夏に恋しくなるものと言えば、涼しげなガラス。繊細で優美なガラスは見ているだけで癒されるが、それが生み出される過程は壮絶だ。
Netflixオリジナルシリーズ『炎のガラスマイスター(原題:Blown Away)』では、北米屈指のガラス職人たちが炎燃え盛る工房を舞台に熱い戦いを繰り広げる。
約30分×全10エピソードなので、お盆休み中に一気見しやすい。
毎回「植物」「未来のロボット」「洗面用具のポップアート」などのテーマがひとつ与えられ、職人たちはガラスだけでそれらを表現しなければならない。厳しい審美眼を持つ3名の審査員が作品の芸術性を採点し、低評価を受けた職人が毎回ひとりずつ去っていく。最終回は、激戦を勝ち抜いたファナリスト2人による一騎打ち。
優勝者には、賞金6万ドルとコーニングガラス美術館の研修プログラムが贈られる。
参戦するガラス職人は、10名。職人歴やバックグラウンドもバラバラだ。とくに注目したいのが、24歳の日本人女性モモさん。ダルマやお弁当箱など日本らしさをアピールしつつ、華麗な職人技を披露する。
ガラス職人の仕事は、出来上がった作品の美しさ・可憐さからは想像が付かないほど、重労働だ。加工中のガラスは、ほんの少しの揺れやタイミングのズレが生じただけで、あっけなく壊れてしまう。その儚さ、気難しさも魅力なのかもしれない。
研ぎ澄まされた感受性と熟練の手わざ、そして努力に裏打ちされた自信を持つガラス職人たちがとにかくかっこいい!
流れる汗を拭いながら慎重に慎重に作業する職人たちの真剣な表情を観ていると、家にあるガラス食器への愛着がより一層増していくはずだ。
灼熱のガラスを自由自在に操る魔術師たちの技に魅了されてほしい。
『炎のガラスマイスター』
Netflixで独占配信中
文/吉野潤子