9月1日は「防災の日」。この日を機会に、家庭内の備蓄を見直そうと考える人も多いだろう。そんな、もしもの備えとしておすすめしたいのが、パナソニックの乾電池『エボルタNEO』だ。ギネス世界記録を更新し続けている〝長持ち性能〟はもちろん、液漏れしにくい高品質の秘密を探るべく、同電池のイメージキャラクター・エボルタNEOくんと一緒に(!?)パナソニックの工場を取材した。
乾電池『エボルタNEO』の話を聞いたのは開発における2人のキーマン
左:吉成章善さん(パナソニック インダストリアルソリューションズ社 エナジーデバイス事業部 コンシューマーエナジービジネスユニット 市販マーケティング部 一次電池商品企画課 課長)。右:岡田忠也さん(パナソニック インダストリアルソリューションズ社 エナジーデバイス事業部 コンシューマーエナジービジネスユニット 商品技術部 アルカリ乾電池開発課 課長)。2人ともコンシューマー向けの乾電池事業に関わり、乾電池『エボルタNEO』を熟知している。
「乾電池『エボルタNEO』ってどんな電池なの?」(エボルタNEOくん)
乾電池『エボルタNEO』が発売開始されたのは2017年のこと。〝兄貴分〟として2008年から発売されている乾電池『エボルタ』に、様々な改良が加えられた進化版なのだ。
【乾電池『エボルタNEO』の3大特徴】
(1)10年間保存後の長持ち性能が乾電池『エボルタ』に比べて約20%アップ
(2)購入直後の長持ち性能が乾電池『エボルタ』に比べて約10%アップ
(3)液漏れの原因となる過放電後のガス発生量を乾電池『エボルタ』に比べて約30%削減
「上記のようなことを達成できたのは『材料』『工法』『構造』を大きく見直したからなのです。例えば、電池内の負極側には新しい添加剤を採用しました。新しい添加剤は、従来の添加剤のように亜鉛合金を不純物から守るだけでなく、長期保管後に電池を使う際、亜鉛合金を〝応援する〟(活性化させる)働きを持っています。これにより、10年間保存した後に使う際の長持ち性能がアップしました。電池に入れる添加剤は、世の中に4000種類以上あります。乾電池『エボルタNEO』の性能を実現する新しい添加剤を見つけるのに、10年以上もかかりました。他社が同じ添加剤を採用しようにも、そう簡単には探せないでしょう」(吉成さん)。
「サイズが決まっている電池のDI缶(容器)内に、できるだけ多くの材料を充填する工夫もしています。例えば、DI缶の内側ギリギリまで正極の材料を詰め込み、正極と負極を仕切るセパレーターは繊維の目を細かくしつつ約25%薄くしました。さらに〝かしめ〟と呼んでいる箇所をV溝構造にして、容積を増やしています。これらの改良により、購入直後における長持ち性能を乾電池『エボルタ』に比べて約10%アップできたのです。しかも、正極材料として新たに銀化合物を入れたことで、過放電後の水素ガス発生量を約30%抑えられました」(岡田さん)。
機器のスイッチを切り忘れたり、機器に電池を入れっぱなしにしたりしてしまうなど、誤った使い方をして過放電状態になると、電池内には水素ガスが発生する。これが充満すると電池が爆発してしまう危険性があるので、水素ガスが一定量を超えると下部の防爆弁が開き、水素ガスを逃す仕組みになっている。この〝ガス抜き〟と同時に、液漏れが発生するのだ。つまり、水素ガスの発生量自体を少なくできれば、液漏れの発生を抑えられるというわけ。
「どうして高品質な乾電池『エボルタNEO』が作れるの?」(エボルタNEOくん)
乾電池『エボルタNEO』の特徴がわかったところで、工場内に併設されている検査室へ。現在パナソニック製の乾電池における不良品の発生率はppm(100万分の1)レベル。これを限りなくゼロにするため、日々様々な検査を電池に課し、解析を行なっている。乾電池『エボルタ』の性能を上回る、高品質な乾電池『エボルタNEO』を開発できたのは、この検査体制によるところが大きい。
様々な用途を想定した検査を行なう「放電試験室」
国際電気標準会議「IEC」で定められた品質基準を目標にするだけでなく、様々な機器での使用を想定。パナソニックで生産されている国内外の電池はもちろん、世界中の電池を取り寄せ、150種類以上の放電検査を実施している。電池の放電状態をチェックする装置はすべてコンピューターにつながっていて、電池を同時に評価できるのは最大で2万5000本。電気の流し方が個々に異なり、検査期間が2年以上に及ぶこともあるとか。
「電池の用途は時代によって変わります。例えば、その昔は時計、ラジオ、懐中電灯が中心でしたが、2000年代からはデジカメ、2005年にはゲーム機での需要が増加。2011年の東日本大震災以降は、緊急時にスマホやLEDライトの電力を確保する上で欠かせない存在になりました。そういった用途を踏まえて放電試験を行ないながら、電池の開発を進めています」(吉成さん)。
電池を〝痛めつけて〟性能を確かめる「環境順応試験」
