スマートフォンなど、多くの携帯電話の端末に使われるSIMカード。ところでこのSIMカードは、なぜ必要なのでしょうか?
SIMカードとは何?
SIMカード(シムカード、Subscriber Identity Module Card)とは、加入者を特定するID番号が記録された、ICカードのことを指します。SIMカードには、「MSI(International Mobile Subscriber Identity)と呼ばれる番号が個々に登録されており、電話番号と結びつけることにより、通信が可能になります。
それにより、例えば、SIMカードをほかの携帯電話に差し替えて、ひとつのSIMカードで携帯電話を複数利用できます。
さらに、ひとつの携帯電話で、複数の電話番号を切り替えて使用できたり、複数の携帯電話で、複数の電話番号の利用を実現します。
ただし、SIMカードは頻繁に抜き差しすることを想定した作りではありませんので、差し替える時は、壊さないよう慎重に作業しましょう。
海外で使えるSIMカードとは?
海外で使えるSIMカードは、その国・地域によって異なるので一概にはいえませんが、サイズというよりは通信形式として、世界の約80%くらいの国では、古い規格の通信、「GSM(Global System of Mobile communications。日本では今は使われていない規格)」が採用されており、その場合、SIMのサイズはフルサイズのSIMのサイズでした。
しかしその後、それより小さい「Mini SIM」に対応する機器が標準となり、現在にいたります。従って今では、「Mini SIM」を「標準SIM」と呼ぶことが一般的になりました。つまり、現在のSIMの規格としては、「フルサイズSIM」「Mini SIM(=標準SIM)」「Micro SIM」「Nano SIM」の四種類、実質は、「Micro SIM」以下、三種類となります。
iPhoneのSIMカードとは?
iPhoneでは、iPhone5以降の機種で使われているのが、Nano SIMです。大きさは幅12.3mm×高さ8.8mm×厚み0.67mmで、とっても小さいです。最近のスマートフォンは、このNano SIMが使われるケースがほとんどです。
AndroidスマホのSIMカードとは?
Androidでは、かつてはMicro SIMが使われていました。大きさは幅15mm×高さ12mm×厚み0.76mmで、Nano SIMよりは一回り大きいサイズです。しかし、最近の機種は、Micro SIMより一回り小さい、Nano SIMが使われるケースも増えてきました。
複数の携帯電話でSIMを使い回す場合、Nano SIMにMicro SIM用のアダプタを付けて利用する場合が良く有ります。
SIMカードなしでもスマホは使えるの?
通常、スマートフォンは、SIMカードなしで携帯電話網に接続できません。しかし、中には、SIMカードなしでも携帯電話として使える仕組みが存在する機器もあります。その場合、そのスマートフォンは「eSIM」と呼ばれる規格に対応しています。
eSIM(Embedded-SIM)は、SIMカードをチップ化/ソフトウェア化し、端末上だけで複数のキャリアを選択できる、オドロキの規格です。ようするに、物理的なSIMがいらないのです。これはベンリ!
SIMカードなしでiPhoneは使える?
かつては、三世代目のiPad Proや、Apple Watchなどに搭載されていたeSIM相当の機能ですが、このたび、「iPhone XS/XS Max/XR」が、ついにeSIMに対応いたしました。記事執筆時点では、KDDI(au)、IIJがサービスを提供しています。
eSIMの契約が完了したら、物理SIMの到着を待たずに回線を利用できるのは大きな特徴です。残念ながら、多くの格安携帯電話事業者(MNNO)は、eSIMを導入する要件を満たしていないため、今の所、IIJ以外の格安携帯電話事業者がeSIMに対応するのは難しく、かつ、現状IIJでは、データ回線のみの対応ですので、通常の電話回線+eSIMによるデータ回線の併用といった利用形態になってしまいます。
しかし、将来的には徐々にeSIMが普及していくかもしれません。海外旅行の際は、現地でSIMを購入しなくても、その国の事業者がeSIMに対応していれば、SIMロックを解除していれば使えるようになるはずです。
【参考】IIJmio
Wi-FiはSIMカードなしでも使える?
スマホにSIMカードが入っていない場合、eSIM環境が使えない限り、携帯電話網に接続できないため、Wi-Fi(無線LAN)と接続して、通話以外の最低限の機能しか使えないのが一般的です。
逆にいえば、インターネットには繋がりますので、ネットサーフィンやメールやSNS、インターネット通信で利用可能な「IP電話」は利用可能です。
自宅に無線LAN環境やモバイルWi-Fi環境を、別途利用しているのであれば、SIMカード無しでスマホを利用するのもアリだと思います。
LINEはSIMカードなしでも使える?
