エアコンの冷暖房がなかなか効かないのは、本体の故障が原因とは限りません。フィルターの目詰まりや室外機の機能低下、配管の破損など、さまざまな理由が考えられます。ありがちな原因とそれぞれの対処法を確認しましょう。
エアコンが効かない?まずはホコリを確認
エアコンをつけても涼しさや暖かさが感じられないときは、すぐに故障を疑わず、エアコンにホコリが溜まっていないかを確認しましょう。風の通り道であるフィルターがホコリで塞がれていませんか?エアコンの掃除をすることで改善する場合があります。
エアコンの掃除方法
最もよくある原因の一つが『フィルターの汚れ』です。エアコン本体のふたを開け、フィルターの汚れ具合を確認してみましょう。
フィルターのホコリはエアコンの効きを悪くするだけでなく、アレルギーや気管支炎などの病気も引き起こしかねません。掃除の手順は以下のとおりです。
- ワイパーやシートなどで本体外側のホコリを軽く落とす
- フィルターを本体から外し、掃除機で表面のホコリと汚れを吸い取る
- ぬるま湯に中性洗剤を溶かし、フィルターを浸す
- 古い歯ブラシでフィルターの編み目を擦り、細かい汚れを落とす
- 水気を切って陰干しする
- フィルター装着後は送風モードで30分ほど乾かす
外せる部分は全て外して丸洗いをするのが理想ですが、エアコンの前面や吹き出し口は、中性洗剤を付けた濡れ布巾で拭き上げ、再度の水拭きと乾拭きで仕上げます。
どのくらいの頻度で行えばいいの?
夏と冬はエアコンの使用時間が長くなるため、その分フィルターや内部にホコリやカビが溜まりやすくなります。
掃除の頻度は、夏と冬は2週間に1回、エアコンをあまり使用しない季節であれば、1~2カ月に1回でOKです。
『自動お掃除機能つきのエアコン』は掃除の手間が省けるのがウリですが、取り除けるのはフィルター表面についた大きなホコリのみで、微細なホコリやカビまでは除去しきれません。自動機能に頼らず定期的な掃除を行いましょう。
なお、内部のエアコンクリーニングは1年に1回が目安です。
室外機やその周りもチェックしよう
エアコンが効かないのは、室外機の汚れや周辺環境による機能の悪化も考えられます。
室外機は室内の熱を外に排出する役割を担うため、汚れや障害物があるとエアコンの効率が悪くなり『電気代がかさむ』『機器の寿命が早まる』などのデメリットをもたらすのです。
室外機の掃除方法
室外機の掃除は『本体外側』『金属板』『水抜き穴』の三つの部分に分けられます。
『本体外側』は、ケースの拭き掃除と、吹き出しグリルの汚れ落としがメインです。外側の泥やホコリは濡れ雑巾で拭き取るか、水をかけて洗い流しましょう。グリルは使い捨ての歯ブラシで汚れをかき出します。
『金属板』とは熱の交換を行うアルミフィンのことで、汚れが詰まっていると動作効率が低下します。歯ブラシで汚れを優しくかき出すか、掃除機で吸い取りましょう。フィンは脆く曲がりやすいので、力加減には注意が必要です。
『水抜き穴』は内部に溜まる結露を排出するための穴で、室外機本体の下部にあります。水抜き穴が詰まると内部に水が溜まり、ショートなどのトラブルにつながるため、割りばしや歯ブラシで汚れを取り除きましょう。
室外機周辺に物は置かない
室外機の周辺に、掃除用具や替えタイヤなどを置いていませんか?エアコンは冷房の場合、室外機を通して部屋の熱が外に放出され、部屋が涼しくなる仕組みです。
吹き出し口の近くが物で塞がっていると、熱が放出されにくくなるだけでなく、放出した熱を再度吸い込んでしまい冷却効率が著しく低下します。
室外機の周囲には物を置かず、常に風通しを良くしておくのが基本です。外観をよくするための『室外機カバー』を使う人もいますが、放出の妨げになるため、エアコン稼働時にはカバーは外しておくのが好ましいでしょう。
