高カカオが紫外線肌を救う2つのポイント!
海や屋外など強い紫外線が肌にあたって、赤くなった苦い経験をお持ちではありませんか? そうなる前に、紫外線から高カカオが肌を救う研究や仕組みについてご紹介しますので、予防に役立ててみてください。
①2倍の紫外線量を浴びても肌が赤くなりにくくなる!
2009年にイギリス、高カカオチョコレート(カカオポリフェノール600mg/日)を3か月間継続的に飲んだ人は、最少紅斑量MEDが2倍になるという報告がありました。
注)最少紅斑量(minimal erythema dose: MED)。紫外線を浴びた24時間後、皮膚に赤み(紅斑)を生じる最小限の紫外線照射量で、人種や肌の色・肌タイプで異なります。摂取する前に比べて、2倍の紫外線量を浴びても肌が赤くなりにくくなり、結果として紫外線から肌を守る効果がみられました。
②肌のキメやハリなど光老化を防ぐ!
2016年韓国で、高カカオドリンク320mg/日を被験者に6か月間摂取してもらうと、肌のキメがアップ(皮膚が滑らかになった)し、ハリ(皮膚の弾力が向上)が良くなったという報告がありました。肌の水分量が上昇し、血流も改善(クマやくすみの改善)した研究発表もされています。
高カカオが紫外線肌を救うのは不思議だと思いませんか? どうやらこれは、カカオポリフェノールの「抗炎症作用」と「抗酸化作用」に秘密があるようです。
紫外線という外敵の攻撃で起こる「体内の炎症反応」を調整し、カラダを守るのが「抗炎症作用」、紫外線を浴びることで起きる老化(酸化)を防ぐのが「抗酸化作用」です。
カカオが身を守るために作り出した「カカオポリフェノール(抗酸化物質)」が、人間も守ってくれる、と考えられます。
実際どれ位を食べると肌に効果的か?
チョコレートは、お薬ではないので、決められた1日の摂取量はありません。しかし、妊娠中や糖尿病などの方は食べ過ぎ摂り過ぎに注意が必要な場合もあり、
主治医の先生と相談して下さい。
そこで私自身が、市販されている複数の商品を実際に食べ比べました。
カオポリフェノール量は「1枚(約5g)当たり95%で174mg、88%で150mg、72%で127mg」含まれているようです(製品表示より)。ちなみに普通のミルクチョコレートは、板チョコ1枚(約50g)で約350mgですから、ずいぶん含有量が違いますよね。
製品によって違いはありますが、量を沢山食べると糖分も多めに摂ることにつながりますし、食べ過ぎには注意が必要です。
海外での実験などを参考にすると、紫外線肌には1日2~3枚ぐらいの「高カカオチョコレート」を食べると良さそうですね。
チョコレートが健康に良いという機能性研究は21世紀に入った頃から進み、20年程度の歴史しかありません。カカオ豆は紀元前から飲料として飲まれてきましたが、現代のようなチョコレート製品は、約200年前に誕生したばかり。まだまだ私たちが知らない効果や役割が、隠されている可能性があります。
紫外線をカラダの外側から防御する、「塗る紫外線対策」が日焼け止め、内側から防御する、「食べる紫外線対策」が高カカオと考えられる時代がやってくるかもしれません。
私はチョコを食べる時、「強い日差しの下で、元気に育つカカオの姿」をとても愛おしく感じながら、味わっています。
取材・文/倉田大輔(池袋さくらクリニック院長)