通貨が出回っています。「外国為替市場」は、これら世界中の通貨を扱っているため、いわば世界経済の中心と言ってよいでしょう。
「外国為替市場」がどのようなものか、詳しく解説します。
異なる通貨を交換する場のこと
外国為替市場の役割は、異なる通貨を交換することです。ドルを売って円を買う、ユーロを円で換金するといった通貨同士のやりとりする場を言います。
ただし、市場と言っても魚や野菜を扱っているような販売所のことではありません。売り手と買い手が電話やインターネットを通じて行う取引のことを、総じて外国為替市場と言います。
各国ごとに取引が集中する場所の名前から「東京外国為替市場」「ニューヨーク外国為替市場」などの言い方をしますが、その都市の中に建物や施設があるわけではありません。
為替とは
「為替」という言葉が庶民に浸透したのは江戸時代と言われています。当時は徒歩のため、例えば江戸から大阪、京都など遠路はるばる取引のために現金や物資を運ぶのは、紛失や強盗に遭う危険が伴いました。
そこで「為替手形」というものを発行し、その手形を届け先の両替商に持って行くことで現金を受け取る仕組みができたのです。このように、現金を使わずに支払いをするというのが、為替が持つ本来の言葉の意味になります。
現代ではその意味が転じて『異なる通貨同士を交換すること』という意味で使われるようになりました。
外国為替市場での取引内容
外国為替市場で行われる取引は、次の2通りに分類されます。
- 『個人や企業が金融機関と行う取引』
- 『金融機関同士が直接、もしくは為替ブローカーを通じて行う取引』
1については、経験のある人も多いでしょう。個人が行う代表的なものとしては、海外旅行のために現地通貨を両替することなどが挙げられます。または外国企業と取引する際に、企業が行うこともあるでしょう。
2は銀行が顧客との取引で発生する為替の資金調整や持高調整取引のことで、インターバンク取引とも呼ばれます。
外国為替市場の取引時間は?
外国為替市場の取引時間について見ていきましょう。市場の移り変わりや特色についてもあわせて解説します。
各国の休日や勤務時間に関係なく開く
外国為替市場の取引時間は、1日24時間の、月曜から土曜朝までの週5日です。祝日や長期休みは関係ありません。
なぜ土日は休みなのかというと、銀行が休むからです。そのため、FXなどをやる場合は24時間取引をすることができます。
市場ごとに特色はある
前述しましたが、もっとも取引のある時間帯によって外国為替市場の呼び方が変わります。東京外国為替市場と呼ばれるのは午前10時から午後5時頃まで、その後はロンドン市場となります。これは時差によるところも大きいでしょう。
東京外国為替市場では、企業間取引やインターバル取引が活発になる傾向にあります。また、ニューヨーク外国為替市場は、経済指標が公表される時間とかぶるために、値動きがかなり激しくなる市場です。
このように、市場ごとに特色があることも覚えておきましょう。
取引は為替レートを基準に行われる
外国為替市場での通貨の取引を決める重要な指標が『為替レート』です。世界の通貨の流れを理解するためにも、為替レートについて詳しく知っておきましょう。
為替レートの意味と決め方
外国為替市場が、異なる国の通貨を交換する場所だということはこれまで述べてきたとおりです。
しかし、ここで大きな問題が発生します。それは「通貨Aを1枚買うのに通貨Bは何枚必要か」という取り決めです。これを『為替レート』といいます。
では実際にどうやってレートを決めるのかというと、これは『通貨の需要と供給のバランス』で決まります。ドル円で見るなら、ドルが欲しいと望む企業や投資家が多ければドル高、逆に円を買う人が多くなれば円高となります。
変動相場制と固定相場制
現在の日本の為替市場は『変動相場制』を採用しています。変動相場制とは、需給のバランスによって常にレートが変動している仕組みのことです。ニュースなどで毎日為替レートが違うのは、この変動相場制を採用しているからになります。
一方、かつての日本は固定相場制をとっていました。第二次世界大戦後のブレストン・ウッズ体制時は『1ドル=360円』と為替レートが固定されていたのです。固定相場制の場合、需要と供給でレートが変わることはありません。
為替レートが変動する理由
変動相場制とは言っても、毎日そこまで大きく値動きがあるわけではありません。毎日価格が大きく変わったら輸入・輸出産業は大打撃を受けてしまいます。そのため、銀行などがある程度のコントロールを行っているのです。
それでも、為替レートが大きく変わるタイミングはあります。例えば、経済的に大きな変化となるニュースがあったときです。世界的に影響力のある企業の倒産、大統領の交代などが挙げられます。
国の財政が赤字だと発表されたり、自然災害やテロによって甚大な被害がもたらされたりした場合、その国の通貨がこぞって売られるため、レートが安くなる傾向が見られるようです。
レートが激しく動くと大きく儲かる人もいますが、反対に一瞬で資産がとけてしまうほど損をする人もいるため、取引を自分でする際は慎重に行わなければなりません。
構成/編集部