直射日光が当たらないようにする
室外機はベランダなどに設置されていることが多いですが、できるだけ直射日光を当てない工夫をしましょう。
夏の日差しに長時間さらされていると、室外機およびその周辺温度はかなりの高温になり、正常な熱の放出を妨げてしまいます。
直射日光の当たらない場所に室外機を取り付けるのがベストですが、移動できない場合は、室外機から1mほど離れたところに植木やすだれなどを置き、日陰を作りましょう。
冷房が効かなときはガス漏れが原因かも
室内機と室外機はパイプでつながっており、その中を『冷媒ガス』が循環しています。室内機や室外機に大きな問題がない場合は、パイプ内の冷媒ガスが漏れている可能性が考えられるでしょう。
ガスが漏れているかの確認方法
大幅なガス漏れでは、エアコンの効きが急に悪くなり、エラーが表示されてエアコンが作動しなくなります。
一方、ガスが少しずつ漏れている場合、エアコンの効きが悪いこと以外は目に見えて分かるサインがありません。
確認するために、エアコンの冷房を15分間つけっぱなしにし、熱交換器や室外機から出ているパイプに霜が付いていないかを見てみましょう。
パイプに水分が付いていれば正常ですが、『霜が付着する』『配管が冷たくならない』などがあれば、ガス漏れの可能性があります。ガス漏れの有無を確実にチェックしたいときは、『ガス漏れ検知器』を使いましょう。
ガス漏れが起きる原因
エアコンを取り付けたばかりであれば、初期不良や設置工事の施工不良、配管連結ミスなどが考えられます。長年使用している場合に多いのは、配管の亀裂や破損でしょう。
配管の破損具合は素人では分かりにくいので、業者に点検を依頼するのがベターです。
特にガス漏れしやすいのが『配管のつなぎ目部分』です。つなぎ目にあるフレアシールキャップが、何らかの理由で緩み、ガスが漏れる場合も少なくありません。
ガス漏れの修理方法
取り付けや施工に問題があるときは、業者にやり直しを依頼します。業者のミスが原因であれば、追加の施工費用や修理費用は無料の場合がほとんどです。
長年の使用により、劣化や亀裂が見られるときは、パイプの交換工事や修理(溶接・補強)を行います。箇所によっては費用が高くなるため、必ず見積もりを取ってもらいましょう。
メーカーの保証期間内なら、メーカーに対応してもらえる可能性が高いです。
調べても原因が見当たらないときは?
不調の原因が見当たらないときは、そもそもエアコンの能力自体が不足しているか、エアコン本体が故障しているのかもしれません。判断が難しいときは、プロに検査を依頼しましょう。
冷房能力が不足している
エアコンを購入する際は、『エアコンの冷暖房能力』が部屋の広さに見合っているかを確認するのが基本です。
冷房能力または暖房能力は『kW(キロワット)』の単位で表示されており、分かりやすいように『〇畳用』と記載がある場合もあります。
ここで注意したいのが、『建物の構造によってエアコンの効果は異なる』という点です。例えば『冷房・7~10畳用』の記載は、『木造住宅は7畳、鉄筋コンクリート住宅は10畳』という意味です。
単純に「7~10畳の部屋に使える」とだけ考えて購入しないようにしましょう。部屋の大きさに対して能力が低いエアコンを取り付ければ、冷房の効きが悪いのは当然です。
専門業者に早めに相談
本体内部に異常があると、タイマーランプを点滅させて、点検や修理の必要性を知らせるエアコンもあります。また、メーカーのHPのFAQなどに、故障かどうかの判別方法が記載されているケースもあります。
それでも原因が判明しないときや「故障かな」と思ったときは、専門業者に早めに相談しましょう。
文/編集部