「少し大きめを選び、中にダウンやセーターを着れば、冬でも着られますよ」(クリスチアナさん)
お話しをうかがったのは、ストックホルム市内のアウトドアショップ「Naturkompaniet」。
ストックホルム中央駅より徒歩15分という好立地で、店のある通りには、ホグロフスやスーリー、ピークパフォーマンスなど名だたるアウトドアブランドの店が並んでいる。ストックホルム中央駅周辺に5店舗、デンマークやフィンランドにも店を構える一大チェーンのひとつで、kungsgatan26の店は1階がすべてフェールラーベン。
当然、G-1000ウエアのワクシングを請け負う「ワックスステーション」が設置されている。クリスチアナさんが着用しているグリーンランドジャケットは今もラインナップされており、店内でも大きな売り上げを誇る。
フェールラーベンの歴史は、1960年に作られたアルミ製フレームからスタート。北欧の自然の中で快適に過ごせるダブルウォールテントやバックパック製作が評価され、1966年にはより過酷なグリーンランド遠征隊に参加。このとき作られたテントの素材が今も同社の顔とも言える独自素材、G-1000。1968年にテントの生地をベースとしたG-1000素材のジャケット「グリーンランドジャケット」と、ジャケットの防水性・防風性を高める「グリーンランドワックス」を発表した。
フェールラーベンでは、身近なアウトドアからキャンプ、トレッキング、テクニカルな登山まで6つのカテゴリーに分けて製品を開発している。
G-1000素材のグリーンランドシリーズは、クリスチアナさんのようにワックスで機能をコントロールしつつ、世代を超えて着続けられる。半面、今どきの化繊素材に比べるとどうしても重く、伸縮性は少ない。
「フェールラーベンの製品は、世代を超えて着てもらうために何よりも耐久性を重要視しています。環境にやさしく、環境に与える影響を最小限にすることも大切。同時に、シーンに応じた機能性も重要だと考えています。
化繊のテクニカルなウエアは耐久性においてはG-1000よりも短命ですが、軽く、細身のデザインでも動きやすく高山でのトレッキングなどアクティブな場面には不可欠。製品開発では、環境への配慮、機能性など、使うシーンや気候に応じてバランスよくと心がけています」(クリスチアナさん)。
G-1000素材には伸縮性を持たせたG-1000ストレッチという素材を開発中で来シーズンに発売予定。次期G-1000ストレッチは素材ではなく織り方によるストレッチを持たせることで、タフかつ劣化しづらくなっているとも。素材開発に終わりはない。