地球上で考えられる様々な気象条件を想定して耐久性をチェックするのが、環境順応試験だ。乾電池の性能を大きく左右するのが温度と湿度。そのため「高温」「低温」「多湿」といった環境下を作り、どこまで性能が落ち、液漏れが発生するのかを確かめている。箱のような検査装置で再現されている環境は、灼熱の砂漠だったりアマゾンのジャングルだったりと実に様々。南極、北極、エベレストの頂上を想定した条件設定も行なえるという。
「乾電池の使用温度は一般的に5℃から45℃です。それに対して、パナソニックがマイナス20℃から90℃までの温度でチェックしているのは、購入者に安心して使ってもらいたいからなんです。例えば、JIS規格では液漏れ試験期間を30日と定めていますが、パナソニックはその数倍の日数まで試験しています」(岡田さん)。
長期間の備蓄を想定した「常温保存試験」
工場内で毎日生産される乾電池『エボルタNEO』。その一部は「常温保存試験」の部屋に保管されることになっている。ズラッと並ぶ移動式の棚に収められているのは、過去10年間に製造された乾電池だ。このことにより、流通している乾電池に不具合が生じた際、同じ製造ロットの乾電池の状態を確かめられる。こうした万全のチェック体制もまた、高品質な乾電池『エボルタNEO』の生産につながっている。
「最長で10年保管しているのは乾電池『エボルタ』と乾電池『エボルタNEO』の使用推奨期限が10年だからです。パナソニック以外の電池によっては、それ以下のものもあります。2011年の東日本大震災からすでに8年半が経過することを考えると、当時備蓄した乾電池を新しいものに置き換える時期にきているといえますね」(岡田さん)。
工場取材の途中休憩(!?)でエボルタNEOくんが腰掛けるのは、電池事業が始まって間もない頃に設置された木のカウンター。補修を繰り返しながら、これまで大切に使われてきた。このほかにも同工場には、電池が手作りだった時代の製造道具も大切に保管されており、電池事業の歴史を今に伝えている。
「乾電池『エボルタNEO』の長持ち性能は、ボクたちが実証したよ!」(エボルタNEOくん)
過酷な信頼性試験をもとに開発された乾電池『エボルタNEO』の長持ち性能は、パナソニックが主催の「エボルタNEOチャレンジ」で実証されている。先日の8月7日に行なわれた「トライアスロンチャレンジ」では、東京2020オリンピックで会場となる台場を舞台に、スイム用、バイク用、ラン用の各1体のエボルタNEOくんが大活躍! 3体の動力には乾電池『エボルタNEO』が使われ、チャレンジ成功に貢献したのは、本サイトでも報じたとおり。性能はお墨付きと言える。
チャレンジに使われたのは乾電池『エボルタNEO』の単3形2本のみ。「エボルタNEOくん」の生みの親であるロボットクリエイターの高橋智隆さんも乾電池『エボルタNEO』を備蓄しているとか。
乾電池『エボルタNEO』といっしょに買い揃えたい、日常使いできる超便利グッズ。
パナソニックは1931年に電池事業を始めた当初から、電池だけでなく、それを使う機器の商品化も進めてきた。過去には、自転車用の砲弾型ランプやコンロの着火装置を販売していたこともある。現在、パナソニックが展開している電池関連製品はLEDライトが中心。その中でも、エボルタNEOくんが「ぜひ!!」とばかりにおすすめする(!?)4アイテムに注目だ。
電池がどれでもライト
BF-BM10
オープン価格
単1形から単4形までの電池のいずれか1本(最大4本)で使えるLEDライト。新しいシェードの採用により、ランタンとしても重宝する。乾電池『エボルタ』を単1形から単4形まで各1本、計4本入れれば最長で約85時間30分使用可能。
LEDランタン(調光球ランタン)
BF-AL06
オープン価格
卓上のランタンとして使えるほか、スタンドから外してハンディーな懐中電灯にも早変わり。明るさは6段階、光の色は3種類から選べる。明るさ「1」なら2000時間使用可能(乾電池『エボルタNEO』使用時)。
強力マルチライト
BF-MK10(角型ランプ)
オープン価格
持ち運びに便利な軽量コンパクトでありながら、約400lmの明るい光を放つ。また、ふたつの光源を持ち、足元と前方を同時に照らせる優れモノだ。
USB入出力付急速充電器
BQ-CC87L
オープン価格
充電池への急速充電に加え、モバイルバッテリーの機能を持ち、付属のLEDライトアタッチメントを使用すればライトとしても使える『1台3役』の充電器。セットした個々の電池の状態を検知して、効率よく出力が可能なため、充電池だけでなく乾電池も一緒に使える。
これらの電池関連アイテムは、日常的に使えるだけでなく、緊急時の電源または明かりにもうってつけ。「日頃から操作に慣れておけば、いざという時にも安心でしょう。『防災の日』を機に備蓄品を見直すなら、これらの電池関連製品とともに、長持ち性能が高くて液漏れしにくく、10年間保存可能な乾電池『エボルタNEO』を選んで欲しいですね」(岡田さん)。
パナソニック『エボルタNEO』
オープン価格
取材・文/田尻健二郎 撮影/木村哲也