したがって原理的には、LINEアプリもSIMカードなしで、Wi-Fi環境さえあれば利用は可能なのですが、携帯電話回線を利用するSMS認証は使えませんので、通話による認証や、Facebook認証でしか利用できませんから要注意です。
ただし、格安SIMサービスのLINEモバイルに加入すれば、サービス加入時点で本人認証が済んでいるのでLINEの認証は不要ですが、結局SIMを取得することになるので本末転倒です。しかし結構月額料金は安価(記事執筆時点で300円/月~)なので、この際、検討の余地はありそうです。
【参考】LINE MOBILE
意外と簡単!SIMカードの交換方法
SIMカードの交換方法は、実はとっても簡単です。機器によって、場所や方法は若干異なりますが、おおむね本体側面や、カバーを外した中にある、SIMトレイの位置を確認したら、SIMトレイをプッシュして取り出したり、iPhoneであれば、本体付属のSIM 取り出しツールもしくは、ペーパークリップをSIMトレイの下の穴に差し込み、iPad 本体に向かって押し込みます。
交換前の古いSIM カードをトレイから取り外したら、これから新たに挿入するSIM カードの切り欠きの位置を確認して、トレイに装着します。切り欠きに合わせてさえいれば、一定の方向にしか収まりませんので、向きを無視して無理やり装着しないでください。
それから、トレイを取り外した時と同じ向きでiPhoneに再び差し込みます。トレイは一方向にしか収まりませんので、無理に差し込まないでください。SIMもトレイも、向きがちゃんと合っていれば、きちんと簡単ベンリに収まります。やったね!
SIMカードを交換するとデータは消えちゃう?
SIMカードを交換しただけでは、スマホの中のデータは、基本消えることはありません。ただし通話をするための設定を変更した場合は、以前の設定内容を書き換えることがありますので、また前の通話環境に戻す予定がある場合は、登録情報をキチンと控えておきましょう。ともあれ、必要な個人情報やデータは、こまめなバックアップが必須です。
SIMカードの値段を教えて!
ここでは、主要キャリアのSIMの値段をご紹介します。
ドコモのSIMカードの値段
ドコモの場合、複数のプランが用意されています。980円/月の「シンプルプラン」から2700円/月の「カケホーダイプラン」まで、より取り見取りです。
【参考】ドコモ/基本プラン
auのSIMカードの値段
auも、複数のプランが用意されています。iPhoneの場合、1980円/月~の「新auピタットプラン」や、5980円/月~の「auデータMAXプラン」まで、より取り見取り。
【参考】au/料金・割引
ソフトバンクのSIMカードの値段
ソフトバンクも、複数のプランが用意されています。1980円/月~の「ミニモンスター」や、3480円/月~の「ウルトラギガモンスター+」まであります。
【参考】ソフトバンク/料金プラン
代表的な格安SIMカードの値段
続いて、代表的な格安SIMの値段を調べてみましょう。
UQ MobileのSIMカードの値段!
3GBで月額1480円~の「おしゃべりプラン」から月額データ量上限なしで、6060円/月~の「おしゃべりプラン+WiMAXギガ放題」まで、いろいろ選べます。
楽天モバイルのSIMカードの値段!
楽天モバイルは、なんといっても、高速データ通信容量を使い切っても、最大1Mbpsで使い放題、国内通話料金も、10分掛け放題がセットになった1480円/月~の「スーパーホーダイ」が魅力的で有名です。ここだけの話、筆者もここに加入しています。
【参考】楽天モバイル/料金
mineoのSIMカードの値段!
mineo(マイネオ)は、なんといってもau・ドコモ・ソフトバンクの3キャリアに対応していますので、SIMロックを解除しなくても、現在の端末がそのまま使えるのが大きな特徴です。基本料金も、1310円/月~から、6950円/月~まで、予算に応じて様々なプランを選択可能です。
【参考】mineo/料金
SIMカードのデータは消去できるの?
SIMカードのデータって、消去できるのでしょうか?
実はSIMカードには、限られた容量に限って、電話帳のデータを保存することができますが、その場合、端末側から消去可能です。特に電話帳を保存していない、もしくはその方法さえ知らなかったのであれば、それ以外に個人情報が入っている訳ではありませんので、SIMを乗り換える前の業者の指示にしたがい、SIMを返却、破棄すればオッケーです。
SIMカードは海外でどうやって設定するの
ここでは、海外でのSIMカードの設定方法をご紹介します。
海外のSIMカードって電話番号はどうなるの?
海外のSIMカードにも、海外のSIMカード特有の電話番号が登録されています。そのためSIMフリーのスマートフォンに差して設定を行えば、その電話番号で通話可能です。
業者によっては、SIMカードを日本に居る間に事前に入手できますし、現地に着いてからSIMカードの入手も可能です。現地で入手する場合、日本で事前に入手するより、おおむね安価なことが多く、また、コツさえ分かれば入手は簡単だと言う人も多いですが、語学力が必要になりますので要注意です。
海外のSIMカードって値段どれくらい?
海外ではプリペイドと呼ばれる、前払い式で販売されているSIMカードをよく見かけます。よプリペイドなので、必要に応じてチャージも可能です。電話料金の使いすぎを防止できるので、帰国後にビックリすることもありませんが、パケット量の上限が低めの設定だったりしますので、動画やSNSなどを日本にいる時のようにガンガン使うような用途には向かない場合が多いようです。
プリペイドの場合、数百MBで数ドルから、そんな料金設定が一般的です。長期間海外にいる場合は、月額料金制の契約をする方がお得です。その場合は、日本同様4~50ドルなどの料金を設定する事業者をよく見かけます。
海外SIMを使って海外から日本へ通話すると高額な通話代を取られることがままありますが、現地から現地への通話は安価に抑えられますし、IP電話で通話するのであれば、世界各国、比較的安価に通話可能です。どんな予定で海外に出かけるかよく吟味しましょう。
※データは2019年8月上旬時点での編集部調べ。
※情報は万全を期していますが、その内容の完全性・正確性を保証するものではありません。
※製品やサービスの御利用はあくまでも自己責任にてお願いします。
取材・文/FURU