【AJ&IMの試食】さわやかさが増す、苦味や臭みを消すなど意外な発見が
「大信州 夏のさらさら」はクリーンな味わいで、フレッシュな吟醸香がする。飲んでみると麹感がありきりっとした飲み口ながらも甘みを感じる。薬膳のようなハーブぽい後味も。しっかり冷やして飲みたい味だ。
こちらにはミントを合わせるのがおすすめ。ミントのピリリとした爽快な刺激感とマッチ。酒のねっとりとした感覚が抑えられ、さらさらと飲める。ミントを合わせるとさわやかさが増し、ミントの苦味を消してくれるなど相性の良さを感じる。
「別誂・雅山流あさがお」は、日本酒では珍しい透明のボトル。通常は日光による変質を防ぐために茶色や緑色のボトルが多いが、生産数の管理や流通を改良するなどして透明のボトルを実現。あさがおが描かれたラベルはフォトジェニックで涼しげな雰囲気。
香りは控えめで上品なさらっとした味で飲みやすい。こちらにはパクチーと合わせて。独特なパクチーのくさみを消し、あっさりとした酒に甘みが加わり華やかさがプラスされた味に。ミントでも試してみたが、こちらはミントの苦さが前に出てきてしまいNGだった。
「貴 夏純米 発泡にごり」は、清涼感のある酸味と甘み、ヨーグルト飲料のような風味がある。微発泡なので食前酒にしてもいいかもしれない。ミント、パクチーと合わせたが、味の変化は感じられず、あえて合わせる必要性は感じなかった。しっかり冷やして単独で飲むのがベストかも?『最先端の日本酒ペアリング』では「イカワタパクチー」とのペアリングを推奨。うまみと苦みのあるイカワタに、対照的なヨーグルト風味の「貴 夏純米 発泡にごり」を合わせることで、ビーフシチューにサワークリームを合わせる感覚で、味の幅が広がるとのこと。こちらもぜひ試してみたい。
「日本酒モヒート」は、ミントの清涼感とほのかな苦みが甘酸っぱいベースに融合し、夏にピッタリの清涼感のあるカクテルに仕上がっている。ラムベースのモヒートよりも、のどごしがマイルドになった気がする。そのせいかミントの苦味がいいアクセントになっていた。
日本酒にハーブは面白い組み合わせで、ハーブを多用したエスニック料理も相性がいいのではという発見があった。おつまみとして野菜ディップやチーズもペアリングしてみたが、チーズと日本酒の組み合わせが間違いなくおいしい。うまみの強いハード系チーズは特に相性の良さを感じる。ただ、パルミジャーノのような熟成タイプだと、日本酒の銘柄によっては、チーズの持つえぐみが引き立ってしまうこともあった。比較的若いチェダーやゴーダ、サムソーといったセミハードの方が幅広い日本酒に合いそうな気がする。
飲み比べ銘柄のほかにも、夏酒フェアで販売する銘柄も試飲してみたが、AJ、IM共に気に入ったのが「人気一 夏生 純米吟醸」(福島・人気酒造)。甘い麹の味わいが残るフレッシュかつやわらかな味わい。チェダーチーズと合わせて飲んだら、驚くほどベストマッチ。
「チーズはうまみの塊であり塩味が強いので日本酒との相性はとても良い。ワインの場合、チーズの濃厚さをワインでさっぱり洗い流すが、日本酒は相乗効果でチーズのうまみがより引き立つ。たんぱく質を分解してアミノ酸を生成する、酵母、乳酸菌が作用しているなど共通項があるのも合いやすい要素」(宇都宮さん)
取材、文/阿部 純子、伊藤 まさみ