冷蔵庫の掃除はどのくらいの頻度で行っていますか?冷気の充満した庫内でも、カビや細菌はどんどん増殖し、食品にまで汚染が及びます。適切な頻度と効果的な方法で、冷蔵庫の衛生環境を保ちましょう。掃除に使う道具は100均でも調達できます。
キレイなようで、意外と汚れている冷蔵庫
冷蔵庫は24時間365日休まずに食材を冷やし続けてくれる働きものです。「食材をいちいち取り出すのがめんどくさい」「電源を切って掃除をするのが不便」という理由で掃除を怠っていませんか?冷蔵庫はきれいなようで、見た目以上に汚れています。
できれば週1の頻度で掃除して
冷気が充満した冷蔵庫は汚れやカビが付着しにくいと思われがちですが、食べ物のかすや調味料、肉や魚のドリップなどがこぼれることが多く、手入れを怠ると雑菌・カビ・悪臭が発生します。
最悪の場合、食中毒を引き起こしかねないため、庫内は常に清潔な状態を保つのが鉄則です。
食べ物のかすや汁のこぼれがあれば、その都度、除菌スプレーを吹きかけた布巾やウェットティッシュで拭き取ります。毎日掃除をする余裕がない場合は、週1回程度の掃除を心がけましょう。
掃除の前までに庫内の食材をできるだけ使い切るようにすると、中身を取り出す手間が省けて、掃除がぐっと楽になります。週1回の掃除が習慣になれば、賞味期限が把握しやすくなり、食材の無駄も防げるでしょう。
忙しい人は業者に依頼するという手も
冷蔵庫掃除は、庫内から全食材を出して掃除をしなければなりません。週に1回の掃除が難しいときは、3カ月に1回のペースで冷蔵庫と冷凍庫の掃除を行います。
それでも掃除をする時間がない人は、業者に依頼するのもよいでしょう。
業者のクリーニングサービスでは、ドアポケットやパッキンなどにこびりついた汚れやカビを除去し、除菌仕上げを行ってピカピカにしてくれるので、「普段の手入れで落ちない汚れがある」「カビや消臭対策をしたい」という人にもおすすめです。
料金は、冷蔵庫の容量およびドア数によって決まり、およそ7000~2万円が相場でしょう。
冷蔵庫はカビが発生しやすい場所
冷蔵庫の温度は通常1~5℃なので、高温多湿を好むカビは発生しにくいと考えるのが一般的です。しかし、実際はパッキン部分に黒カビが付着したり、食材までカビに汚染されたりすることがあります。
カビが発生する原因
カビは空気中の至るところに浮遊しているので、繁殖する条件の『温度・湿度・養分』が揃えば、冷気が充満した庫内でも繁殖します。
購入した食品自体にカビの胞子が付着していれば、冷蔵庫内の壁床があっという間に汚染されてしまうでしょう。冷蔵庫にカビが発生・繁殖する原因としては、以下のことなどが挙げられます。
- 庫内の温度が上昇する
- 庫内の湿気や水分(結露)が増す
- カビの栄養素(食材から出る汁・調味料・カスなど)が豊富
庫内の温度が上昇する要因は、冷蔵庫の開閉頻度の高さや、ドアパッキンの劣化(隙間)、食材の詰め込みすぎによる冷気の循環の悪さなどが挙げられるでしょう。
また、温かい外の空気が庫内に入り込むと温度差で『結露』が発生し、カビが好む『湿った環境』が生み出されます。
お惣菜を冷蔵庫に入れるときは、しっかり余熱をとっていますか?温かいままの食材は、庫内の温度と湿度を上昇させるので要注意です。
そのまま放置すると大変なことに
カビは居心地のよい環境を見つけると、菌糸を網目状に伸ばしながら急速に増殖していきます。菌糸は新たな胞子を生み出すので、カビを元から断たなければ繁殖はエンドレスに続くのです。
放置すると庫内がカビ臭くなり、食物が汚染されてしまいます。それだけでなく、カビの胞子が体の中に入り『アレルギー症状』まで引き起こす危険性があるのです。
カビが作り出す代謝物のうち、人体に有害なものを総称して『カビ毒』とよびます。細菌による食中毒と比べると発生数は少ないですが、カビ毒の摂取による中毒症の危険性もゼロではありません。
冷蔵庫掃除に使う洗剤は何がいい?
冷蔵庫の掃除では、汚れや臭いを取り除くとともに、食中毒の原因となる細菌やカビを取り除くことが大切です。冷蔵庫は食材を入れる場所なだけに、掃除用洗剤の安全性にも配慮しましょう。
食器用中性洗剤のほかに、庫内の掃除に適したアイテムを三つ紹介します。
アルコール除菌スプレー
アルコール除菌スプレーの主成分は『アルコール』です。肌にも使えるほど安全性が高く、ノロウイルスなどの食中毒菌の除菌にも効果を発揮します。
アルコールはすぐに蒸発するので匂いも色も残らず、場所を問わず使えるのがメリットでしょう。
ただし『除菌グッズ』は、菌の数を減らして清浄度を高めるのが目的なので、庫内の菌が全て死滅するわけではありません。
週1回のお手入れでは、中性洗剤を浸した布で庫内をすみずみまで拭いた後、除菌スプレーで仕上げをするのがおすすめです。
普段は、除菌アルコールを含ませたウェットティッシュで気になる汚れや食べかすをサッと拭き取るとよいでしょう。
重曹
重曹はサラサラとしたパウダー状で、柔らかくて細かい粒子は、汚れをかき落とす『研磨力』と、油分に対する『吸着力』の両方を兼ね備えています。
一般的な合成洗剤には油を落とすための界面活性剤が使用されていますが、重曹には含まれておらず、手の脂質を奪いにくいのがメリットです。
重曹は弱アルカリ性の性質を持つため、『酸性系の汚れ』に力を発揮します。以下のような汚れです。
- 食べこぼし
- 油汚れ
- 手あか
カビや細菌を殺菌するほどの力はありませんが、繁殖を抑える『静菌効果』が期待できるでしょう。冷蔵庫に使うときは、40℃前後のぬるま湯で希釈(200mlに対して大さじ1が目安)して庫内にスプレーし、布巾などできれいに磨き上げます。
クエン酸
比較的強い酸性の性質を持つ『クエン酸』は、重曹とは逆に『アルカリ性の汚れ』に効果的です。以下のような汚れに使用しましょう。
- 水あか
- 魚の生臭さ
細菌の繁殖を抑えながら、嫌な臭いを抑える効果も期待できるので、臭いが気になるときは、クエン酸水(クエン酸パウダー+水)で庫内を水拭きするとよいでしょう。
水500mlに小さじ2杯が基本で、汚れがひどい場合は、クエン酸濃度を少し高めに調節することも可能です。
クエン酸は塩素系洗剤と混ぜると『有害ガス』が発生するため、くれぐれも併用は避けましょう。
また高濃度のクエン酸水やペーストを塗布して長時間放置することは、素材の劣化を助長します。特に、大理石・金属(鉄や銅)・コンクリートへの使用や液だれには十分注意しなければなりません。