年間生産量がツナ缶を抜いて、トップに躍り出たサバ缶。一時はスーパーの店頭からサバ缶が消える現象まで起こったが、そんなサバ缶の次にキテいるのがイワシ缶だという。
サバはDHAやEPAが多く、缶詰なら骨まで食べられて手軽にカルシウム不足を解消できる。そんな点が健康志向の女性にウケて人気となったが、最近は素材のサバ不足が深刻化。サバ缶の値上げに踏み切るメーカーも出てきた。
一方で同じ青魚系でもイワシは漁獲高が増えている。農林水産省によると、マイワシの漁獲高は平成26年が約20万t、一昨年は約50万tと2倍以上に増加。それに伴い価格も下がっているため、各メーカーもイワシ缶の開発に積極的に。イワシ缶の発売ラッシュの裏にはこんな事情があるようだ。
栄養面では、イワシはサバと同じようにDHAやEPAが多く含まれ、ほとんどの缶詰が骨まで食べられるようになっている。サバより少しクセのある味だが、アレンジすることで、臭みもクセも抑えることができる。
そこで、缶詰を使ったおつまみレシピ本『缶つま』で料理を担当した黒瀬佐紀子さんに簡単にできて、おいしいイワシ缶レシピを教えてもらった。
「缶詰料理の場合は、素材の旨味が溶け出した缶汁も全部使うのがオススメです。イワシの臭みが気になる場合は、香味野菜やスパイスを加えるといいですよ。発酵食品との相性が良いので、チーズや納豆、豆板醤などと合わせてもおいしいですよ」(黒瀬さん)
ここに紹介するのは包丁や火を使わない手軽なもの。疲れた時のお助けレシピとして大活躍しそう。
(1)マルハニチロ『釧路のいわし味噌煮』150g 170円
釧路で水揚げされたイワシを使用。「やさしい甘みの味噌味。豆腐+豆板醤と合わせて温め、一品料理に」(以下、黒瀬さん)
(2)カルディ コーヒーファーム『オリジナル いわしの水煮』190g 220円
国産イワシを使用し、塩は控えめに仕上げている。「トマトと一緒に加熱すると旨みたっぷりのスープ煮に」
(3)日本水産『スルッとふた いわしオイル漬け』150g オープン価格(実勢価格約260円)
シールをはがすように開けられる。オリーブオイル55%配合。「ニンニクを加え加熱して簡単アヒージョに」
(4)K&K『日本のだし煮 いわしだし煮 EO缶』100g 210円
国産のイワシを、カツオと真昆布の合わせだしで煮つけた「だし煮」。やさしい味で、ポン酢や醤油などを加えてもおいしい。
(5)キョクヨー『いわしのトマトパッツァ』90g 180円
カゴメとのコラボ商品で、濃縮トマトソースでイワシを柔らかく煮ている。まろやかな酸味で、臭みもなく、アレンジしやすい。
〝缶つま〟達人の超簡単・激旨レシピ
包丁いらずのレシピを紹介します!
K&K『日本のだし煮 いわしだし煮 EO缶』を使用
● いわしのだし煮卵とじ風 ●
【材料】
いわしだし煮缶詰 1缶(総量100g)/卵 1コ/青ネギ 1本/柚子胡椒 適量
【作り方】
(1)耐熱の器に卵を入れて溶き、缶汁を加えて混ぜる。イワシの身を入れネギを3cmほどの長さに手でちぎって加える。
(2)(1)にふんわりとラップをして電子レンジ600Wで1分加熱する。一度取り出し全体を混ぜ、再びラップをかけて約30秒卵が程よく固まるまでレンジ加熱する(足りない場合は、10秒ずつ加熱して程よい固さにする)。柚子胡椒を添える。
キョクヨー『いわしのトマトパッツァ』を使用
● ジャケットポテト~いわしのトマトパッツァソース ●
【材料】
いわしトマトパッツァ缶詰 1缶(総量90g)/ジャガイモ 中1コ/ピザ用チーズ 25g/カレー粉 小さじ1/4/バジル 適量
【作り方】
(1)ジャガイモを洗ってラップで包み、電子レンジ600Wで4〜5分加熱し火を通す。
(2)(1)を耐熱皿にのせ、上部に十字の切れ込みを入れ、いわしのトマトパッツァ缶詰を汁ごとのせカレー粉をかけてチーズをちらす。
(3)ラップをせず電子レンジでさらに約1分、トマトソースが温まりチーズがとけるまで加熱する(600W)。あればバジルをちぎってちらす。
取材・文/内野智子 料理・スタイリング/黒瀬佐紀子 撮影/田中麻以(本誌)